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2022.3.7

車いすユーザーはタクシーに乗れる?普通のタクシーと介護タクシーの違い

車いすユーザーはタクシーに乗れる?

車いすでタクシーを利用したいけど「車いすを乗せられるか? 」「運転手の方は手伝ってくれるか? 」等の不安を感じたことはありませんか?

また、介護タクシーの存在は知っていても、料金や利用方法がわからない方もいることでしょう。

さまざまなことが明確でないと、安心して外出ができません。

この記事では、車いすで利用できるタクシーの種類や料金、注意点、普通のタクシーと介護タクシーの選択方法などについて解説します。

車いすでのタクシー事情を把握しておけば、安全かつ安心して車いすで外出ができるでしょう。

車いすでタクシーは利用できる?タクシーの種類や料金・注意点

車いすでタクシーは利用できる?

車いすで利用できるタクシーは、いくつか種類があります。

まずは、それぞれの特徴をチェックしていきましょう。

タクシーの種類特徴
普通のタクシー・普通車とワゴンタイプがある
・車いすはトランクに積む  
介護タクシー・車いす用のスロープやリフトが設置されている
・介護保険適用、適用外がある        
福祉タクシー・車いす用のスロープやリフトが設置されている
・介護保険は適用されない

タクシーは大きく分けて3種類あり、それぞれ車いすの運び方などが違います。

普通のタクシーでは車いすをトランクに積み、介護タクシーや福祉タクシーは車いすのまま乗車が可能です。

介護タクシーと福祉タクシーは見た目は似ていますが、介護保険が適用されるか否かに違いがあります。

車いすで普通のタクシーを利用する方法

  • 車いすでの乗車方法
  • 利用時の注意点

車いすで普通のタクシーを利用する際の乗車方法や注意点を紹介します。

車いすでの乗車方法

車いすはトランクに積める折りたたみのものであれば、一般的な荷物と同じように積載が可能で、人は客用座席に座ります。

車いすからタクシーの座席に移乗すれば、タクシードライバーが車いすをトランクに積んでくれるでしょう。

普通のタクシーを利用する際の注意点

  • 車いすのまま乗車は不可
  • ドライバーに移乗の介助はしてもらえない
  • 移乗しにくい場合がある

普通のタクシーは福祉に対応した仕様になっておらず、車いすに乗ったままの乗車はできません

タクシードライバーは、座席や車いすへの移乗介助はしないため、ある程度、立ち上がりが出来ないと乗降の際に転倒してしまうリスクもあります。

また、普通のタクシーの扉はあまり大きく開かないことが多く、車いすから座席への移乗がしにくい場合もあります。

このような点を踏まえると、車いすで普通のタクシーを利用する際には、家族やヘルパーの方が付き添っていると安心です。

介護タクシーの介護保険適用条件や利用方法・料金・注意点

介護タクシーの利用方法
  • 介護タクシーの介護保険適用条件
  • 介護タクシー利用方法
  • 介護タクシーの料金相場
  • 介護タクシーの注意点

介護タクシーとは、車いすを利用している方や要介護認定を受けている方向けの送迎サービスです。

介護タクシーは普通のタクシーのような旅客運送業ではなく、訪問介護のサービスの一つとして位置づけられており、送迎だけでなく、乗降する前の排泄介助や衣類の着脱、乗降介助などのサポートが受けられます。

運転手の方は、普通自動車第二種免許に加えて、介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)の取得が義務つけられていることから、外出時に家族が付き添う必要もありません。

なお、介護タクシーは、介護保険適用と保険適用外があり、介護保険適用の場合は、利用条件があるので以下でチェックしておきましょう。

介護タクシーの介護保険適用条件

  • 日常生活上または社会生活上で必要不可欠な外出である
  • 要介護1以上の認定を受けている
  • ひとりで公共交通機関の利用が困難である
  • 通院における乗降介助のケアプランが立てられている

