要介護認定を受けるベストなタイミングは?入院中の場合やとりあえず認定される際に注意点

「要介護認定はいつ受けるのがベストかな」
「要介護認定を受ける際、どんなことに注意すればよいのかな」
と疑問を抱いている方のために、要介護認定を受けるタイミングについて情報をまとめました。
介護保険サービスをスムーズに利用するためには、要介護認定を受けるタイミングが重要です。適切なタイミングで要介護認定を受けなければ、経済的な負担や家族の介護負担が増える可能性があります。
要介護認定を受けるベストなタイミングやとりあえず要介護認定を受けるメリット・デメリットなどについて解説するため、参考にしてください。
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要介護認定の申請条件

- 64歳9ヶ月
- 65歳未満かつ16の特定疾病が原因で長く介護状態が予想できる場合
要介護認定は、原則として65歳以上の人と特定疾病を持つ40~64歳の人が申請可能です。65歳以上で、加齢に伴って日常生活を送るのが困難な場合、申請することができます。
65歳未満であっても、厚生労働省が定める16の特定疾病に該当していると申請が可能です。16の特定疾病には関節リウマチや末期がん、若年性認知症などが挙げられます。年齢が若くても長期にわたり介護状態が続くことが予想できるため、例外的に認められているのです。
上記いずれかの条件を満たしていれば要介護認定の申請自体はできます。
要介護認定を受けるベストなタイミング

要介護認定を受ける適切なタイミングは、入院中なのか自宅生活なのかで異なります。それぞれの場合について、詳しく見ていきましょう。
入院中の場合
入院中の場合は、退院予定日の1~2か月前に要介護申請をするのが適切とされています。申請から結果通知まで通常30日程度かかるため、退院してから申請すると退院直後に介護保険サービスが使えず、生活が困難になる可能性があるからです。退院後すぐに介護保険サービスを利用したい場合は、退院予定日の1~2か月前に申請しましょう。
逆に、あまりにも早い時期に申請してしまうと、身体状況が安定しておらず要介護認定の調査が行えない場合があります。入院初期や手術直後は病状が不安定であるため、ある程度退院後の生活が見通せる状態になってから申請しましょう。
しかし、末期がんで余命宣告を受けているケースは、一刻も早く申請が必要です。
自宅生活の場合
- 食事や排せつが難しくなった
- 身の回りのことが困難になった
- 介助が必要なことが多くなった
- 物忘れやうつの症状がみられるようになった
自宅で生活している場合、上記のように日常生活で周囲のサポートが必要だと感じる機会が増えたときが要介護認定を申請するベストなタイミングです。
また、認知症を発症すると特に在宅介護が大変になるといわれてます。家族が介護疲れを起こさないように、物忘れやうつの症状が出てきたらできるだけ早めに申請をして、要介護認定を受けましょう。
自立生活ができていても申請した方がいい場合
自宅での自立生活を維持するために、住宅改修や特定福祉用具の購入・レンタルをしたいと感じたときは、要介護認定を申請するタイミングの一つです。
介護保険を利用して住宅改修や特定福祉用具の購入・レンタルをしたい場合、要介護認定を受けている必要があります。そのため、現時点で介護が不要な高齢者でも介護保険を利用して自宅に手すりを付けたり腰掛便座を導入したりしたい場合は、要介護認定を申請するとよいでしょう。
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要介護認定を受けるために必要なこと

- かかりつけ医を見つけておく
- 役所で要介護認定の申請をする
要介護認定を受けるためには、上記2つのステップが必要です。各ステップを分かりやすく解説します。
かかりつけ医を見つけておく
要介護認定の申請には、主治医の意見書が必要不可欠です。市区町村に申請をすると、かかりつけ医に意見書を求めます。
主治医の意見書とは、申請者の状態を医師が医学的知見から評価して、心身の状況や病名を記載するものです。要介護認定は主治医の意見書やほかの調査結果に基づいて、必要とする介護の度合いが決められます。
かかりつけ医がいないと新しく医療機関を受診してから申請手続きを進めなければならず、申請に時間がかかってしまうため、申請前にかかりつけ医を見つけて何回か受診しておくとスムーズでしょう。
役所で要介護認定の申請をする
- 要介護(要支援)認定申請書
- 介護保険被保険者証
- 健康保険被保険者証(40~65未満の第2号被保険者)
- 個人番号(マイナンバー)
- 身分証明書(運転免許証などの顔写真付き)
- 主治医の情報が確認できるもの
- 委任状※本人以外申請する場合
- 印鑑※本人以外が申請する場合
- 代理人の身分証明書※本人以外が申請する場合
かかりつけ医を見つけた後はお住いの市区町村に上記の必要書類を提出し、要介護認定の申請をしましょう。手続きは原則本人または家族が行います。
ただし、何らかの事情で本人や家族による申請が難しい場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者、介護保険施設の職員が代理で申請可能です。
書類の郵送を受け付けている自治体も多いため、確認しておきましょう。また、委任状が必要になるケースがあり、事前に問い合わせておくと安心です。
とりあえず要介護認定を受けておくのは?

