訪問介護とは?受けられるサービスや料金を簡単に解説

「訪問介護って何?」「どんなサービスで料金はどれくらい?」といった疑問をお持ちではありませんか?
なんとなく言葉は知っていても、いざ介護に直面した際は、適切なサービスを受けるためにしっかり内容を把握しておきたいところですよね。
訪問介護を適切に利用することで、利用者本人・家族ともに生活での負担を軽減させることにつながります。
社会問題になりつつある介護疲れを引き起こさないための一つの方法でもあり、介護する側と要介護者の孤立防止にもなるでしょう。
この記事では訪問介護とは何か、流れやサービス概要、料金などを解説し、スムーズに活用できる情報を提供します。
この記事では、訪問介護でできることやできないこと、訪問介護を受けるまでの流れなどを紹介しています。
ぜひ最後までお読みください。
訪問介護とは?|できることとできないこと一覧
できること | 要介護者のご本人だけを対象とした介護 ・入浴や排泄、食事など直接接触して行う身体介護 ・掃除や洗濯、調理などの日常生活を援助した家事援助 ・医療制度を利用する際の移動を介助する通院等介助 |
できないこと | 介護者の家族に関する介護や、日常生活・家事の援助に該当しない行為 ・生業の介助 ・家族の利便が目的・家族が行うことが適当とされる行為 ・介助しなくても日常生活に支障が出ないと判断される行為 ・入院中及び入退院時の利用 |
訪問介護とは、訪問介護員等が利用者の居宅を訪問して、「身体介護」や「家事援助」などを提供するサービスです。
対象者は要介護1〜5の認定を受けた人ですが、訪問介護には、できることとできないことがあります。
できることは要介護者のご本人だけを対象とした介護で、できないことは要介護者の家族に関する介護や、日常生活・家事の援助に該当しない行為です。
訪問介護で受けられるサービス

- 身体介護
- 家事援助
- 通院等の介助
訪問介護で受けられるサービスは大きく3つに分けられます。
利用者の心身機能回復等により「要介護状態」が解消された場合は、介護保険利用のサービスが受けられなくなる可能性が高いです。
それでも訪問介護を利用したい場合は、自費でサービスを利用することになります。
身体介護
- 排泄介助:トイレ利用、おむつ交換など
- 食事介助:食事環境の整備、摂食、口腔ケアなど
- 入浴・清拭介助:洗髪や身体整容、全身浴や洗面、更衣など
- 移乗・移動介助:車椅子の準備、乗り移り・移動の介助や見守りなど
- 起床・就寝介助:覚醒確認、起き上がり、ベッド上での姿勢確保など
- 服薬介助:服薬の確認や促しなど
身体介護とは、利用者の身体に直接接触して行う介護です。
利用者の日常生活動作能力・意欲の向上のために利用者と共に行う自立支援のために行うのが目的です。
それでも訪問介護を利用したい場合は、自費でサービスを利用することになります。
家事援助
- 掃除:居室内やトイレ、卓上の清掃、ゴミ出しなど
- 洗濯:衣類の洗濯・収納・乾燥・アイロンがけなど
- ベッドメイク:シーツ交換、布団カバーの交換等
- 衣類の整理:衣類の整理、被服の補修など
- 一般的な調理:配膳、後片付けなど
- 買い物・薬の受け取り:日用品の買い物、薬の受け取り
- 育児支援:沐浴、保育園の送迎など
家事援助とは、掃除や洗濯、調理などの日常生活の援助であり、本人や家族が家事することが困難な場合に行われる援助サービスです。
家事援助は利用者の代行的なサービスのため、要介護認定により「要介護状態」が解消された場合は利用者自身が行うことが基本です。
また、育児支援をする子供は乳幼児が対象で、育児をする親(利用者)が障害により世話ができない場合のみ援助が認められます。
通院等の介助
- 病院に行くための準備:声かけや説明など
- ヘルパーの車や交通機関への乗降:乗降介助など
- 院内での移動:車椅子での移動介助や見守りなど
- 受診等の手続き:受け付けの対応など
通院等の介助とは、いわゆる「介護保険タクシー」とも呼ばれるもので、ヘルパーによる通院等の乗降介助サービスです。
医療制度を利用する場合が対象であり、マッサージなど保険診療を伴わないものは、通院等介助ではなく、移動支援等(身体介護)での対応となります。
また、診察室(検査やリハビリ室を含む)内の介助は原則対象外です。
普通のタクシーと介護タクシーの違いについてはこちら↓
車いすユーザーはタクシーに乗れる?普通のタクシーと介護タクシーの違い
訪問介護で受けられないサービス