介護タクシーは、介護保険適用と適用外のものがあります。

介護保険適用の介護タクシーは、要介護1以上で通院時に介助が必要な方が利用できます。

また、利用目的は、通院・銀行預金の引き出し・公共料金の支払い・選挙投票・役所での申請手続きなど、生活上で必要不可欠な事柄に限定されています。

介護タクシーの利用方法

介護保険適用の介護タクシーを利用する場合には、ケアマネージャーに希望を伝えてタクシー会社を紹介してもらいます

介護保険適用外の場合には、市区町村の介護タクシーを自分で探すか、ケアマネージャーに相談をして紹介してもらうことが可能です

ただし、介護タクシーの会社によって料金やサービス内容が多少異なるので、どのような介助が必要なのかを伝えて、一度見積もりを出してもらった方がよいでしょう。

また、介護タクシーの会社選びに迷ったら、保険適用外であっても一度ケアマネージャーに相談してみてください。

介護タクシーの料金

運転種別料金相場
距離設定の場合500~1,000円/30分
時間設定の場合800円/2km
※1km追加ごとに300~400円加算

介護タクシーの料金は、運賃+介助サービス料+介護器具のレンタル費用で決まります。

運賃は、介護タクシーの提供会社によって、距離または時間のどちらかで料金が設定されています。

例えば、時間で運賃が設定されているケースでは、30分毎に500〜1,000円程度が相場となっています。

一方で、距離で運賃が設定されているケースでは、2kmあたり800円程度。その後は1km毎に300〜400円ずつ加算されることが多い傾向にあります。

介護タクシーは、普通のタクシーよりも料金は高めですが、介助サービスを受けられるため、家族が外出に付き添えない際には便利です。

なお、介護タクシーで介護保険が適用となる場合は、介助サービスのみ1割~3割負担で、その他の費用は介護保険が適用とならないので注意しましょう。

介護タクシーを利用する際の注意点

介護タクシーのタクシードライバーは、原則的には病院内の付き添いはできません

病院内で移動のサポートや見守り、排泄介助が必要な場合などは認められるケースもありますが、市区町村によって規定に違いがあります。

担当ケアマネージャーによく相談しましょう。

また、介護保険外で介護タクシーを利用する際には、全額自己負担になるので注意が必要です。

タクシードライバーは、介護に関する資格をもっていない方もいるため、料金と併せて、どのようなサービスや介助を受けられるのかを、事前に確認しておくとよいでしょう。

福祉タクシーの利用方法や料金・注意点

福祉タクシーの利用方法
  • 福祉タクシーの利用方法
  • 福祉タクシーの利用料金
  • 福祉タクシーを利用する際の注意点

福祉タクシーは、介護タクシーと車のしくみが似ていますが、介護保険の適用外で、原則的には介助サービスは受けられません。

利用対象者や利用方法、料金なども異なるので、以下でチェックしていきましょう。

福祉タクシーの利用方法

福祉タクシーとは、身体に障害を持った方向けのタクシーです。

ほとんどのタクシーに車いす専用のスロープやリフトが設置されており、車いすのまま乗車できます。

目的地に限定はなく、ちょっとした買い物や旅行での利用もOK。

家族やヘルパーの方も同乗が可能です。

福祉タクシーを利用するには、福祉タクシー会社に事前予約をし、当日に精算をします。

福祉タクシーの利用料金

福祉タクシーの利用料金は、時間で運賃が決まるのが一般的ですが、タクシー会社によっては距離で計算する場合もあります。

料金の相場は以下の通りです。

運賃種別料金相場
時間制運賃30分毎1,000円 / 以降30分毎2,000円 等
距離制運賃2km750円 / 以降272m毎90円 等

福祉タクシーは介護保険適用外ですが、各自治体の助成制度で安く利用できます

例えば、新宿区では身体障害者手帳または愛の手帳を持っている方に福祉タクシー券3,500円分を毎月発行しています。

内容は自治体によって異なるので、ホームページや役所の福祉窓口で内容を確認しましょう。

福祉タクシーを利用する際の注意点

  • 介護保険は使えない
  • 原則的には介助サービスはない
  • 身体に障害がない方は利用できない

福祉タクシーは介護保険適用外で、タクシードライバーは移乗などの介助サービスを行いません。

介助が必要な場合は家族やヘルパーの方の付き添いが必要です。

また、福祉タクシーは身体に障害を持った方が利用対象のため、障害のない高齢者の方は利用ができないので注意しましょう。

普通のタクシーと介護タクシーどっちがよい? | 普通のタクシーが適している方

普通のタクシーが適している方
  • 付き添いがいる