現状、家族のサポートなどで問題なく生活できており、介護保険サービスを利用する予定のない高齢者に関して「とりあえず要介護認定を受けておいたほうがいいかどうか」と悩んでいる人は少なくないでしょう。
とりあえず要介護認定を受けておくメリットとデメリットについて、ご紹介します。
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とりあえず要介護認定だけ受けるメリット
- いざというときにすぐサービスを利用できる
- 精神的に安心できる
- 一時金などがもらえる場合がある
要介護認定を受けておくといざというときにすぐサービスを利用できる点が大きなメリットです。実査、要介護認定だけ受けて介護保険サービスを利用していない人は、少なくありません。
たとえば、急な怪我や疾病によって日常生活を送るのが困難になった場合、要介護認定を受けていればケアマネジャーによるケアプランの作成や福祉用具の購入・レンタル、住宅改修などの利用が速やかになります。
また、いざというときすぐ介護保険サービスを利用できる状況は、一人暮らしの高齢者やその家族にとって安心できる環境でしょう。要介護認定を受けていることで、自治体や地域包括支援センターとのつながりが持てる点も、メリットの一つです。
民間の保険会社に加入している場合は、要介護認定を受けると一時金がもらえるケースがあります。自治体によっては、介護保険サービスを利用していなくても、要介護認定を受けるだけで自治体から紙おむつを支給されたり水道料金の減免が受けられたりするなど、金銭的なメリットが得られる可能性がある点もメリットです。
とりあえず要介護認定だけ受けるデメリット
- いざサービスを使おうと思ったときに区分変更申請が必要な場合がある
- 有効期限が切れる前に更新しなければならない
とりあえず要介護認定を受けた後に、高齢者の状態が変化するケースは少なくありません。
実際に介護保険サービスを利用しようとしたとき、過去に要介護認定を受けたときと身体状況が変わっていると、必要なサポートが十分に受けられない可能性があります。
たとえば、とりあえず要介護認定を受けたときは要支援1で、実際に介護保険を利用しようと思ったときにはさらに介護度が上がっていた場合でも、利用できるのは要支援1対象のサービスのみです。
現状の介護度に応じたサービスを受けるためには、区分変更の申請を行い、再び主治医の意見書など書類を市区町村に提出しなければなりません。
また、要介護認定に有効期限がある点もデメリットの一つです。初めての要介護認定は原則6か月有効であり、最長でも1年と決められています。有効期限が切れる前に更新手続きが必要で、期限が切れると未認定となってしまうでしょう。
要介護認定を受けた状態を維持するためには、介護保険サービスを利用していなくても定期的な更新をしなければなりません。
要介護認定は早めが安心だけど更新などの手間も考慮しよう
要介護認定を受けるタイミングは、明確に決められているわけではありません。
たとえば入院中の場合は、退院予定日の1~2か月前に要介護認定の申請をすると、退院後すぐに介護保険サービスを利用できる環境を整えられるでしょう。
自宅生活中の場合は、日常生活で周囲の人のサポートが必要だと感じる機会が増えたときがベストなタイミングだといわれています。
要介護認定の手続きには、要介護認定申請書や主治医の意見書など多くの書類が必要です。主治医の意見書はかかりつけ医がいないと書いてもらえないため、要介護認定の申請をする前にまずはかかりつけ医を見つけておかなくてはなりません。
早めに申請しておくと安心ですが、いざ介護保険サービスを利用しようとしたときに区分変更申請が必要になる場合があるほか、定期的な更新手続きの手間が発生することも考慮しましょう。
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