BLOG
2024.9.23

廃用症候群とは?原因や予防・回復の方法など

廃用症候群とは?原因や予防・回復の方法など

「廃用症候群って何だろう?」
「廃用症候群の予防・改善策はあるのかな」

廃用症候群とは、体を動かさない状態が続くことで心身に生じるさまざま症状を指します。特に高齢者は、廃用症候群によって一度体調を崩すと回復が難しくなる場合もあるため、早期に対応することが大切です。

今回は、廃用症候群の原因や症状、予防・改善策について詳しく解説します。廃用症候群について詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

廃用症候群とは?

廃用症候群とは?

廃用症候群とは、長期間の安静や活動量減少によって心身の機能が低下する状態のことです。体を動かすことは、筋肉や関節はもちろん、内臓や精神面にもよい影響をもたらすため、体を動かさない期間が長いと、身体機能だけでなく精神面にも悪影響を及ぼします。

高齢者は加齢による身体機能の低下が原因で活動量が減る傾向があり、廃用症候群のリスクが高いことから注意が必要です。

一度廃用症候群になるとますます活動量が低下して閉じこもりがちになり、さらなる心身機能の低下を引き起こしかねません。

廃用症候群を事前に予防し、発症後も早期対応することが重要です。

廃用症候群の原因

廃用症候群の原因
  • 疾患
  • 怪我
  • 生活習慣

廃用症候群は、体を動かさない状態が長く続くことが原因です。具体的には、疾患や怪我、生活習慣などが挙げられます。原因を知っておくと、適切な対応ができるでしょう。

それぞれの原因について、詳しく解説していきます。

疾患

がんや内部障害など慢性疾患を患っている場合、入院生活や安静にする時間が長くなりがちです。筋肉や関節などを使う頻度が低下し、廃用症候群を引き起こすリスクが高まります。また、痛みや薬による副作用、栄養状態の悪化によって活動が制限され、廃用症候群を生じるケースは少なくありません。

風邪などの軽い疾患でも注意が必要です。数日間寝込んだだけでも筋力や体力、栄養状態が低下すると、廃用症候群を引き起こす可能性があります。大したことがない風邪でも、廃用症候群のきっかけになることを知っておきましょう。

怪我

骨折などの怪我による長期間の安静や活動量の低下は、廃用症候群の原因になり得るため、注意が必要です。怪我によって体の一部を動かせない状態が長期間続くと、筋肉の萎縮や関節の拘縮が起こりやすくなります。

動きが制限されることでますます活動量が低下し、廃用症候群を悪化させる可能性があります。また、生活範囲が家の中だけになり、社会との関わりが減ると心身機能が低下し、廃用症候群を引き起こす原因になるでしょう。

生活習慣

運動不足や偏った食生活といった生活習慣は、廃用症候群の原因になり得ます。外出する機会が減ったり定期的な運動を行わなかったりすると、身体機能・精神機能が低下し、廃用症候群を生じるリスクが高くなります。

また、栄養バランスがとれていない食事では必要な栄養素を摂取できず、筋力や体力を維持できません。筋力や体力が低下すると活動量や意欲が減るため、廃用症候群の原因になる可能性があります。

廃用症候群の症状

廃用症候群の症状

廃用症候群は、全身にさまざまな症状を引き起こします。部位によって現れる症状が異なるため、一つずつ詳しく見ていきましょう。

筋骨格系

筋骨格系では、筋力の低下がみられます。長期間筋肉を使わないことで、筋肉が萎縮するからです。

絶対安静を1週間続けると筋力は10~15%、3~5週間で50%にまで低下するといわれています。また、関節可動域も低下します。長期間の安静によって関節周囲の皮膚・筋肉・靭帯などが変性して動きが悪くなり、可動域が制限されるためです。

呼吸器系

呼吸器系では、呼吸するための筋肉が低下したり、誤嚥性肺炎がみられたりします。呼吸するための筋肉が低下すると呼吸が浅くなるため、血中酸素濃度が低下するなどの異常が起こる可能性があります。

寝たままの状態が続くと重力の影響で起動内に分泌物や食べ物が溜まり、誤嚥性肺炎を引き起こすことも考えられるでしょう。誤嚥性肺炎が原因で死亡する高齢者は少なくないため、呼吸器の機能低下時は特に注意する必要があります。

消化器系

消化器系では、食欲低下や体重減少、低栄養、便秘などの症状が現れます。活動量の低下に伴って食欲が減退すれば必要な栄養素を十分に摂取できないため、体重減少や低栄養を引き起こす可能性があります。

腸のぜん動運動低下や水分不足、食物繊維不足などで腸内環境が悪化し、便秘の症状も現れるでしょう。

泌尿器系

横になっている時間が多いと膀胱や尿道に尿が停滞しやすくなり、尿路結石や尿路感染症のリスクが高くなります。排尿時の痛みや腰や背中の痛み、吐き気や高熱などの症状がある場合は、尿路結石や尿路感染症などが疑われるでしょう。

精神疾患系

精神疾患系では、うつ症状や見当識障害、幻覚・妄想などの症状が現れやすくなります。活動量の低下や社会からの孤立により認知機能が低下すると、意欲がなくなったり感情が鈍くなったりして、うつ状態になる場合が少なくありません。

また、今自分がいる場所・時間が分からなくなる見当識障害を生じたり、現実・非現実の区別ができず幻覚や妄想が現れたりします。普段はしないような言動がみられるのが特徴です。

廃用症候群を予防するには?