- 生業の介助
- 家族の利便が目的・家族が行うことが適当とされる行為
- 介助しなくても日常生活に支障が出ないと判断される行為
- 日常的に行われる家事の範囲を超える行為
- 入院中及び入退院時の利用
利用者の家族に関する介護、草むしりや農作業などヘルパーがやらなくても日常生活が成り立つとされる行為に関しては介護サービスに含まれません。
更に、ホームヘルパーが医療行為をすることは禁止されているため、インシュリン注射や点滴など、医療行為とみなされる可能性が高いものは事前の確認が必要です。
訪問介護が受けられる時間と料金

訪問介護は、介護の種類や報酬単位によって自己負担額が異なります。
訪問介護の利用時間と自己負担額
介護の種類 | 時間 | 単位 | 自己負担 |
身体介護 | 20分未満 20分以上30分未満 30分以上1時間未満 1時間以上 以降30分増すごとに | 167単位 250単位 396単位 579単位 +84単位 | 167円 250円 396円 579円 +84円 |
家事援助 | 20分以上45分未満 45分以降 | 183単位 225単位 | 183円 225円 |
通院等の介助 | 1回につき | 99単位 | 99円 |
※地域単価1単位=10円の場合
※自己負担額1割の場合
それぞれのサービスが受けられる単位ごとの自己負担額は次の通りです。
この表はあくまで基本の料金であり、事業所によってはサービスの実施による加算が発生する可能性もあります。
要介護度による区分支給限度額
要介護度 | 区分支給限度額 |
要介護1 | 16万7,650円 |
要介護2 | 19万7,050円 |
要介護3 | 27万480円 |
要介護4 | 30万9,380円 |
要介護5 | 36万2,170円 |
※地域単価1単位=10円の場合
介護サービスには、利用の歯止めが利きにくいこと、同じ要介護度であっても利用者のニーズが多様であること等の特性があることから、要介護度別に「区分支給限度基準額」を設定しています。
要介護度による区分支給限度基準額は次の通りです。
「区分支給限度額」を超過した分は全額自己負担となるため、要介護度に合わせたケアプランを立てる必要があります。
要介護認定について詳しくはこちら↓
【要介護認定のメリット・デメリット】要介護認定で受けられる公的サービスや特徴を解説
訪問介護サービスを利用するまでの流れ

- 要介護認定を受ける
- 担当ケアマネージャーとケアプランを作成する
- 事業所を決める
訪問介護サービスを利用するには、まずは要介護認定を受ける必要があります。
大まかな流れは次の通りです。
要介護認定を受ける
- 市区町村の職員などから訪問を受け、聞き取り調査(認定調査)が行われる。
- かかりつけ医に主治医意見書を依頼する
- 認定調査結果や主治医意見書に基づき判定を経て、介護認定審査会による要介護度を決定が行われる。
- 市区町村から結果の通知がくる。
まずは、住んでいる市区町村の窓口で要介護認定の申請を行います。
申請後の流れは次のようになります。
申請から認定の通知までは原則30日以内に行われます。
ケアマネージャーとケプランを作成する
「要介護1」以上になると、ケアプラン作成事業所に依頼を出せます。
依頼後は担当ケアマネージャーが割り振られるので、どのサービスをどう利用するか、本人や家族の希望を伝えながら、介護サービス計画書を作成していきます。
担当ケアマネージャーは、本人や家族の希望により変更することも可能です。
事業所を決める
- サービスの内容や加算等について分かりやすい説明があるか
- スタッフの態度に問題がないか
- 契約に関する疑問に答えてくれるか
事業所を選ぶ際は、上記のポイントに視点を当て、少しでも疑問を感じたら担当ケアマネージャーに相談するようにしましょう。
訪問する介護職員とは利用者本人・家族ともに密接に関わることになるため、事業所選びはとても重要な部分となります。
訪問介護以外の訪問系サービス

