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2022.8.3

【介護保険】とは?目的や受けられるサービス・制度のしくみを徹底解説!

【介護保険】とは?目的や受けられるサービス・制度のしくみを徹底解説!

「介護保険制度とは?」「介護保険制度の目的は?」など介護保険で利用できるサービスについて知りたいひとへ、この記事は厚生労働省の情報を踏まえ、介護保険の制度や目的などを解説します。

今後、自身や家族が介護保険サービスを利用する際に、制度のしくみや目的・サービスを正しく理解することで、いざという時に役立つでしょう。ぜひ最後までお読みくださいね。

介護保険とは|保険料は何歳から?

介護保険制度のしくみ
  • 介護保険の対象者・適用条件
  • 介護保険料とは
  • 介護保険の予防給付について

介護保険は、介護を必要とする人に対して介護費用の給付が受けられる保険です。
40歳で介護保険に加入し、保険料の支払いが始まります

保険制度は加入対象者が保険料を負担して、介護が必要な人へ給付する仕組みです。

保険は給付(サービス)を受けるためには様々な手続きが必要で、受けることが可能かの審査もあり、「社会全体で介護が必要な人を支える」しくみになっています。

介護保険制度のしくみについてはこちら↓
介護保険制度のしくみとは?申請の流れ~使い方と利用できる3つのサービス

介護保険の対象者・適用条件

介護保険は、40歳に達して加入したときから利用可能ですが、第1号被保険者(65歳以上)と、第2号被保険者(40歳以上65歳未満)では利用内容が異なります。

第1号被保険者は、要介護認定の申請をして介護状態(要支援1〜2、要介護1〜5)の区分ごとの介護保険サービスの利用が可能です。

訪問介護・施設サービス・地域密着型サービスなどの介護保険サービスが利用できます。

第2号被保険者は、介護保険制度の適用には一定の条件があります

国で指定された特定疾病に限り、要介護認定を受けた場合に介護保険のサービスが利用できます。

【特定疾病(介護保険の対象)】

訪問介護についてはこちらから↓
訪問介護とは?受けられるサービスや料金を簡単に解説

介護保険料とは

介護保険料は、40歳になると支払いの義務が生じます。

支払い方法は「40歳から64歳まで」と「65歳以上」で異なります

40歳〜64歳の第2号被保険者は、健康保険料の一部として介護保険料を納付。

会社員の支払い方法は、給料からの天引きです。

自営業の支払い方法は、「口座振替」または、「役所・銀行・コンビニエンスストア」などに納付書を出し納付しましょう。

65歳になると第1号被保険者という区分に変わります。
今までは健康保険料の一部として介護保険料を支払っていましたが、別途支払うようになります。

さらに、年金の受給額に応じて「特別徴収」と「普通徴収」の2種類の納付方法に分類。

年間、18万円以上ある年金受給者は、年金から自動で引き落とされる「特別徴収」へ。
年金から天引きされるため特別な手続きの必要はありません。

年金受給額が年間18万円以下、あるいは年金の繰下げ受給を選択した場合「普通徴収」で納付。

支払い方法は、「口座振替」または、「役所・銀行・コンビニエンスストア」などに納付書を出し納付しましょう。

※専業主婦・主夫であり、64歳まで介護保険料を配偶者の健康保険料で納付していた場合
➡65歳になると、「特別徴収」か「普通徴収」のどちらかで介護保険料を納付する

介護保険の予防給付について

予防給付とは、「要支援」の認定を受けた人が利用できる介護保険制度のサービスで、要介護状態になることを予防・自身で日常生活を送ることを目的にしています。

生活する上で必要な、食事・入浴支援やリハビリを通して心身機能の維持と改善を支えるサービスが受けられます。

介護保険制度の目的

介護保険制度の目的


介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして創設された社会保険制度です。(平成12年4月施行)

創設された背景には、高齢化が進行することで介護期間が長期化したり、介護を必要とする高齢者が増加したりすることが想定されています。

さらに、核家族化の増加や介護する家族の高齢化も進みます。

以上のことから、従来の制度では太刀打ちできない状況になっていくと考え、介護保険制度がつくられました。

介護保険制度の実施主体(保険者)は、地域住民に身近な行政主体=市町村
広域的なサービス提供体制の整備や必要な助言・適切な援助により、保険者をサポートする役割を担っています。

介護保険制度|成り立ち

介護保険制度の成り立ち
  • 創設理由|公営者を社会全体で支えるために
  • 介護保険制度|その人らしい生活を支える
  • 介護保険利用者に合ったサービスを契約できるように

