寝たきりでもできるリハビリ内容+やり方!予防の運動や筋トレも紹介

「寝たきりのリハビリについて知りたい!」「寝たきりはどうして予防するの?」と疑問に思われている方に向けて、寝たきりでもできるリハビリ内容ややり方などを解説します。
■寝たきりによる弊害:廃用症候群について
■筋力低下を防ぐリハビリ活用
■予防の運動や筋力トレーニングの紹介
廃用症候群|寝たきりによる弊害は筋力低下だけじゃない

- 過度の安静
- 疾病や加齢による活動性の低下
廃用症候群とは、ベッド上で長期間過度な安静や寝たきりに近い状態での筋力低下・活動性の低下によって、身体に生じた様々な状態のことです。
廃用症候群の原因
- 過度の安静状態
- 寝たきりなどによる筋力低下
- 介護環境
上記で触れた、過度の安静状態や寝たきりに近い状態による筋力低下の他に、介護環境も原因のひとつです。
階段を上り下りしないと外出できない住居環境や、リハビリ業界の人材不足など介護環境によって廃用症候群のリスクは高まります。
廃用症候群の対処法【3つ】
- カラダを意識して動かす
- 栄養バランスの良い食生活
- 正しいリハビリをする
身体を意識して動かすことで、寝たきり状態にさせないようにします。
また、身の回りのお世話をする際、つい手を出してしまいがちになりますが、できることは本人自身にやってもらいましょう。
衣服の着脱やトイレ・簡単な家事など、短時間でも身体を意識して動かすことが大切です。
病状によって自身の力では身動きが取れない場合、簡単なマッサージによる血行促進や、体位変換をして身体を動かすことも適度な刺激になります。
栄養バランスの良い食生活は、低栄養状態を防ぐ役割もあり、廃用症候群を発症すると低栄養状態になる方が多くみられるようです。
低栄養状態になると、筋肉量の減少により身体機能の低下が加速します。
筋肉をつくるのに必要な栄養素は、肉類・大豆・乳製品などのタンパク質を積極的にとるよう心がけましょう。
身体を動かすためにとても重要なエネルギーにもなります。十分に補給すると、低栄養状態の予防につながるのです。
正しいリハビリをすることは、廃用症候群を対処する上で有効とされています。
「立ち上がる」「座る」「歩く」といった日常的な動作を取り入れるリハビリは、身体を動かすという観点からも効果的といえます。
通うことが可能であれば病院や専門施設で、通いが困難な場合は訪問リハビリも選択肢にあげられるでしょう。
訪問リハビリについて詳しくはこちら↓
訪問リハビリとは?在宅でできるリハビリテーションの特徴やメリット・デメリット
廃用症候群の代表的な症状

長期間ベッド上で安静に過ごした場合、生理的な変化として様々な症状が起こります。
ひと昔前は、病気になるとベッド上で安静にすることがごく自然な流れでしたが、現代では必要以上の安静を長く続けると廃用症候群が生じます。
以下に、具体的な症状について記載します。
分類 | 疾患 | 主な症状 |
筋骨格系 | 筋萎縮 | 筋肉がやせおとろえる |
関節拘縮 | 関節の動きが悪くなる | |
骨萎縮 | 骨がもろくなる | |
呼吸器系 | 誤嚥性肺炎 | 唾液や食べ物が誤って肺に入り起きる肺炎 |
消化器系 | 逆流性食道炎 | 胃から内容物が食道に逆流し、炎症がおきる |
泌尿器系 | 尿路結石 | 腎臓、尿管、膀胱に石ができる |
尿路感染症 | 細菌による感染がおきる | |
循環器系 | 心機能低下 | 心拍出量が低下する |
起立性低血圧 | 急に立ち上がるとふらつく | |
血栓塞栓症 | 血管に血のかたまりがつまる | |
精神系 | うつ状態 | 精神的に落ち込む |
せん妄 | 軽度の意識混濁のうえに目には見えないものが見える 混乱した言葉づかいや行動 | |
圧迫性末梢神経障害 | 寝ていることにより神経が圧迫され、麻痺がおきる | |
皮膚系 | 褥瘡(じょくそう) | 床ずれといわれる皮膚のきず |
リハビリのポイント【3原則】

