高齢者の熱中症が重症化しやすい理由は?うつ熱(こもり熱)などの症状や重症度を解説

「高齢者はなぜ熱中症が重症化しやすいの?」
「高齢者の熱中症が重症化しているときの症状は?」
など知りたい方のために、高齢者の熱中症が重症化しやすい理由や重症時の症状をまとめました。
気づきにくい熱中症の症状や、重症度ごとの適切な対処法も解説しています。
高齢者の熱中症についてはこちら↓
高齢者は熱中症になりやすい?理由や症状・対策・応急処置など紹介
高齢者の熱中症が重症化しやすいワケ

- 暑さを感じにくく症状に気付きにくい
- 体内水分量が少なく体内の熱が発散しにくい
- 基礎疾患を持っている
上記の理由から、高齢者はほかの年代よりも熱中症が重症化しやすい傾向があります。
高齢者が熱中症になりやすい原因についてはこちら↓
高齢者の熱中症の原因は?適切な予防策と対処法を解説
暑さを感じにくく症状に気付きにくい
高齢者は加齢とともに体温調節機能が低下すると、暑さを感じにくくなる傾向があります。暑さが脳に伝わらないため、体温を調整する身体機能ががうまく働かないことがあるでしょう。
体温上昇など熱中症の症状が出ていても自覚がなく、気付いたときには重症化してしまっていたというケースは少なくありません。
体内水分量が少なく体内の熱が発散しにくい
体内水分量は子どもが70%、成人が約60%、高齢者が約50%といわれており、年齢とともに減少していきます。
体内水分量が少ないと水分不足に陥りやすくなり、発汗で体内の熱を発散することが難しくなるでしょう。
体がオーバーヒート状態になる確率が高く、熱中症が重症化してしまうことが多くなります。
基礎疾患を持っている
高齢者の中には、糖尿病や高血圧、心疾患、腎疾患などの基礎疾患を抱えている方が多く見られます。基礎疾患は、いずれも熱中症の発症リスクを高める要因です。
たとえば、糖尿病は高血糖になると脱水を起こしやすくなるうえ、自律神経に影響を及ぼすと暑さを感じにくくなることがあります。また、高血圧で利尿薬を服用している場合は、体内の水分を排出する薬の作用によって脱水を助長してしまう可能性があるでしょう。
心疾患がある場合、血液循環が滞って体温調節に必要な血流が十分に行き渡らず、体内に熱がこもりやすくなります。
基礎疾患は単体でもリスクとなりますが、互いに影響し合うと熱中症の危険性がさらに高まる点に注意が必要です。
熱中症かも?高齢者が注意すべき症状

- うつ熱
- 筋肉の痙攣
- 反応が鈍い
多量の発汗や顔のほてりなど代表的な症状のほかに、高齢者が注意すべき熱中症の症状を紹介します。
ここで紹介する症状が現れなくても、違和感を感じたらすぐ医療機関を受診すると早期対応が可能です。
うつ熱
うつ熱は「こもり熱」とも呼ばれ、医学的には体内に熱がこもった状態です。
加齢に伴って汗腺の機能が低下すると、発汗による体温調節がうまく働かないことから熱が体にこもりやすくなります。
症状としては皮膚が乾いて熱を帯び、触れると熱く感じるのが一般的です。うつ熱は熱中症で最も危険な「意識障害」が起こる前に現れる症状といわれており、高齢者によく見られるとされています。
平熱より体温が高く、手足が非常に熱いとうつ熱の可能性があります。ふらふらしたり頭痛がしたりするのもうつ熱の特徴です。
うつ熱の症状が出たら、締め付けない薄着の服装に着替え、水分を摂りながら風通しがいい場所で休みましょう。
筋肉の痙攣
熱中症の症状として「こむら返り」と呼ばれる手足の筋肉痙攣が現れることがあります。
こむら返りは体内の水分や塩分が不足すると起こるため、症状が現れたらスポーツドリンクや食塩水など水分と塩分の両方を補給しましょう。
単なる筋肉疲労と見過ごさず、適切に対処すれば熱中症の重症化を防止できます。
反応が鈍い
熱中症の症状が進むと意識が朦朧とし、反応が鈍くなることがあります。
呼びかけに対する返答が遅い、質問の内容を理解するのに時間がかかる、普段よりぼんやりしているなどの症状が特徴です。
また、歩行時にふらつく、立ち上がりに時間がかかる、日常的な動作が緩慢になるなどの運動機能の低下も見られます。
反応の鈍さは認知症やほかの疾患と混同されやすく、熱中症の可能性を見過ごされがちです。
意識障害を引き起こしている可能性もあるため、注意深く様子を観察して医療機関の受診や救急車を呼ぶなど対応をしましょう。
熱中症の重症度と対処法