続いて、介護保険制度の成り立ちについて説明します。

創設理由|高齢者を社会全体で支えるために

長寿国となった日本は、超高齢化社会を迎えています。

高齢化の進展に伴い、「認知症や寝たきり介護を必要とする高齢者の増加」「介護期間の長期化」「重度化」などで、介護の重要性・必要性が増大しています。

さらに、家族形態の変化により「少子化・核家族化」「高齢者のみの世帯の増加」「介護する家族の高齢化」など、状況は深刻です。

介護が必要になった高齢者やその家族を、日本の社会全体で支えあっていく「仕組み」として平成12年4月に施行されました。

介護保険制度|その人らしい生活を支える

自立支援による「その人らしい生活の実現を目指すこと」は、介護保険制度の大きな特徴です。

介護保険制度の目的のひとつに自立支援があり、「介護が必要な高齢者の尊厳を保ち、能力に応じ自立した日常生活送れるようサポートしていく」です。

自立支援には、「要介護度」「日常動作(ADL)」「本人の意思」などが挙げられます。

具体的には、要介護度の維持または改善しているか、着替えや排泄などひとりで行う日常動作の維持ができているか、本人の意思を尊重した生活や趣味活動ができているかなどです。

介護が必要になった高齢者の自立支援は、介護サービスの提供と同時に医療との連携も重要です。
身体状況・生活環境に合わせ総合的な支援が必要とされています。

介護保険利用者に合ったサービスを契約できるように

これまでの老人福祉制度の問題点は、利用者が自由にサービスを選択できないという点でした。

原因として、市町村がサービス・提供機関を決定していたからです。

介護サービスは市町村からの提供が基本だったので、サービス内容が一様で個性や特徴のないものでした。

介護保険制度では画一的なサービスから、利用者が自らサービスの種類や事業者を選べるよう規定しました。

市町村の提供する公的な施設の他に、民間企業などの事業者がサービスを提供することで、選択肢も増加。

また、ケアマネジャーが介護計画書(ケアプラン)を作成する居宅介護支援サービスも開始されたことで、利用者や家族の要望に寄り添い、適切なサービスの提供が可能となりました。

介護保険で受けられるサービス一覧

居宅サービスは種類が非常に多いため、「訪問サービス」「通所サービス」「短期入所サービス」に分けて各サービスの内容を決定します。

要介護・要支援者が現在お住まいの地域で受けられる介護サービスです。

訪問サービスサービス内容
訪問介護利用者の自宅に訪問し、買い物や掃除・食事や排泄などの介助
訪問入浴介護利用者の自宅に訪問し、移動式浴槽を使って入浴介助
訪問看護利用者の自宅に訪問し、医師の指示に基づく医療処置、医療機器の管理、床ずれ予防・処置
訪問リハビリ
テーション      
利用者の自宅に訪問してリハビリテーションの指導・支援

訪問サービスは、要介護者・要支援者の自宅へ訪問し、掃除や買い物などの生活支援・食事や排泄などの介助・健康管理や衛生管理指導などの看護、入浴・リハビリなどを提供するサービスです。

通所サービスサービス内容
通所介護施設に通われる利用者に、食事や入浴や入浴および排泄などの介助、リハビリやレクリエーションなどを提供
通所リハビリ
テーション       
施設に通われる利用者に、食事や入浴や入浴および排泄などの介助、リハビリやレクリエーションなどを提供

通所サービスは、自宅で暮らす要介護者・要支援者が施設へ通所し、日中を過ごします。

食事や排泄の介助、衛生管理や健康管理指導、入浴・リハビリなどを提供するサービスです。

短期入所サービス    サービス内容
短期入所生活介護施設に利用者が短期の間入所し、食事や排泄の介助、リハビリやレクリエーションなどを提供
短期入所療養介護施設に利用者が短期の間入所し、食事や排泄の介助、リハビリやレクリエーションなどを提供

短期入所サービスは、要介護者・要支援者を施設に短期間施設内に受け入れ、食事や排せつなどの介護、健康管理や衛生管理指導などの看護、入浴・リハビリなどを提供するサービスです。

施設サービスサービス内容
介護老人福祉施設
入居者生活介護
特別養護老人ホームに利用者が長期の間入居し、食事や排泄などの介助、リハビリやレクリエーションなどを提供
介護老人保健施設
入居者生活介護
介護老人保健施設に利用者が一定の期間入居し、食事や排泄の介助、医療などの処置を提供
介護療養型医療施設入居者生活介護介護療養型医療施設に利用者が入居し、医師の管理下、リハビリや食事・排泄の介助などを提供
介護医療院長期にわたり、療養が必要な方へ介護・医療的ケアを提供