- あせらず
- あまえず
- あきらめず
リハビリには3つの原則があります。
リハビリを受ける方は、病状や障害の程度、体力や性格など個人差があるので計画通りにリハビリが進まなくても、あせらずコツコツ取り組んでいくことが大切です。
介護者は、ときとして援助しすぎてしまうことがあります。
リハビリを受ける側も、介護者の援助に甘えてしまうこともあるでしょう。
手を貸しすぎて、本来できることまでやってしまい回復が遅れることのないようリハビリを受ける側もあまえないことが大切です。
リハビリを始めた直後は、思うような効果が出ず後ろ向きな気持ちになることもあります。
リハビリを受ける側と介護者の目指す方向性「○○なりたい」の気持ちが、リハビリの原動力になります。ゆったりとした気持ちで、あきらめず継続していきましょう。
リハビリで重要なこととして、目標設定があげられます。
意味のある目標は、リハビリを受ける側の参加動機につながるからです。
目標設定のポイントとして、リハビリ参加者の希望や願いなど意味のある内容にしましょう。
目標は、「短期」「中期」「長期」などの時間軸で設定可能です。
寝たきりでもできるリハビリ

ここでは、寝たきりでもできるリハビリについてお伝えします。
マッサージ
皮膚に直接刺激を与え、リンパ液や血液循環をよくして新陳代謝を促進させ病気や身体機能の改善を促す施術です。
全身や各局所をさすり身体の状態を把握します。筋肉を優しくもみほぐし、新陳代謝を促します。
関節の可動域を広げる効果も期待できるでしょう。
手のひらや指圧での圧迫法は、血液やリンパの流れを良くする効果が期待できます。
ストレッチ
ストレッチは、柔軟性の向上・痛みの改善・運動機能の向上などの効果が期待できます。
運動機能が向上して、日常生活の動きが改善されるのを目指します。
マッサージで、筋肉の緊張をとり血行を促進させ“筋肉が伸びやすい状態”でストレッチを行うと効果的です。
筋力トレーニング
- 例1:手のひらで「グー・パー」をする
- 例2:足の指を「開く・閉じる」
個々の状態を見ながら、動かせる筋肉を使う筋トレを行いましょう。
寝たきりの状態でも簡単にできる筋トレを紹介します。
手のひらでグーパーをしたり、足の指を開いたり閉じたりする運動も立派な筋トレです。
それぞれ10回を1セットとして行うなどしてみましょう。
ベッド上で行えるので、受ける側は大きな痛みを感じずに施術を継続できるでしょう。
廃用症候群の様々な症状がある場合、マッサージ・ストレッチで体が適度にほぐれ温まり無理のない筋力トレーニングを行うことで、日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)の改善や活動の向上を期待できます。
寝たきりでもできるリハビリグッズの使用について
- ハンドグリップ
- セラバンド
寝たきりの状態で行うリハビリは、ハンドグリップやセラバンドといったリハビリグッズの使用も効果的です。
ハンドグリップは手で握り、指の握力強化や関節がスムーズに動かせるように訓練できます。
セラバンドは、ゴムチューブやゴムバンドなどと呼ばれているゴム製のトレーニンググッズです。
持ち手は「輪っか」や「ハンドル」付きであれば、握力が弱い高齢者にも握りやすくなっています。
使い方は、輪っかやハンドルに手足や身体全体を入れてトレーニングしていきましょう。
最近、リハビリの現場やデイサービスなどの介護予防体操にも取り入れられているようです。
ゴム製で伸縮性があるので、力がでない高齢者でも無理なく使うことができるでしょう。
寝たきりを予防するために効果的な運動や筋トレ

