【リハビリの種類と目的】高齢者が介護付き施設を選ぶコツ
「リハビリはどの施設で受けられるの?」「リハビリ施設の種類は何があるの?」
この記事では、リハビリを受けたいなと思っている当事者やご家族の知りたい情報を分かりやすくお伝えします。
■リハビリが受けられる施設
・特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
・介護老人保健施設(老健)
・介護療養型医療施設(2024年3月末をもって全面廃止)
・有料老人ホーム
■高齢者が、介護付き施設を選ぶコツ
・目的やゴールによって、リハビリの内容は異なる
・リハビリの種類や内容を正しく把握する
・要介護者の目指す方向・リハビリの目的を明確にする
リハビリの目的|使用する保険によってゴールが変わる
リハビリは、使用する医療保険又は介護保険によって、目指すゴール・リハビリの目的が異なります。
保険によって何が異なるのか簡単に説明します。
医療保険でのリハビリ
- 入院中や外来での治療、訓練
- 日数制限あり(短期間のリハビリ)
- リハビリの専門家がおり充実した内容のリハビリが受けられる
- 対応スタッフ:専門家(PT/OT/ST)
医療保険で受けられるリハビリは、機能回復+生活の質向上を目指します。
病院で行われる治療・訓練によって、身体の機能回復が目的です。
怪我や病気によって生じた機能低下を治療と平行してリハビリを行い、回復を目指します。
介護保険でのリハビリ
- 介護認定されている人が受けられるリハビリ
- 日数制限なし(必要性が認められれば継続可能)
- 対応スタッフ:介護福祉士、ホームヘルパー、社会福祉士
介護保険で受けられるリハビリは、日常生活の自立を目指します。
日常の生活全般を捉え、生活の質(QOL:Quality of life)の維持・向上を目的としています。
施設や自宅でリハビリを受け、医師や専門家の指導に沿って日常生活の自立を目指し、自分らしく生活できるようにプログラムされた内容です。
医療保険と介護保険のリハビリについて詳しくはこちら↓
リハビリできない?医療保険と介護保険のリハビリの違いについて
リハビリの種類
施設で受けられるリハビリには種類があります。
リハビリに直接携わる専門資格とともに説明します。
理学療法士のリハビリ
理学療法士 PT(Physical Therapist)
運動機能の回復を目指す:基本動作のリハビリ
→起きる、座る、立ち上がるなどの動作
理学療法士は、医学的なリハビリを行える医療従事者です。
運動機能の維持と改善を目指し、反復運動や電気・温熱などの物理的手段でリハビリを進めていきます。
運動機能に直接アプローチする治療法です。
作業療法士のリハビリ
作業療法士 OT(Occupational Therapist)
日常生活に必要な応用的動作のリハビリ
→食事をする、排泄する、料理をする、歯を磨く
作業療法士は、作業療法を行える医療従事者です。
人間が生活していく上で必要な行為・作業活動を通してリハビリにつなげていきます。
手芸や折り紙などの作業を通してリハビリを行い、心の安定・脳の活性化にもつながります。
身体の機能回復だけでなく、日常的な活動・精神機能・社会生活に適応する支援を行う専門家です。
言語療法士のリハビリ
言語療法士 ST(Speech Language Hearing Therapist)
“きく・はなす”など、口や耳のリハビリを行う専門家です。
失語症や聴覚障害、ことばの遅れ、発声障害に対し練習や訓練に携わります。
また、嚥下(えんげ:食べ物を飲み込む)障害に対し、リハビリを受ける方に合わせた食事内容・食べ方、食事の姿勢を含め他職種の専門家とサポート連携し評価・練習・指導を行う専門家です。
摂食嚥下障害について詳しくはこちら↓
食べるリハビリとは?摂食嚥下障害でも口から食べることを諦めないで
生活リハビリ
◆日常生活動作 ADL(Activities of Daily Living)
食事、排泄、入浴、衣類の着脱、移動、起居動作‥
◆手段的日常生活動作 IADL (Instrumental Activities of Daily Living)
家事全般:買い物・料理・掃除・洗濯‥
金銭管理、服薬管理、交通機関の利用‥
生活リハビリとは、日常生活の動作をリハビリのひとつと捉え、普段の生活を基本に自立した生活を送れるよう支援することです。
生活リハビリは、医学的ではないので理学療法士・作業療法士・言語療法士の専門家だけでなく、介護士などのケアスタッフも担っています。
日常生活の場である居住型の高齢者施設などでは生活リハビリという考え方は、とても大切です。
高齢者は、年齢を重ねる度に筋力や体力が減少していきます。
体力維持を目標に集団での運動や体操を行っても、継続は難しいですが、日常に行う基本的な活動「生活リハビリ」を取り入れてみましょう。
すると、日常生活で大切な身体機能(体力・筋力・バランス力)が低下させないよう維持する効果が期待できます。
生活リハビリについて詳しくはこちら↓
生活リハビリとは?特徴や介護職が行う内容・効果を解説!受けられる施設も紹介
