冬バテって何?症状や原因、対策、チェック方法、おすすめの食べ物を紹介

「冬の体調不良は、冬バテが原因なのかな」
「冬バテにはどんな対策をすればよいのだろう」
冬の体調不良は、冬バテが原因である可能性があります。高齢者は特に冬バテに注意が必要であり、適切な対策を講じなければなりません。
今回は冬バテの症状や原因、具体的な対策について解説します。冬バテ対策におすすめのレシピも2つご紹介するため、冬の体調不良にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
冬バテとは?症状や原因

冬バテとは、寒暖差によって生じる心身の不調をいいます。高齢者は加齢によって体温調節機能が低下しており、寒暖差に対応しにくくなっているため、冬バテには特に注意が必要です。冬バテによる体調の変化を見逃さないために、症状や原因について詳しく見ていきましょう。
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冬バテの症状
- 気分の落ち込み
- 睡眠リズムが崩れる
- 食欲不振・過食
- 倦怠感・頭痛
冬バテを起こすと上記のような症状が現れます。症状が長引くと免疫力が低下して、風邪などに感染するリスクが高まるといわれています。
食欲不振や過食によって栄養が偏ると、体調を崩したり低栄養を招いたりするため、特に高齢者は気を付けましょう。また、気分の落ち込みや睡眠リズムの乱れは家に引きこもる原因となり、運動不足や社会とのつながりが減少することで、介護度を上げてしまうおそれがあります。
上記の症状がみられる場合は、運動や食事などで早めに対策しましょう。
冬バテの原因
- 日が短い
- 寒暖差
- 食生活の偏り
上記の3つは、冬バテの大きな原因です。日が短くなると「セロトニン」の分泌が減ると考えられています。セロトニンは、精神を安定させる作用や良質な睡眠に役立つメラトニンの分泌、食欲のコントロールなどに関与している物質です。セロトニンの分泌が減ると、気分の落ち込みや睡眠の質低下など不調が現れるようになるでしょう。
また、冬は日中と夜間の気温差が大きく、暖房によって室温と外気温の差も激しい季節です。寒暖差によって体温をコントロールする自律神経が過剰に働き、自律神経が乱れて倦怠感などの症状が現れやすくなります。
冬はクリスマスや忘年会・新年会などイベントが多く、食事が偏りがちであることも冬バテの原因になるでしょう。ビタミンやミネラル類は体の調子を整える作用があるため、不足すると体調を崩しやすくなります。イベントが多い時期ほど、食生活に気を付けなければなりません。
これって冬バテ?チェックリストで確認

- 体がだるい
- 気分が落ち込みやすい
- 夜中に何度も目が覚める
- 夜寝ても二中眠くなる
- 頭痛や筋肉のコリがある
- 気分が変わりやすくイライラしがち
- 食欲がない・妙にお腹が空く
上記の症状に該当する数が多いほど、冬バテを起こしているかもしれません。高齢者の冬バテを放置すると、睡眠不足や栄養不足から免疫力が低下して風邪などの感染症にかかりやすくなります。
また、気分の落ち込みや体のだるさから普段の生活を送れなくなり、家に引きこもる原因にもなるでしょう。外出を控えるようになると、筋力が低下したり孤立感が高まったりしてフレイルやサルコペニアになるリスクが上がるため、チェックリストの該当数が多い場合は早めの対処を心がける必要があります。
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冬バテ対策

- 生活リズムを整える
- 体を冷やさないようにする
- 適度な運動をする
冬バテしないためには、上記を心がけましょう。冬を元気に過ごすための、日常生活で取り組める対策を紹介します。
生活リズムを整える
毎日一定の時間に寝起きすると自律神経のバランスを整えることができ、冬バテの症状を軽減させられます。特に朝は、起床後すぐに日光を浴びるのがポイントです。
朝の日光を浴びるとセロトニンの分泌が促され、体内時計がリセットされます。外に出るのが理想ですが、カーテンを開けて日光を取り入れたり照明をつけたりするだけでも効果が期待できるでしょう。
体を冷やさないようにする
体を冷やさないように意識することは、冬バテ対策に有効です。体が冷えると体温を維持しようと交感神経が優位になり、熱をつくり出すためにエネルギーが消費されます。
エネルギーの消費は冬バテ特有の疲れや倦怠感につながるため、体を温める食べ物や飲み物を意識したり入浴したりして、体を冷えから守りましょう。
上着などで適切な防寒対策をすることも大切です。ただし、着過ぎると汗をかいて、かえって冷える原因になるため注意してください。
特に首・手首・足首を意識して温めると、効果的に体を温められるといわれています。タートルネックセーターやアームウォーマー、靴下などを活用して3つの「首」を冷やさないようにしましょう。
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適度な運動をする
適度な運動は、血流を維持して体を冷えから守る効果が期待できます。運動すると気分をリフレッシュでき、憂うつな気分を晴らせる点も嬉しいポイントでしょう。
冬は、寒さの影響で血管が収縮して血流が滞りやすく、体が冷えやすい状況です。また、寒さで家にこもりがちになるため、運動不足になりやすいことからも血流が低下しやすくなっています。
毎日無理なく取り組める、ウォーキングやストレッチなどの運動を生活に取り入れましょう。
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冬バテ対策になる食べ物は?管理栄養士監修レシピも紹介
- 根菜たっぷろゴロゴロポトフ
- 甘酒入り野菜たっぷり豚汁
玄米や根菜類、発酵食品は冬バテ対策におすすめです。玄米にはγ-オリザノールという成分が含まれており、自律神経の働きをサポートする作用があります。毎日のご飯に玄米を混ぜて炊くとよいでしょう。白米:玄米を2:1の割合で炊くと、美味しく食べられるためおすすめです。
根菜類は水分が少なく、体の調子を整えるビタミンやミネラル類が豊富なため、体を内側から温める効果があるといわれています。にんじんやれんこん、大根やカブなどの根菜類を食事に取り入れてみましょう。
納豆やキムチなどの発酵食品は、腸内環境を整える働きがあります。腸には、免疫に関わる細胞の約7割が存在しているといわれているため、腸内環境を整えることは免疫力アップに効果的です。
毎日の食事で、体の内側から冬バテ対策に取り組んでいきましょう。ここからは冬バテ対策におすすめのレシピを2つ、ご紹介していきます。
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根菜たっぷりゴロゴロポトフ

