認知症の高齢者は水分不足に注意が必要?脱水になりやすい原因や水分補給の工夫

「認知症は水分不足になりやすい?」
「認知症の親が水分不足かもしれない」
など不安な方もいるのではないでしょうか。
認知症の高齢者は、水分摂取を勧めてもなかなか飲んでくれないことがあります。
拒否されると無理強いはできず「飲みたくないなら仕方ないかな」と悩む方も少なくありません。
しかし、適切な水分量を摂れないと、脱水症状や熱中症、感染症などさまざまな不調につながる可能性があります。
この記事では、認知症の高齢者が水分不足になりやすい原因と体への影響、水分補給を嫌がるときの対処法をわかりやすく解説します。
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認知症の高齢者は水分不足になりやすい

- 喉の渇きに気づかない
- 水分補給を忘れてしまう
- 水分を控えてしまう
認知症の高齢者が水分不足になりやすい原因は、主に上記の3つです。加齢や認知機能の低下による体の変化が関係しています。
喉の渇きに気づかない
高齢者は、感覚機能の低下で喉の渇きを感じにくくなり、水分摂取量が減る傾向にあります。
また、成人よりも体に蓄えられる水分量が少なく、水分不足になりやすい状態です。
認知症になると認識・判断力も低下するため、水を飲もうという意識も薄れてしまいます。
水分補給を忘れてしまう
認知症になると記憶障害によって、水を飲むことを忘れたり、飲んだことを覚えていなかったりします。
本人は「飲んだ」と言っていても、実は長時間飲んでいないことも少なくありません。
記憶障害のほかにも、飲み物だと認識できなかったり、コップをうまく使えなかったりなど認識障害があると、水分補給が難しくなるでしょう。
水分補給を忘れる背景には、単なる物忘れだけではなく、複数の症状が重なっていることがあります。
水分を控えてしまう
認知症の高齢者は、トイレが近くなる不安や、飲み物をこぼしてしまう心配から、水分を控えてしまうことがあります。
認知症になるとトイレの場所やタイミング、排せつのやり方などを忘れ、尿失禁しやすくなったり、コップの持ち方や距離感などがわからず水をこぼしたり、失敗することも多くなるでしょう。
失敗体験は記憶が薄れても強く残りやすいため、水分を拒否する行動につながる可能性があります。
水分不足が認知症の高齢者にもたらす悪影響

- 脱水症や熱中症
- 便秘や尿路感染
- 食欲不振や血圧低下
- せん妄による認知症悪化
水分不足になると、上記のような不調を引き起こす可能性があります。
高齢者に必要な水分量は、食事以外で1日に1,000〜1,500ml(コップおよそ5〜7杯)が目安です。
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高齢者の水分補給は何がいい?1日の摂取量目安やタイミング・拒否された際の対応など
脱水症や熱中症
高齢者はもともと体内の水分量が少ないため、水分が不足するとめまいやだるさなどの脱水症状が現れやすくなります。
また、水分が足りないと汗をかいて体温を下げる機能がうまく働かず、体に熱がこもって熱中症リスクも高くなるでしょう。
室内でも熱中症を警戒し、エアコンなど活用しながら水分を補いましょう。
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便秘や尿路感染
体の水分が不足すると、便がかたくなって便秘を引き起こしたり、尿の量が減って尿路感染症を発症したりしやすくなります。
水分を吸収する働きがある大腸は、体内の水分が足りない場合に便の水分を奪い、便をかたくしてしまうため、排便しにくくなるでしょう。
また、水分不足で尿の量が減ると、排尿によって排出される膀胱内の菌を十分に洗い流せず、尿路感染症のリスクが高まると考えられています。
食欲不振や血圧低下
水分不足で血液中の水分量が減少すると全身の血流が低下し、消化機能の鈍化による食欲不振や、血圧低下をまねくおそれがあります。
食欲が落ちると水分だけではなく栄養も不足してしまい、筋力や体力の低下にもつながるでしょう。
また、血圧が下がるとめまいや立ちくらみが起こるため、転倒に注意が必要です。
せん妄による認知症悪化
- 意識がぼんやりする
- 幻覚が見える
- 時間・場所・人がわからなくなる(見当識障害)
水分不足で血液中の水分が不足し、血液がドロドロになると、脳の働きが鈍って上記のような「せん妄」と呼ばれる症状が現れることがあります。
認知症と区別がつきにくいため、認知症が悪化したと誤解されることもあるでしょう。
せん妄は原因を解決すると改善する可能性があるため、認知症の悪化が疑われたときは、水分不足も原因の1つとして考えてみましょう。
せん妄になると、食事や睡眠が十分にとれなくなったり、活動量が少なくなったりします。
その状態が続いて心身の機能が低下すれば、認知症の悪化につながることも少なくありません。
認知症の高齢者が水分補給を拒否したら?