施設サービスは、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「介護医療院」に入所した要介護者に対して提供されるサービスです。

地域密着型サービス(居住地により種類は異なる)
 ※こちらをクリックすると詳細が見えます
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 夜間対応型訪問介護
  • 地域密着型通所介護
  • 療養通所介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 認知症対応型共同生活介護…グループホーム
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護

介護保険|介護保険の自己負担割合について

  • 負担限度額認定について
  • 市区町村が行う「おむつ支援」で負担軽減

自己負担額は基本1割ですが、介護保険制度の公平性を保つために、現役並みに所得がある高齢者は、介護保険サービスの自己負担割合が2割〜3割に引き上げられます

自己負担割合が1〜3割のどれに該当するかは、「介護保険負担割合証」が送付された時点で確認できます。

令和4年度以降、団塊の世代が75歳以上の高齢者となり少子高齢化が進む中、現役世代の医療費負担の上昇を抑えながら、全世代のひとたちが安心できる社会保障制度を構築することが重要となります。

現代の厳しい状況を踏まえ、令和3年法律改正で後期高齢者の窓口負担割合の変更等、医療保険制度における給付と負担の見直しを実施。

全ての世代が公平に支え合う「全世代対応型の社会保障制度」を構築することを目的としています。
参考サイト:後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)

負担限度額認定について

介護保険では、介護サービスを1〜3割負担で利用することができますが、施設内や住居費での食費は基本全額自己負担で、家庭経済の負担になることも…。

そんなとき活用したいのが「負担限度額認定制度」です。

介護施設を利用する際の食費や住居費の自己負担を軽減。

負担限度額認定制度は低所得者を対象としており、負担限度額は各家庭の所得により決定します。

介護保険負担限度認定制度を利用するには、負担限度額認定証が必要になります。

申請書類は市区町村の窓口や地域包括支援センター・各自治体のwebサイトで配布。
居住地の自治体へ申請書を提出します。

※現在利用中の介護施設が現住所と異なる自治体にある場合は、提出先は元から住んでいた自治体になります

市区町村が行う「おむつ支給」で負担軽減

例えば、東京葛飾区の場合。毎月、紙おむつをご自宅へ配送。
医療機関などに入院し、区の支給する紙おむつを利用できない場合は、紙おむつ代を助成。※介護保険施設等への入所者を除く

葛飾区のwebサイトによると、
“区内在住で、住民税非課税世帯に属する常時失禁状態の方のうち、次のいずれかに該当する方。(注釈)住民税非課税世帯とは、住民登録上、同じ世帯の方全員の住民税が課税されていない世帯です。

・要介護度が2以上の方(65歳未満で特定疾病により認定を受けている方を含む)
・65歳以上で、身体障害者手帳1,2級か愛の手帳1,2度をお持ちの方
・65歳以上で、脳性まひか進行性筋萎縮症の方
申請月からの支給となり、さかのぼっての支給はできません

また、同じ月に紙おむつの支給と使用料の助成を同時に受けることはできません。
障害者総合支援法や障害福祉サービスにより支給の対象となる方は対象外です。”
引用:おむつの支給・使用料の助成(東京葛飾区webサイト)

介護保険改正の動き

介護保険改正の動き

介護保険は2000年の制定以降、3年ごとに見直され、次は2024年。

少子高齢化の波がはやく進み、介護保険の財政面での改善を目指し、永続的に制度を運営していくために3年ごとの改正を行っているのです。

今後は、介護から介護予防の考え方が主流になります。

要介護状態ではない人に対して介護予防として、心身機能の維持・改善を目指した支援や取り組みです。

これまでの全国一律の介護予防サービスから、地域の情勢に合わせたサービスの提供を目指しています

3年ごとに改正されると、例えば、改正前は使えていたサービスが改正後に使えなくなったり、サービス内容が変わっていたりと介護保険利用者に直接影響があります。

自分自身や家族にも関わる介護保険制度の改正は、しっかり情報収取をし確認しておくことが大切になるでしょう。

介護保険制度のしくみを理解して受けられるサービスを上手に活用!

この記事では、介護保険の目的や受けられるサービス・制度のしくみについてお伝えしました。

超高齢化社会を迎えた日本は、介護が必要になった高齢者やその家族を、社会全体で支えあっていく「仕組み」になっています

介護が必要な自身や家族が、受けられるサービスを知り上手に活用する。

この記事をきっかけに、情報収集をし介護保険サービスや、お住まいの地域サポートの活用を目指していきましょう。




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