- ウォーキング、有酸素運動
- ふくらはぎの筋トレ
- お尻の筋トレ
- 腕の筋トレ
- 壁立て伏せ
寝たきりを予防するために行うと効果的な運動や筋トレをご紹介します。
ウォーキング・有酸素運動
高齢者の寝たきりを予防するためには、常日頃から身体を動かす“運動習慣”を取り入れ、ウオーキングや有酸素運動を行いましょう。無理のない範囲で、晴れた日に近所へのお散歩もおすすめです。
ふくらはぎの筋トレ
- 足の親指と人差し指に重心を置いて垂直に立つ
- 上記1.の状態で、ふくらはぎの筋肉を意識しながら、かかとをゆっくり上下させる
- 上記1~2を20回繰り返す
歩行機能を維持する上で、とても重要です。
負荷がかかる運動ですが、健康且つ立ったままで運動可能な高齢者の方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
お尻の筋トレ
- 仰向けになり両手はお腹の上に乗せ、両膝を立てる
- 上記1.の状態で腹筋に力を入れてお尻を持ち上げる(6秒間維持)
- 上記1~2を数回繰り返す
大臀筋(だいでんきん:お尻の筋肉)や、大臀筋をサポートするハムストリングスを鍛える筋トレです。
大臀筋の筋力向上と腰痛予防も期待できます。
腕の筋トレ
- 500〜1000mlの水入りペットボトルを両手に1本ずつ持つ(胴部分が水平方向になるようにつかむ)
- 手の甲を上にして両腕を前方向に伸ばす(ペットボトルの大きさや水の量で負荷の調整をする)
- 肘を曲げたり腕の位置を変えたりしないように手首を手の甲側(上側)へ曲げる
- 手首を手のひら側(下側)に曲げる
- 上記1~4を10回(上下で1回)3セット繰り返す
腕力が衰えると日常生活で困る場面が増えます。ペットボトルを使用するものや壁を使った筋トレで対策しましょう。
壁立て伏せ
- 壁の前に立つ
- 両手を肩幅より少し広げて壁につける(壁との距離:肘を伸ばすと壁に手の先がつくくらい)
- 肘をゆっくり曲げる
- あごが壁につくくらいまで曲げたら、肘をゆっくり伸ばしていく(背中から腰にかけて一直線になるように)
- 上記1~4を5〜10回繰り返す
※参考サイト100年人生レシピ「高齢者におすすめの筋トレ」
寝たきり介護をする上で意識すること

- 座位姿勢をキープ
- 床ずれ予防
- オムツ使用のタイミングを見極める
- 皮膚の清潔を心掛ける
- 介護者の負担軽減
寝たきりの状態でも、適度に身体を動かすことで廃用症候群を未然に防ぐことが期待できます。
ここでは、寝たきり介護をする上で意識することをお伝えします。
座位姿勢をキープ
寝たきりの状態が長期にわたる場合は、座位姿勢を意識してみましょう。
座る姿勢をキープするだけでも筋肉を使い、バランス力の向上も期待できます。さらに、床ずれ予防や便秘の改善につながります。
健康の状態を確認しながら、無理のない範囲で座位姿勢のキープを試してみましょう。
床ずれ予防