廃用症候群を予防するには?

廃用症候群を予防するためには、身体機能や精神機能の低下を防ぐようなアプローチが必要です。効果的な予防策を3つ、解説していきます。

意識して体を動かす

意識して体を動かす習慣をつけることは、廃用症候群の予防に大いに役立ちます。入院中や長期間の安静が必要な場合でも可能な範囲でリハビリテーションを行い、筋力や関節の柔軟性を維持することが大切です。

また、家族や介護者が、高齢者の身の回りのサポートをしすぎるのは避けてください。家事や近所への買い物など、無理なくできることは自分でやってもらいましょう。小さな活動でも、継続すれば廃用症候群の予防につながります

リハビリや運動、筋トレについて詳しくはこちら↓
寝たきりでもできるリハビリ内容+やり方!予防の運動や筋トレも紹介

3食バランスの良い食事を食べる

3食バランスの良い食事を食べることは、筋力や体力の維持・回復や精神状態の安定に良い影響を及ぼします。高齢者の多くは、栄養不足の状態だといわれています。必要な栄養素が摂取できていないと筋力や体力、活動する意欲まで低下し、廃用症候群を引き起こすきっかけになりかねません。

低栄養状態を回避するために、主食・主菜・副菜がそろった食事を3食摂りましょう。特に、筋肉をつくる材料となるタンパク質を意識して摂取するのがポイントです。タンパク質は、肉類や卵類、乳製品などに多く含まれています。

嚥下機能の低下が原因で食事量が減っている場合は、口腔ケアで入れ歯の調整を行なったり、食事にとろみを付けて食べやすくしたりと、本人が食事をしやすい環境を整えましょう。また、食事量が低下すると水分不足に陥りやすくなるため、水分も意識して摂取してください。

高齢者の食事について詳しくはこちら↓
高齢者の体重を増やす食べ物│食べても痩せる原因や痩せすぎ対策、筋肉をつけるメニュー紹介

リフレッシュを心がける

リフレッシュは、廃用症候群の予防に効果的です。リフレッシュすることで精神的な安定を保てるため、活動量を維持でき、身体機能の低下を防げます。

具体的には、散歩や音楽鑑賞、デイサービスへの参加などがリフレッシュにおすすめです。特にデイサービスでは、スタッフやほかの利用者とコミュニケーションを取れるため、孤立感が減り、精神的な安定を得やすいといえます。

理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションを受ける場合は、直接的に身体機能の維持・向上が図れるでしょう。

廃用症候群から回復について

廃用症候群から回復について

一度廃用症候群になると、回復は困難だといわれています。しかし、早期から対応すれば、完全な回復ではなくても生活の質を維持し、できる限り自立した生活を送れる可能性があります。

廃用症候群の回復に役立つ方法を、具体的に見ていきましょう。

薬物療法や早期リハビリで改善の可能性がある

薬物療法や早期リハビリによって、廃用症候群が改善する可能性があります。たとえば関節痛や精神疾患、誤嚥性肺炎などの症状がみられる場合、症状に合う薬を使えば、改善できる可能性は高いでしょう。ただし、自己判断で薬を使うとかえって症状を悪化させるおそれがあるため、必ず医療機関を受診して処方してもらってください。

また、早期からリハビリに取り組むことで、筋力や関節の機能低下を防ぎ、廃用症候群の回復を促せる可能性があります。無理のない範囲で、リハビリに前向きに取り組むことが大切です。安全にリハビリを行うためには、医師や理学療法士などの専門職に相談してください。

リハビリテーションについて詳しくはこちら↓
訪問リハビリとは?在宅でできるリハビリテーションの特徴やメリット・デメリット

完全に回復することは難しい場合がある

廃用症候群の回復には、廃用症候群に陥った期間の数倍もの期間が必要だといわれています。特に高齢者は、若い人に比べて心身の機能が低下しているケースが多く、完全な回復を目指すのは難しいでしょう。

そのため、廃用症候群は予防が何より重要になり、万が一廃用症候群になった場合はできる限り早期から対応することが大切です。筋力や体力、意欲の低下など、廃用症候群のサインを見逃さないようにしましょう。

デイサービスの利用で廃用症候群を予防しよう

廃用症候群とは、長期間の安静や活動量低下によって心身の機能が低下し、全身にさまざまな症状が現れる状態のことです。高齢者の場合、若い人に比べて心身機能が低下しているため、一度廃用症候群になると完全な回復が難しいケースが少なくありません。そのまま寝たきりの状態になってしまう可能性もあります。

そのため、日頃から意識的に体を動かしたり人との関わりを持ったりなど、心身の健康に努めることが大切です。

デイサービスは、レクリエーションやリハビリで体を動かし、スタッフやほかの利用者と交流できるため、高齢者の廃用症候群予防に適しています。

「生活リハビリデイサービスりふり」は、理学療法士が利用者一人ひとりに合ったリハビリプログラムを提供しており、楽しく継続してリハビリに取り組める環境です。気になる人は、ぜひ一度お問い合わせください。

生活リハビリデイサービスりふりについて詳しくはこちら↓
生活リハビリデイサービス りふり




カテゴリー|ブログ