通所リハビリ(通い)
- 歩行訓練体操
- 入浴・排泄介助
- 住宅改修・福祉用具のアドバイス
- 看護師による健康チェック
福祉・医療関係施設が提供するサービスの一つで、医療保険・介護保険による「通所リハビリテーション」と医療保険による認知症デイケアのことです。
「身体機能の維持・回復、日常生活・認知機能の改善、リハビリなどの医療的ケア」が目的です。
病院・診療所・老人保健施設などに日帰りで通います。
食事や入浴などの生活支援や、生活機能向上の訓練を受ける施設です。
通所リハビリ(デイケア)は「医療ケア」に特化しているといえるでしょう。
通所リハビリテーション(デイケア)について詳しくはこちら↓
デイサービスとデイケア|どっちを選んだらいいの?違いと選び方を解説
訪問リハビリ(自宅)
- 症状や健康状態の観察・管理・アドバイス
- 機能訓練(歩行・起き上がり‥)
- 生活動作訓練(食事・排泄・入浴‥)
- 話し方や嚥下の訓練
- 福祉用具選定・活用方法のアドバイス
- 介護者へのアドバイス
- 住宅改修の助言
訪問リハビリテーションは、リハビリの専門職である、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が、自宅に訪問しリハビリを行います。
在宅でリハビリが行えるので、実際に生活している環境に沿った訓練が可能で、慣れている環境のため安心してリハビリが受けられるでしょう。
我が国は、超高齢化社会に入りました。
平均寿命のうちで健康で自立した生活を送ることのできる期間を「健康寿命」といいます。
リハビリは、健康寿命の期間を伸ばすためにも重要な役割を果たしているのです。
訪問リハビリテーションについて詳しくはこちら↓
訪問リハビリとは?在宅でできるリハビリテーションの特徴やメリット・デメリット
入所型リハビリ(施設入所)
病気や怪我などで在宅生活が困難な方が、施設に寝泊まりし生活を送りながら、理学療法や作業療法、言語療法などのリハビリテーションを行います。
自立支援を促し在宅復帰を目指します。
退所後は通所リハビリ(デイケア)に切り替わり継続してリハビリテーションが行なわれます。
リハビリを受けられる老人ホームの種類
- 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護療養型医療施設(2024年3月末をもって全面廃止)
- 有料老人ホーム
リハビリを充分に受けられる老人ホームの内容や種類についてお伝えします。
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
- 日常生活のお世話
- 機能訓練
- 健康管理、療養上のお世話
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)とは、常に介護を必要としている高齢者が在宅での生活が困難な状態であり、生活全般の介護を提供する施設です。「特養」とも呼ばれています。
特別養護老人ホームでは、食事・排泄・入浴などの介護とその他の日常生活の世話、機能訓練、健康管理等の世話を行います。
公的な施設の中で比較的費用が安いのが特徴のため入所希望者が多く、申し込みをしても入所待ちになることが多いです。
終の棲家(ついのすみか)として、看取りの対応も可能です。
特養のハビリは、日常生活活動 ADL(activities of daily living)を支援しています。
特養では『日常の生活時にリハビリを意識すること』=『生活リハビリ』という考え方のようです。
介護老人保健施設(老健)
要介護の高齢者が、在宅復帰をゴールに生活を送る施設のため、リハビリに力を入れています。
医師をはじめ、看護職員、PT、OT、STなどのリハビリ専門職、栄養士、介護支援専門員、介護職などが連携して、施設入所者に医療やリハビリテーション、介護を提供する施設です。
入院先の医療機関から直で在宅復帰が難しい場合に受け入れます。
復帰に向けたリハビリテーションを提供、さらに介護老人保健施設から在宅復帰した方へ、通所リハビリテーション(デイケア)や訪問リハビリテーションを提供して在宅での生活を支えています。
老健の入所期間は3〜6ヶ月と期限が設けてあるので、ベッドの回転率が良く申込みから入所までの待機期間は短いようです。
介護療養型医療施設(2024年3月末をもって全面廃止)
介護療養型医療施設は、2023年度末で全面廃止となります。
受け皿として、新しい施設である「介護医療院」は2018年4月に創設されました。
新設された「介護医療院」は、認定を受けた要介護の高齢者を対象に、長期療養の医療ケアと日常生活の介護ケアを提供します。
生活の場・日常の医学的管理・看取りやターミナルケアなどの医療機能という条件を兼ね備えた施設です。
有料老人ホーム
- 介護付有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- 健康型有料老人ホーム
有料老人ホームは、高齢者の心と身体の健康を保ちつつ、生活を安定させるために必要な、食事、介護、家事、健康管理のうち、サービスをひとつ以上提供している居住のことです。
