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2025.5.14

介護保険の住宅改修はどんな工事が対象?対象外のものや施工の注意点など紹介

介護保険の住宅改修はどんな工事が対象?対象外のものや施工の注意点など紹介

「介護保険の住宅改修はどんな工事が対象?」
介護保険の住宅改修で対象外となる工事が知りたい」

という方のために、介護保険対象の住宅改修と対象外の住宅改修についてまとめました。

介護保険を適用するための注意点についても分かりやすく解説します。

介護保険の住宅改修について

介護保険の住宅改修について

介護保険による住宅改修とは、要支援・要介護認定を受けた方の自宅設備を整えるために必要な改修工事について、費用の一部を支給する制度です。

要支援1・2、要介護1~5の認定を受けた方が支給の対象で、ケアマネジャーや地域包括支援センターが作成した「住宅改修が必要な理由書」をもとに市区町村へ申請を行います。

その後「住宅改修費支給決定通知書」を受け取ったら住宅改修費用の一部が支給される仕組みです。

介護保険の住宅改修で対象となる工事

介護保険の住宅改修で対象となる工事
  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
  • 引き戸等への扉の取替え
  • 洋式便器等への便器の取替え
  • その他・各工事に付帯して必要な改修

介護保険の対象となる住宅改修工事は、上記の6種類に限定されています。高齢者や要介護者の安全な移動や日常生活の自立を支援するための基本的な改修です。

参考:福祉用具・住宅改修|厚生労働省

手すりの取付け

転倒防止や移動補助に役立つ手すり設置は、一般的な住宅改修の一つです。

廊下、トイレ、浴室、玄関、階段など段差や転倒の危険性がある場所に設置されることが多いでしょう。手すりの種類もさまざまで、壁に固定する「壁付け型」や床から天井まで届く「据え置き型」など、状況に応じて選ぶことが可能です。

手すりの材質や太さ、形状なども身体状況などに合わせて選択できます。

既存の手すりが身体機能の変化によって合わなくなった場合の取り換えは対象です。

手すりの取り付けについてはこちら↓
介護保険の利用で手すりの取り付け!条件や内容、申請から設置までの流れ、注意点などを解説

段差の解消

住宅内の段差は転倒リスクを高める原因となるため、段差の解消は介護保険で実施できる改修工事です。

段差の解消は車いすでの移動がスムーズになったり、つまずきによる転倒リスクを減らしたりできるでしょう。

玄関の上がりかまち、室内の敷居、浴室の出入り口などに加え、玄関から道路までの通路なども対象になる場合があります。

敷居を低くしたり撤去したりする工事、スロープを設置する工事、床のかさ上げや身体状況に適したユニットバスへの交換といった浴室の工事などが含まれるでしょう。

滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更

滑りやすい床材を滑りにくい素材に変更する工事は介護保険を使って改修可能です。

浴室の床をタイルから滑りにくい素材に変更したり、廊下や居室の床材を変更したりする工事が該当します。

車いすで円滑に移動するため、畳やカーペットからフローリングに変更する工事も対象です。

引き戸等への扉の取替え

ドアノブを回して開ける開き戸を引き戸や折れ戸、アコーディオンドアに取り替える工事は介護保険が適用される住宅改修です。

開き戸は開閉の際にスペースが必要で、車いすの方や歩行が不安定な方には使いづらいことがあります。

少ない力で開閉でき、省スペースで開け閉めができる引き戸や折れ戸などに変更すると、車いすや歩行困難な状態でも操作しやすくなるでしょう。

既に設置されている引き戸に戸車を設置して滑りをよくしたり、扉自体を撤去したりする工事が対象になる場合もあります。

洋式便器等への便器の取替え

和式便器から洋式便器へ交換する工事は介護保険でできる住宅改修の対象です。

座りやすいトイレに替えると、高齢者でも利用しやすく介護者も介助しやすくなるでしょう。

また、既存の洋式便器を立ち上がりやすい高さの洋式便器に交換する工事や、身体状況に応じて便器の向きを変える工事なども対象となる可能性があります。

その他・各工事に付帯して必要な改修

上記の工事に付帯して必要となる改修工事も介護保険が使えます。

たとえば、手すりを取り付けるために壁を補強したり、引き戸に取り替える際に必要な開口部の拡大したりする工事などです。

また、玄関から道路までの段差解消にともなう通路のコンクリート舗装なども、付帯工事として認められることがあります。

介護保険の住宅改修で対象外の工事

介護保険の住宅改修で対象外の工事
  • 対象工事以外の工事
  • 老朽化に伴う工事
  • 利便性を高めるための工事
  • 見栄えをよくするための工事
  • 工事を伴わず取付などが可能なケース
  • 福祉貸与など別の方法で解決するケース