- Ⅰ度:応急処置と見守り
- Ⅱ度:医療機関へ
- Ⅲ度:入院※救急車
熱中症は症状の重篤度によってⅠ度からⅢ度の3段階に分類されます。適切な対処を行うために、それぞれの重症度を正しく判断しましょう。
Ⅰ度:応急処置と見守り
- めまい
- 立ちくらみ
- 生あくび
- 大量発汗
- 筋肉痛etc…
Ⅰ度の症状が見られる場合、応急処置をして様子を見守りましょう。
涼しい場所に移動し、衣服をゆるめると体内の熱を放出させることができます。首や脇の下、太ももの付け根を冷却材で冷やすのも効果的です。
意識がはっきりしている場合は、スポーツドリンクや経口補水液を少しずつ飲ませて水分を補いましょう。
回復後も体調を注意深く観察し、無理に動かないようにすることが重要です。
Ⅱ度:医療機関へ
- 頭痛
- 嘔吐
- 倦怠感
- 虚脱感etc…
頭痛や倦怠感などは熱中症Ⅱ度の症状です。
水分や塩分を自分で摂取できる場合はしばらく様子を見ることもありますが、高齢者の場合はすぐ医療機関を受診すると安心でしょう。
Ⅲ度:入院※救急車
- 意識障害
- けいれん発作etc…
意識障害や発作がある場合は生命に関わる緊急事態のため、すぐに救急車を呼びましょう。
体温の異常な上昇によって脳の中枢機能に障害が生じると、中枢神経の異常に加えて、腎機能や肝機能の低下、さらには血液の凝固異常など、全身に深刻な影響が及ぶことがあります。
中枢機能に異常をきたしていて後遺症や命に関わるリスクが高いため、救急搬送しましょう。
高齢者の熱中症対策

- 室温管理
- 水分補給
- バランスの取れた食事
上記は高齢者の熱中症を予防するために、必要な対策の3本柱です。
冷房は26~28度に設定し、室温を28度以下に保ちましょう。水分補給は1日1.2~1.5リットルを目標とし、のどの渇きを感じる前から定期的に摂取することが大切です。
また、ナトリウムやカリウムなどの電解質を含む食品を意識してバランスの良い食事を心がけましょう。
外出時は帽子や日傘を使用し、直射日光を避ける、涼しい時間帯に活動するなど生活習慣の工夫も熱中症対策になります。
高齢者におすすめの熱中症対策グッズについてはこちら↓
高齢者におすすめ熱中症対策グッズ!室内を快適に過ごすための方法
身体機能の低下や生活習慣で高齢者の熱中症は重症化しやすくなります
高齢者は、加齢とともに体温調節機能の低下や体内水分量の減少が起こることがあるため、熱中症が重症化しやすくなります。
また、基礎疾患があればそれも影響するでしょう。
多量の発汗やめまいなどの代表的な症状以外に、うつ熱、筋肉痙攣、反応の鈍さなどの見逃しやすい症状に注意し、適切に対処すると熱中症の重症化予防につながります。
日頃からの室温管理、水分補給、栄養管理を心がけ、暑い日も健康に乗り切りましょう。
_1.jpg)
カテゴリー|ブログ