入居者のニーズや経済状況に応じていくつかの種類があります。提供されるサービス内容によって、費用はピンキリです。
介護付有料老人ホーム
提供しているサービスは、生活支援や身体介護、リハビリやレクリエーション、食事のサービスなどです。
住宅型有料老人ホーム
提供しているサービスは、生活支援や食事のサービスなどが中心です。
介護が必要な場合は、サービス事業所と契約します。
健康型有料老人ホーム
提供しているサービスは、家事などのサポートや食事サービスです。
リハビリ施設にかかる費用
施設の種類 | 入居一時金 | 月額費用 |
特養 | 0円 | 5万~15万 |
住居型有料老人ホーム | 0円~数十万円 | 15~30万円 |
介護付有料老人ホーム | 0円~数十万円 | 15~30万円 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 0円~数十万円 | 15~30万円 |
月額費用の内訳は下記の通りです。
施設介護サービス費用(介護保険対象外)
- 散歩を目的とした外出介助
- 買い物代行
- 来客対応
- 年末の大掃除
生活援助と身体介護に当てはまらない介護サービスは、介護保険対象外となります。
居住費(賃料)
【公的施設の場合】
特養などは法律で料金が決められているので、室内のタイプが同じであれば、どの施設でも賃料は同じです。
自己負担限度額が入居者の収入に応じて定められているので、予想以上に高額出費はないでしょう。
公的施設なので民間施設よりもリーズナブルです。
【民間施設の場合】
民間の場合、各施設によって幅があります。
一般的な賃貸物件のように、日当たりや間取りによって費用は異なります。
食費
【介護保険施設の場合】
1日3食分の食費が必要で食事を取らなかった場合(欠食)にも3食分請求されます。
長期間、食事がとれない場合はその分の請求を止めることができるようです。
食費にも自己負担限度額が設けられているので、居住費と同様に高額過ぎる請求はないでしょう。
【民間施設の場合】
各施設によって様々です。
1食ごともあれば、1日単位で設定されている施設もあります。民間施設の場合、欠食の請求は少ないようです。
管理費(運営費)
- 施設の共用部分の維持費
- 施設で実施するレクリエーションの費用
- 人件費
管理費は上記に当てるために請求されます。各事業所によって、内容は異なります。
サービス加算
サービスや設備、人員体制などによって、施設介護サービス費に上乗せされる金額です。
内容は施設によって様々なため、加算金額は施設によって異なります。
上乗せ介護費
有料老人ホームなどの施設で請求することが認められた費用です。
入居者3名に対し1名の看護職員、医師は介護職員を配置する決まりになっています。
配置割合を超えて介護職員などを多く配置した場合に上乗せ介護費として請求されます。
日常生活費
日用品や嗜好品に掛かる費用です。
個人で使用する、石鹸や歯ブラシ、趣味の本などが該当します。
民間施設では、紙オムツも自己負担となります。
医療費
医療費や薬代・入院費などの医療的処置にかかる代金は、基本的に自己負担です。
施設に医師が常勤していない場合、協力医療機関の嘱託医が受け持つことが多いでしょう。
【自費リハビリ】りふりのご紹介
自費リハビリとは、公的な医療保険や介護保険を利用できない、費用は自己負担のリハビリサービスです。 保険制度を利用しないので制限の壁や制約がありません。
リハビリを受ける方の希望や目標に寄り添い納得できるリハビリの提供が可能です。 一人ひとりの状態に合った個別対応のオーダーメイドプログラム。
自費リハビリの費用は自己負担ですが、費用対効果を期待できるのも自費リハビリの強みです。
スタジオりふりは、経験豊富なリハビリ専門家が全力でサポートします。
スタジオりふりは、「自分らしい生活を目指したい」「必要なリハビリを受けたい」希望を叶えます。
【自費リハビリ】スタジオりふりは随時、見学・無料体験を実施しております。
事前にご予約いただけると、当日のご案内がスムーズで施設内をゆっくりご覧いただけます。
自費リハビリについて詳しくはこちら↓
『リハビリ難民』200万人超え?原因と対策!需要高まる【自費リハビリ】
リハビリの種類と目的を知って高齢者に合った介護付施設を選ぼう!
ここまで、リハビリの種類と目的についてお伝えしました。
施設によってリハビリの種類や内容は様々です。
当事者または家族はどんなリハビリを受けたいのか、このリハビリは何のためにしているのか、何に効果があるのか…など、意識することが大切です。
■リハビリが受けられる施設
・特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
・介護老人保健施設(老健)
・介護療養型医療施設(2024年3月末をもって全面廃止)
・有料老人ホーム ■高齢者が、介護付施設を選ぶコツ
・目的やゴールによって、リハビリの内容は異なる
・リハビリの種類や内容を正しく把握する
・要介護者の目指す方向・リハビリの目的を明確にする
カテゴリー|ブログ