同じ体勢のまま長時間寝ていると、骨の突出部分などが寝具にあたり圧迫されると、床ずれを引き起こす可能性があります。重症になると傷が筋膜や骨にまで達してしまい注意が必要です。
「体位変換を行う」「体圧分散用具を活用する」など正しいケアをして床ずれを予防しましょう。
オムツ使用のタイミングを見極める
寝たきりの状態では、腹圧がかかりにくいので排便しづらくなります。便意や尿意を自身で感じられ介護者に伝えられている間は、便座で排泄するようにしましょう。
筋力が衰えると便意や尿意を我慢できなくなりますので、排泄を最優先させるのが重要です。
早い段階からオムツを使用すると、身体を動かす機会が減少します。
オムツ使用は、尿意や便意の意思表示ができない場合や、排泄のコントロールが難しくなってからでも遅くはありません。
皮膚の清潔を心掛ける
寝たきりの状態になると、入浴や着替えの頻度が減少します。身体を拭いたり、訪問介護サービスの入浴を利用して皮膚を清潔に保ちましょう。
身体を拭く(清拭)は、血液の循環が良くなり床ずれや拘縮(こうしゅく)の予防にも効果的です。
拘縮とは、さまざまな要因で、関節が動かなくなってしまった状態のことをいいます。
特に長い期間寝たきりが続くと、身体の関節がかたまる恐れもあります。
皮膚の状態をチェックしながら行えるので、異常なども気が付きやすくなるでしょう。
身体を拭く際、清拭を受ける側が疲れないように、リラックスできる体勢を保ち素早く行います。
さらに、室温調整やプライバシーにも細心の注意をしましょう。
特定の施設に入所せず日中に日帰りで利用できる通所介護サービスであるデイサービスには入浴の時間が設定されています。利用者が安心して入浴できるようスタッフがサポートします。
訪問介護サービスの入浴を利用すると、専門スタッフが自宅まで訪問し専用の浴槽で入浴のサポートをします。
家族だけでの入浴は負担が大きいでしょう。上記のサービスを利用することで、介護者の負担を軽減できます。
利用を検討される場合は、かかりつけ医や担当のケアマネジャーに相談してみましょう。
デイサービスとデイケアについて詳しくはこちら↓
デイサービスとデイケア|どっちを選んだらいいの?違いと選び方を解説
介護者の負担軽減

寝たきり状態の介護は、介護者の負担が増大し心身ともに体調を崩してしまうこともあります。
介護で気力・体力が弱りくたびれた状態が続くと、介護疲れの状態になります。
介護疲れを放置してしまうと、疲れがたまり心のバランスが崩れてしまい「介護うつ」「介護放棄」に発展してしまう可能性があります。
介護者の負担を軽減するためにも介護サービスを上手に活用しましょう。
介護をひとりで抱え込むと、肉体的・精神的に追い詰められてしまいます。
ときには息抜きをし、困ったことがあれば家族や医師・ケアマネジャーなどに相談しましょう。
介護疲れについて詳しくはこちら↓
介護疲れの原因と対策
【予防・改善に活用】リハビリデイサービス「りふり」のご紹介

生活リハビリティサービスりふりは、人と健康と笑顔をつなぐあたらしいコミュニティです。
一人ひとりに寄り添い、健康や体力づくりのためのサポートを行っています。
りふりは、身体機能の回復と日常生活の向上を目指す「生活リハビリ」に特化したデイサービスです。
生活リハビリは「歩く」「食事をする」「着替える」「トイレに行く」「入浴する」など生活する上で行う動作全般を「リハビリ」と捉えています。
カラダの状態を維持・向上して日常生活動作を自らの力で行えるように働きかけていくリハビリのことです。寝たきりの予防・改善に、生活リハビリデイサービス りふり を選択肢のひとつにご検討ください。
寝たきりでも可能なリハビリで廃用症候群を防ぐ!筋トレで寝たきりを予防

我が国では、超高齢化社会の到来により、リハビリにおける高齢者の割合は増加しています。
平均寿命のうちで健康で自立した生活を送ることのできる期間を「健康寿命」といいます。
現在のリハビリは、障害を乗り越えるためだけではなく、上記の健康寿命の期間を伸ばすためにも重要な役割を果たしています。
年齢が上がるにつれ、身体的な老化現象が徐々に起こり始めます。この老化は誰にでも訪れるもので避けることはできません。
しかし、心身の機能を維持することで老化を遅らせることは可能です。
健康寿命を伸ばすためには、寝たきりの状態を予防することが大切です。
高齢者は、過度の安静状態が続くと廃用症候群が生じてしまい、体力の回復が難しくなります。
どのような疾患であれ、早期にリハビリを開始することが重要です。
まずは、寝たきりにならないよう心掛け、寝たきりになってしまった場合は、リハビリを活用して廃用症候群を予防しましょう。
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