(材料・2人分)
- れんこん 200g
- 玉ねぎ 100g(約1/2個)
- 人参 50g(1/2本)
- 大根 130g(1/8本)
- ウインナー4本
- ★水 3カップ
- ★白ワイン 大さじ1
- ★コンソメ顆粒 小さじ2
- 塩 小さじ 1/4
- こしょう 少々
(作り方)
- れんこんは皮を剥いて1cm幅の半月切りにし、酢水(分量外の水1カップに対して酢小さじ1)に漬けておく。鍋に加える前にさっと水洗いする。玉ねぎは4等分のくし切り、人参は4等分、大根は皮を剥いて1cm幅の半月切りにする。
- 鍋に1.の材料とウインナー、★印を入れて中火で煮る。煮立ったら弱火にしてアクをとり、約20分煮込む。
- 野菜が柔らかくなったら塩・こしょうで味を整えて、完成。
れんこんや人参、大根など根菜類をたっぷり使ったメニューです。材料を切った後は煮込むだけで、簡単に作ることができます。寒い日や体を芯から温めたいときに作ってみてください。
甘酒入り野菜たっぷり豚汁

(材料・2人分)
- 豚肉(薄切り) 100g
- 大根 70g(約2cm)
- 人参 50g(1/2本)
- ごぼう 30g(約10cm)
- こんにゃく 150g(小1枚)
- ★水 2と1/2カップ
- ★和風顆粒だし 小さじ1
- ★甘酒(米こうじでつくられたもの) 100cc
- 味噌 大さじ2
- ごま油 小さじ1
(作り方)
- 大根は皮を剥いていちょう切りに、人参は半月切りにする。ごぼうはそぎ切りにして水にさらし、鍋に入れる前に水気をきる。豚肉は食べやすい大きさに切る。こんにゃくは下ゆでした後、縦半分にしてから幅5mmほどに切る。
- 鍋にごま油を入れて熱し、豚肉を加えて色が変わるまで中火で炒める。
- 大根、人参、ごぼう、こんにゃくを加え、油が全体にまわるまで炒める。
- ★印を加え、煮立ったらアクをとり弱火にして約10分煮る。
- 火をとめて味噌を溶き入れ、再び加熱して煮立ったら火をとめて、完成。
甘酒には食物繊維やオリゴ糖が含まれており、どちらも腸内環境を整える働きがあります。ビタミンB群も豊富で、糖質やタンパク質などの代謝を促してエネルギーに変換する働きがあるため、疲れやだるさを感じやすい冬バテ対策にぴったりです。
甘酒を加えることで、やさしい甘みやコクを感じる仕上がりになります。いつもとひと味違った豚汁を楽しんでみてください。
規則正しい生活や食事の工夫が冬バテ対策のカギ
冬バテは、寒暖差などが原因で生じる体調不良のことです。高齢者は体温を調節する機能が低下しているため、特に気を付けなければなりません。症状が長引くと、免疫力が低下したり引きこもりがちになったりするなど、フレイルやサルコペニアのリスクを高めてしまいます。
冬バテ対策は、朝日を浴びて生活リズムを整える・適度な運動を行う・体を冷やさないの3つがポイントです。体を温める食材を取り入れるなど食事を工夫すると、体の内側から冷え対策ができるため、ぜひ今回ご紹介したレシピを試してみてください。
早めに対策を講じて、寒い冬も健やかに過ごしましょう。
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PROFILE

管理栄養士
今井尚美
(Imai Naomi)
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