上記は介護保険による住宅改修費の支給対象外です。

対象工事以外の工事

前述した6種類の工事以外は基本的に全て対象外です。

介護保険の住宅改修は、あくまでも身体機能の低下を補い、安全な生活環境を確保するための最小限の改修に限定されています。

キッチンの改修や増築、間取り変更などは対象外となるため、注意しましょう。

老朽化に伴う工事

住宅の老朽化に伴う修繕や交換などの工事は介護保険の適用外です。

介護保険の住宅改修は、要介護者の身体状況に対応するための改修が目的であり、住宅の維持管理や資産価値の向上を目的としていません。

老朽化によって手すりや扉を交換したい場合は、全額自費で対応するしかないでしょう。老朽化対策と介護のための改修は明確に区別されます。

利便性を高めるための工事

生活の利便性を高めるための工事は、介護保険が適用されません。

たとえば、ウォシュレット機能の追加やペーパーホルダーの新設、収納棚の設置や床暖房機能の追加などが挙げられます。

また、シャワーハンガー付きなど別機能付きの手すりや、装飾性が高い手すりも対象外です。

見映えをよくするための工事

住宅の美観向上を主な目的とした工事は介護保険で住宅改修費が支給されません。

具体的には、壁紙の全面的な張替えや、インテリアとしての要素が強い設備の導入などです。

手すりの設置などで壁紙の張替えが必要になる場合でも、手すり周辺の範囲に限るでしょう。

あくまでも機能性を重視した改修が介護保険の対象です。

工事を伴わず取付などが可能なケース

工事を伴わない福祉用具の設置は介護保険による住宅改修にはあたりません。

工事なしで取り付けできる手すりや、簡単に持ち運びができるスロープ、滑り止めマットを敷くなど、工事が伴わない場合は住宅改修の対象外となります。

福祉貸与など別の方法で解決するケース

介護保険の他のサービスで対応可能な場合は住宅改修の対象外です。福祉用具貸与など他のサービスが適用されます。

たとえば、移動用リフトや和式便器の上に置くだけの洋式便座などは、福祉用具貸与や購入に関する介護保険サービスでサポートがあるでしょう。

介護保険の住宅改修工事で注意するべき点

介護保険の住宅改修工事で注意するべき点
  • 「住宅改修費支給決定通知書」の受け取り前に工事を開始しない
  • 現時点で必要な工事のみを施行する

住宅改修の際には、上記を守りスムーズに手続きを進めましょう。

「住宅改修費支給決定通知書」の受け取り前に工事を開始しない

市区町村から「住宅改修費支給決定通知書」を受け取ってから工事を開始しましょう。

通知書を受け取る前に工事を始めてしまうと、介護保険からの支給が受けられなくなる可能性があります。

事前申請→審査→決定通知→工事開始という流れを厳守することが大切です。

介護保険で住宅改修を行う際の流れについてはこちら↓
介護保険で住宅改修を行う際の流れは?申請方法や申請書の記入方法について

現時点で必要な工事のみを施行する

住宅改修の支給限度額は原則として要介護者1人につき20万円です。限度額は基本的に生涯で1回限りとなるため、計画的に使用しましょう。

限度額を使い切ってしまうと、後から新たなニーズが生じた場合に対応できなくなります。

身体状況の変化に合わせて、その都度適切な改修を実施しましょう。

介護保険で住宅改修する場合の限度額についてはこちら↓
介護保険の住宅改修は限度額20万円!自己負担額やリセットされる条件など解説

介護保険の対象外となる住宅改修に注意して快適な住環境を実現しよう

介護保険の住宅改修制度は、要支援・要介護認定を受けた方が住み慣れた自宅で安全に暮らし続けるための支援です。

手すりの設置や段差の解消など、安全性と自立を促進するための基本的な改修工事に適用されます。

老朽化対策や美観向上、利便性の向上を目的とした工事などは対象外であるため、要介護認定があれば好きに改修できるわけではありません。

ご紹介した条件に気を付けて介護保険で安全な生活環境を実現し、できる限り自立した生活を送りましょう。




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