介護保険が適用となる訪問系介護サービスは他にもいくつか存在します。
代表的な訪問サービスの内容と訪問介護との違いについて解説していきます。
医療保険と介護保険のリハビリの違いに関してはこちら↓
リハビリできない?医療保険と介護保険のリハビリの違いについて
訪問看護
- 医師の指示による医療処置が可能
- 病状の観察やバイタルチェックを行い、かかりつけ医との連携が可能
- 在宅酸素や人工呼吸器などの管理が可能
- 認知症に対する訓練やケアが可能
- 介護者への指導やアドバイスが可能
訪問看護とは、専門の資格を持つ医療従事者が居宅要介護者に対し、療養上の世話または必要な診療の補助をするサービスです。
訪問介護との主な違いは、治療促進のための医療処置や認知症ケア、介護者へのアドバイス等が行えるという点です。
訪問リハビリテーション
- 身体機能の維持・向上を目的としたリハビリや動作指導が可能
- 認知機能の維持・向上を目的としたリハビリや動作指導が可能
- 日常生活動作の維持・向上を目的としたリハビリや動作指導が可能
- 介護者への指導やアドバイスが可能
- 介護に役立つ福祉用具、住宅環境に対する工夫の提案が可能
訪問リハビリテーションとは、専門資格を持つリハビリ専門職員が居宅介護者の心身機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われるリハビリテーションを提供するサービスです。
訪問介護との主な違いは、機能向上を目的としたリハビリや動作指導、生活環境の提案・介護者へのアドバイスが行えるという点です。
訪問美容サービス
- ヘアカット、ヘアカラー、シャンプーなどが受けられる
- スタッフの態度に問題がないか
- パーマやネイルなども可能
訪問美容とは、国家資格を持つ美容師が自宅に出張し、髪を切ってくれる美容サービスです。
訪問介護では受けられない、専門的な整髪のサービスが受けられます。
事業者やサービス内容によって準備品が異なる可能性があるので、事前に相談し、確認しておくとよいでしょう。
訪問美容サービスの内容や料金に関してはこちら↓
家に美容師がやって来る?訪問美容のサービス内容や料金相場などを紹介
訪問入浴サービス
- 自宅の浴槽ではなく専用の浴槽を持ち込んで入浴をサポート
- 脱衣や着衣も介助可能
- 介護度に応じて清拭のみ、部分浴、全身浴が可能
入浴サービスとは、看護師1名を含めた3名のスタッフが居宅に訪問し、スタッフが専用の浴槽を持ち込んで使用するサービスです。
訪問介護との主な違いは、入浴介助に特化したサービスが受けられるという点です。
・訪問入浴サービスの内容や料金に関してはこちら↓
訪問入浴サービスの内容|料金・通所や訪問介護との違いなど解説
マンツーマンリハビリが受けられるデイサービスりふり

生活リハビリデイサービスりふりは、経験豊富な理学療法士によるマンツーマンのリハビリが受けられる施設です。
リハビリを効果的に行うために、スタッフとご利用者様が「どのような状態になりたいのか」を共有して取り組むことを大切にしています。
また、きめ細やかで質の高いリハビリはもちろん、ご利用者様とそのご家族、働くスタッフにも笑顔が生まれる居心地いい空間づくりを目指しています。
生活リハビリデイサービスりふりについてはこちら↓
生活リハビリとは?特徴や介護職が行う内容・効果を解説!受けられる施設も紹介
訪問介護サービスを活用して、本人・家族ともに負担の少ない生活を

介護保険適用内の訪問介護サービスでも、受けられるサービスが多数存在します。
これから在宅介護を検討している人、在宅での介護に限界を感じている人は、訪問介護を最大限に活用することをおすすめします。
【訪問介護でできること】
- 入浴や排泄、食事など直接接触して行う身体介護
- 掃除や洗濯、調理などの日常生活を援助した家事援助
- 医療制度を利用する際の移動を介助する通院等介助
【訪問介護でできないこと】
- 生業の介助
- 家族の利便が目的・家族が行うことが適当とされる行為
- 介助しなくても日常生活に支障が出ないと判断される行為
- 入院中及び入退院時の利用
訪問介護でできること、できないことをしっかりと理解した上で、利用者本人・家族ともに負担の少ない生活を送りましょう。
在宅介護の種類やデメリットはこちら↓
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