- 水分量の多いおやつや食事にする
- 好きな飲み物を用意する
- コップを認識しやすい状態にする
- 家のなかでも水筒を用意する
認知症の高齢者に水分を拒否されたら、本人が飲みたくなるように環境を整えてみましょう。家庭で取り入れやすい方法を紹介します。
水分量の多いおやつや食事にする
水分は拒否しても、食べ物なら摂ってくれることがあります。
ゼリーやプリン、ヨーグルト、スイカなどは水分が多く甘みもあり、おやつとして楽しみながら水分補給が可能です。食事には味噌汁やおかゆなど、なるべく水分の多いものを選ぶとよいでしょう。
好きな飲み物を用意する
好きな飲み物なら自発的に飲んでくれることがあるため、本人の好みに合わせて飲料を選びましょう。
甘いものやカフェインが入っていても、水分摂取量が少ないときは、まずは飲んでもらうことを優先します。
ただし、糖尿病の方は糖分の摂り過ぎで症状が悪化する可能性があるため、かかりつけ医に相談しましょう。
香りで楽しめるフレーバー麦茶や、レモン風味の無糖炭酸水などは糖分を気にしなくてもよいため取り入れやすいです。
コップを認識しやすい状態にする
認知症の方は、注意力や認識力の低下で、目の前にあるコップに気づけないことがあるため、見つけやすい色に変えてみましょう。
たとえば、赤や黄色などの濃い色や、テーブルクロスの色などと区別しやすい色を選択すると認識しやすくなります。
また、テーブルの上にある物を減らしたり、本人がよく座る場所にコップを置いたりするのもコップを見つけやすくなるでしょう。
家のなかでも水筒を用意する
- いつでも飲みやすくする
- 取りに行く手間を減らす
- 歩行が不安な人でも手軽にとれる
上記の理由で、水筒の使用は効果的といわれています。本人の近くに水筒を置き、いつでも飲みやすいようにしましょう。
水筒の使い方がわからないこともあるため、飲めているかどうかを定期的に確認します。
認知症高齢者の水分補給で注意すべき点

- 水分の摂り過ぎ
- 誤嚥
- 夜間のトイレ
水分補給は大切ですが、やり方を間違えると本人の負担になることもあるため注意が必要です。特に気をつけたいポイントを見ていきましょう。
水分の摂り過ぎ
一度に大量の水を飲むと体に大きな負担がかかるため、注意が必要です。
認知症の症状によっては「さっき水を飲んだこと」を忘れて短時間に何度も飲んでしまったり、適量が分からずに一気にがぶ飲みしてしまったりすることがあります。
多量の水分が一気に体内へ入ると、血液中の塩分濃度が急激に薄まり、頭痛や意識混濁を起こす「水中毒」のリスクが高まるでしょう。また、内臓が水分の排出に対応しきれず、むくみや息切れにつながる可能性もあります。
認知症の高齢者は体調不良の自覚や言葉での伝達が難しい場合があるため、こまめな水分補給を促し、水分の摂り過ぎに気を付けなければなりません。
誤嚥
認知症が進行すると食べ物や飲み物が誤って気管に入ってしまう「誤嚥」のリスクが高まるため、水分補給の際は気を配らなければなりません。
加齢による飲み込む力の低下に加え、認知症の方は食べ物や飲み物を飲み込むタイミングがつかみにくくなり、誤嚥を引き起こしやすくなります。
とろみをつけたり、ゼリー状の水分を活用したりし、安全に水分補給できる環境を整えましょう。
夜間のトイレ
寝る前に水分を摂り過ぎると、夜間の頻尿や失禁につながることがあります。
認知症の高齢者は、見当識障害からトイレの場所や使い方がわからず、徘徊やパニックを引き起こす可能性があるでしょう。
夜間の尿意で起きてしまうと、そのまま昼夜逆転してしまうことも考えられます。夜中は介護者のサポートも手薄になりやすいため、水分補給は日中を中心に行い、夕方以降は控えめにするなど対策しましょう。
就寝前にトイレを済ませると、尿意による中途覚醒を抑制が期待できます。
認知症高齢者の水分不足は飲みやすい工夫で予防しよう
認知症の高齢者は、喉の渇きに気づきにくかったり、飲んだことを忘れてしまったりするため、水分不足になりやすいです。
体調不良だけでなく、せん妄を通じて認知症の症状を悪化させることもあるため、日頃からの水分補給は欠かせません。
一方で、摂り過ぎや誤嚥、夜間のトイレといった注意点もあり、量やタイミングへの配慮も必要です。好きな飲み物を用意する、水分の多いおやつを取り入れる、コップを目につく場所に置くなど、本人が自然に飲みたくなる工夫から始めてみましょう。
うまくいかないときは1人で抱え込まず、かかりつけ医や介護の専門職に相談してみてください。
PROFILE
看護師
竹澤孝平
(Takezawa Kohei)
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