BLOG
2025.9.12

要介護認定の結果に対して不服申し立てはどこにする?メリットデメリットなども解説

要介護認定の結果に対して不服申し立てはどこにする?メリットデメリットなども解説

「要介護認定の結果に不服申し立てがしたい」
「要介護認定の不服申し立てをする手順が知りたい」

などお悩みの方へ、要介護認定の不服申し立てについてまとめました。

要介護認定の結果が期待していたものと異なる場合「審査請求」という形で不服申し立てができます。

しかし、調査には時間がかかり、必ずしも納得のいく結果になるとは限りません。

この記事では、不服申し立ての具体的な手続き方法から注意点まで、必要な情報を詳しく解説します。

要介護認定の結果に納得できない場合はどうすればいい?

要介護認定の結果に納得できない場合はどうすればいい?

要介護認定の結果に納得できない場合、都道府県に設置されている介護保険審査会への不服申し立て(審査請求)ができます。

不服申し立ては市区町村が行った要介護認定などの行政処分に対し、その処分が法律や制度に基づき正しく行われたかを第三者機関である介護保険審査会が審査する制度です。

介護保険審査会が要介護認定に不当な点があると判断した場合は、その処分の全部または一部を取り消し、市区町村に要介護認定のやり直しを命じます。

審査の対象は、要介護認定や保険料決定などの処分が制度や基準に基づいて適正に行われたかどうかであり、要介護度の妥当性が個別に判断されるわけではありません。

たとえば「要介護1」という結果に対し、認定のプロセスに問題があったと判断すれば結果を取り消してやり直しを命じるということです。

しかし「要介護1ではなく要介護2にしてほしい」という個々の希望を直接かなえるためのものではありません。

要介護認定結果に対する不服申し立てについて

要介護認定結果に対する不服申し立てについて
  • 不服申し立ての手続き場所:都道府県の介護保険審査会
  • 不服申し立てできる人:本人・親族・代理人
  • 不服申し立て可能な期間:認定結果を受け取った日の翌日から3か月以内

不服申し立ての手続き場所は、各都道府県に設置されている介護保険審査会です。

要介護認定を受けた本人はもちろん、その家族や親族、本人から委任を受けた代理人が手続きできます。

ただし、不服申し立てには期限があり、要介護認定の結果を受け取った翌日から起算して3か月以内に手続きが必要です。

期限を過ぎてしまうと、どのような理由があっても不服申し立てを受け付けてもらえません。

不服申し立てを希望する場合はケアマネジャーや市区町村の窓口に相談し、できるだけ早く書類を準備しましょう。

要介護認定結果に対する不服申し立ての提出書類

要介護認定結果に対する不服申し立ての提出書類
  • 審査請求書 正副2通
  • 委任状 1通(代理人がいる場合のみ)
  • 審査請求書類の送付先について 1通(代理人が勤務先に書類の送付を希望される場合のみ)
  • 添付書類 正副2通(処分内容がわかる決定通知書の写し等がある場合)
  • 身分証明書の写し

不服申し立ての際に必要な書類は、上記のとおりです。各書類の様式は自治体のホームページにあるため、自治体の公式サイトで介護保険のページを確認しましょう。

要介護認定を受けた本人以外が申し立てを行う場合は、委任状も必要です。

各自治体で細かい提出様式や部数が異なることがあるため、申請前に管轄の介護保険担当窓口に問い合わせることをおすすめします。

要介護認定結果に対する不服申し立ての手続き方法

要介護認定結果に対する不服申し立ての手続き方法
  1. 審査請求書など必要書類提出
  2. 審査請求書の補正・趣旨確認
  3. 審査請求書の要件審査・受理
  4. 処分庁による弁明書の確認
  5. 反論書の提出
  6. 審理・裁決・裁決書謄本の受取

要介護認定の不服申し立ては、主に上記の手順で進行します。スムーズに進んだとしても、手続きには数か月かかるでしょう。

審査請求書など必要書類提出

まずは、要介護認定の不服申し立てに必要な書類を揃えて、都道府県の介護保険審査会事務局に提出しましょう。

一部の市区町村では、役所の介護保険担当課が窓口になっている場合もあります。

提出後は、介護保険審査会から受理番号や今後の手続きスケジュールについての連絡があり、書類に不備があった場合は訂正の依頼があるため、連絡先を明確にしておきましょう。