  • 折りたたみ車いすを利用
  • ショッピング等の外出で利用

普通のタクシーと介護タクシーは、利用方法や料金が異なるため、どちらを利用するか迷っている方もいることでしょう。

次は、普通のタクシーと介護タクシーそれぞれに適した方の特徴を紹介していますので、ご自身の状況と照らし合わせながらチェックしてみてください。

家族が付き添える方

普通のタクシーは、バリアフリーでないことが多く、乗り降りの際に背をかがめたり、足を持ち上げたりしなければなりません。

また、タクシードライバーは、少し支えることはできても、車いすから座席に移乗するなどの介助はできません

普通のタクシーは家族やヘルパーの方が付き添える方に適しています。

折りたたみのコンパクトな車いすを利用している方

普通のタクシーのトランクの積載量には限りがあり、フットサポート・アームサポート・手押しハンドルなどが折りたためる車いすであれば積める可能性が高いでしょう。

また、折りたたみでもサイズの大きい車いすは収まらない可能性が高く、トランクの中をキズつけてしまう恐れがあります。

コンパクトな車いすであることは最低条件といえるでしょう。

ショッピングや友人宅に行くなどの外出でタクシーを利用する方

介護保険適用の介護タクシーは、通院や預金の引き出しなどの生活上で必要な外出時の利用に限られます

普通のタクシーは利用目的に条件がないので、ショッピングや友人宅に行くなどの外出の際には、普通のタクシーの方が安く利用できます。

普通のタクシーと介護タクシーどっちがよい? | 介護タクシーが適している方

介護タクシーが適している方
  • 車いすのまま乗車したい
  • 家族が付き添えない
  • 介護保険内で利用したい

次は、介護タクシーに適した方の特徴を紹介します。

車いすのままの乗車を希望する方

介護タクシーは、車いす専用のスロープやリフトが設置されていることがほとんどです。

スロープやリフトがあれば、車いすに乗ったまま乗降ができるため、折りたためない車いすを利用している方や、車いすの乗り降りが困難な方などに、介護タクシーは向いています。

家族が付き添えない方

介護保険適用の介護タクシーの場合は、家族の付き添いはNGとなっています。

介護タクシーは訪問介護の一つであり、介助サービスが伴うため、家族が付き添うとなると、特別な事情がない限りは、介助サービスは必要がないと判断されてしまう可能性が高いでしょう。

家族が仕事で付き添えない、家族が遠方に住んでいるなどの理由で、一人で外出しなければならない方に介護タクシーは適しています。

介護保険内で利用したい方

介護タクシーは、要介護認定を受けている方であれば、介護保険で1~3割負担で利用できます

例えば、2時間の利用で4,000円であれば、介護保険適用で400円~1,200円程度に。

車いすの乗降などで介助が必要な方や、要介護1以上の方などは、介護保険適用の介護タクシーを利用した方が家計にもやさしいでしょう。

普通のタクシーと介護タクシーどっちがよい? | 福祉タクシーが適している方

福祉タクシーが適している方
  • 家族や友人と好きな場所に行きたい
  • 身体に障害がある
  • 車いすで自走ができる

次は、福祉タクシーに適した方の紹介をします。

家族や友人と好きな場所に行きたい方

福祉タクシーは、家族や友人、ヘルパーの方の同乗が認められています

利用目的に限定もないので、家族でショッピングや旅行をしたい場合にとても便利です。

身体に障害がある方

福祉タクシーは、身体に障害がある方が利用対象となっています。

自治体によっては、身体障害者手帳や愛の手帳を持っている方に福祉タクシー券が配布されるので安く利用できます。

車いすで自走できる方

福祉タクシーのドライバーは、介護関連の資格取得が義務つけられておらず、原則的には利用者の介助はできません

家族が同乗しない場合などは、降車後に自走する必要があります。

車いすで利用できるタクシーを上手に使い分けよう

タクシーを上手に使い分けよう

車いすで移動をする際には、さまざまな不安がつきものです。

一人で外出するとなると、よりハードルが高くなるでしょう。

車いすで利用できるタクシーは数種類あり、それぞれ利用条件や利用方法などが異なります。

特に、車いすごと乗車できるタクシーは限られており、介護保険適用の可否で料金も変わってきます。

介助が必要な方は、まずはケアマネジャーに相談をしてみましょう。

もちろん普通のタクシーも状況によっては利用ができるので、ご自身の状況と、必要な介助などを踏まえた上で、タクシーを上手に使い分けてみてください。




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