審査請求書の補正・趣旨確認

要介護認定の不服申し立てについて必要書類が提出されると、介護保険審査会によって審査請求書の記載内容が確認されます。

審査請求書に補正が必要な部分があれば、介護保険審査会から具体的な指摘が入るため、指示に従って修正や追記をしましょう。

同時に、介護保険審査会が不服申し立ての意図や目的を正確に把握するために、趣旨の確認がされます。

審査請求書の要件審査・受理

審査請求書の補正が完了すると、介護保険審査会によって要件審査が実施されます。

要件審査で確認されるのは、申立人に審査請求の資格があるか、請求期限が遵守されているか、申し立ての対象が審査請求の対象となるものかなどです。

要件を満たしていると判断されると審査請求は正式に受理され、受理通知書が送付されるでしょう。

受理後は、市区町村にも審査請求があったことが通知され、本格的な審査手続きに入ります。

処分庁による弁明書の確認

審査請求が受理されると、市区町村から介護保険審査会に弁明書が提出されます。

弁明書に記載されている内容は、認定調査の結果、主治医意見書の内容、認定審査会での審議内容など、処分庁の判断根拠です。

審査請求後、要介護認定の結果に対する根拠や理由が記載されている弁明書の副本が介護保険審査会から送付されるため、申立人は内容を確認することが可能です。

反論書の提出

弁明書の内容に対して反論がある場合、申立人は反論書を介護保険審査会に提出できます。

反論書には、なぜ弁明書の主張に対して異議があるのか、具体的な理由や事実を詳細に記載しましょう。

反論書は介護保険審査会から市区町村にわたり、反論書を確認した市区町村が改めて弁明が必要であると判断した場合には再弁明書が提出されます。

再弁明書についてさらに反論がある場合は、再反論書を提出しましょう。

このやりとりは双方に新たな主張がなくなるまで続き、場合によっては専門調査員による現地調査や医学的調査が行われることもあります。

審理・裁決・裁決書謄本の受取

弁明書と反論書のやり取りが終了すると、介護保険審査会による審理が始まります。

審理では提出された書類をもとに、法律・医学・福祉の専門家が審査内容を検討するため、公平かつ多角的な審査がされるでしょう。

審理終了後、介護保険審査会は裁決を行い、申立てを認める(認容)か認めない(棄却)かを決定し裁決が確定すると、申立人に裁決書謄本が送付されます。

要介護認定結果に対する不服申し立てのメリット・デメリット

要介護認定結果に対する不服申し立てのメリット・デメリット

要介護認定の不服申し立て制度を正しく活用するために、メリットとデメリットを把握しておきましょう。

メリット

  • 認定結果が見直される可能性がある
  • 新たな事実や情報が考慮される
  • 要介護認定結果の根拠を深く知れる

専門的な第三者機関による客観的な再審査により、よりよい要介護度に変更される可能性があります。

初回認定時に十分反映されなかった症状の変化や生活状況の悪化などを改めて主張でき、審査を有利に進められる場合があるでしょう。

弁明書を通じて、なぜその要介護度になったのかの詳細な根拠を把握できることも、大きなメリットです。

デメリット

  • 審査に時間がかかる
  • 認定結果がさらに低くなる可能性もある
  • 手続きが大変

審査には通常3~6か月程度の期間がかかり、その間は現状の要介護度のまま介護サービスを受けることになります。

再審査の結果が希望通りの認定になるとは限りません。当初の要介護認定よりもさらに軽度の要介護度になることもあるでしょう。

複数の書類作成や期限管理など、手続きの負担も無視できません。

要介護認定結果に対する不服申し立ての注意点

要介護認定結果に対する不服申し立ての注意点
  • まずはケアマネに相談
  • 区分変更申請のほうがいい場合がある
  • 要介護度を変更する手続きではない
  • 手続き中は現状の要介護度に基づいたサービスを利用可

要介護認定の不服申し立てをする際は、上記に注意しましょう

まずはケアマネに相談

要介護認定の不服申し立てをする前に、ケアマネジャーに相談しましょう。

ケアマネジャーは認定調査や介護保険制度についての知識を持っています。認定結果の妥当性を客観的に判断し、不服申し立ての必要性についてもアドバイスしてくれるでしょう。

また、不服申し立てで主張すべきポイントを整理し、審査請求書や反論書の作成をサポートしてくれます。

区分変更申請のほうがいい場合がある

区分変更申請とは、要介護・要支援認定を受けている人の心身状態が悪化または改善した際、認定有効期間の途中でも要介護度を見直して再判定してもらう制度です。

不服申し立ては「認定時点の状況」を審査対象にするため、その後の変化には対応しません。

一方、区分変更申請は「現在の状態」で再調査してもらえるため、現実と認定の乖離が大きいときには区分変更の方が早く、的確な認定を得やすいことがあります。

区分変更申請は認定結果の通知が約30日ほどと、審査期間が短く済む点もメリットです。

要介護度を変更する手続きではない

要介護認定の不服申し立ては、あくまで市区町村が行った要介護認定を取り消すべきだという主張を行う場であり、要介護度を変更する手続きではありません。

仮に申し立てが認められ、処分が取り消された場合でも、その後に市区町村で再度要介護認定の審査や判定がされます。

つまり、不服申し立ては「やり直し」を求める手続きであり、その裁決によって自動的に新しい要介護度が決定されるわけではないことを理解してお きましょう。

手続き中は現状の要介護度に基づいたサービスを利用可

要介護認定の不服申し立てを手続きしている最中も、もともと認定された要介護度で介護保険サービスを利用できます。

利用できるサービスは現状の要介護度の範囲内に限られるため、それ以上のサポートを求める場合は自費での利用になるでしょう。

要介護認定の不服申し立てはケアマネジャーと相談しながら慎重に検討しましょう

認定された要介護度に納得がいかない場合、不服申し立てが可能です。

不服申し立ては必要書類を提出し、介護保険審査会を通じて市区町村とやりとりを繰り返す形で行われます。

結果が出るのは申し立てから3~6か月ほどかかるでしょう。

要介護度が認定されたあとに心身状態が変わった場合、区分変更申請のほうが適していることもあります。

不服申し立ては時間と労力がかかり、必ずしも希望通りの結果が得られるとは限りません。

まずはケアマネジャーへの相談から始め、区分変更申請との使い分けも含めて適切な対応方法を選択しましょう。




カテゴリー|ブログ