高齢者の寝たきりを予防するには?原因や前兆、対策をわかりやすく紹介
「末永く活動的でいたい」
「寝たきりを予防する方法が知りたい」
年齢を重ねると、そう考えることも多いですよね。
高齢者の寝たきりは、生活の質を著しく低下させるだけでなく、家族や介護者にも負担がかかります。
適切な予防策を日ごろから意識して生活すれば、運動機能やメンタルの健康を維持できて寝たきりのリスクを減らせるでしょう。
この記事では、寝たきりの原因や前兆、そして効果的な予防法について詳しく解説します。
無理のないエクササイズも3種類ご紹介するので、高齢者の方はもちろん、ご家族や介護に携わる方々もぜひご覧ください。
高齢者が寝たきりになる原因
高齢者が寝たきりになる原因は、主に身体的要因と心理的要因に分けられます。
つまり、身体機能の低下や疾患だけでなく、心の健康も健康寿命にかかわっているのです。
寝たきりの原因となりえる身体的要因と心理的要因について、それぞれ詳しく解説します。
身体的要因
寝たきりの身体的要因には、脳卒中やがんなどの疾患や骨折などの怪我が考えられます。
特に片麻痺など後遺症が残る疾患は、布団の上で過ごす時間が長くなり、寝たきりのきっかけとなりやすいでしょう。
風邪など軽い疾患でも、高齢者の場合は肺炎など重症化することが少なくないため、そのまま寝たきりになる可能性もあります。
怪我で痛み・しびれなど動くのが辛い状態が続くと活動量が減り、筋力が低下することも寝たきりの一要因です。
また、疾患や怪我で長期間安静にしていると「廃用症候群」を引き起こす恐れがあります。
廃用症候群は、過度な安静や活動量の著しい低下によって心身の機能が低下した状態です。
寝たきりは廃用症候群の発症を誘発し、さらに寝たきりを助長させる悪循環が生じる可能性があるため、注意しましょう。
心理的要因
心の不健康は寝たきりの原因になることがあります。
高齢者は、友人や配偶者に先立たれたり、リタイアしたりなどで人と接する機会が減少し、心や脳の元気がなくなりやすい傾向にあります。
心や脳への刺激が少なくなると認知機能の衰えやうつ状態などを引き起こし、活動量が著しく低下する可能性があるでしょう。
家に閉じこもったり寝て過ごす時間が多くなったりすると、動く気力も筋力も低下し、そのまま寝たきりとなってしまうことも少なくありません。
社会的孤立を防止し、高齢者の心身を健康に保つことが寝たきり予防の鍵となるでしょう。
高齢者が寝たきりになる前兆は?
- 動作が鈍い
- 食事量が減る
- 体重減少
寝たきりには上記のような前兆があるといわれています。早く気づけば寝たきりを防止できる確率が上がるでしょう。
起き上がりや立ち上がりに時間がかかったり、つまづきや転倒が増えたりなど、生活動作が鈍くなることは、身体機能の低下を示唆しています。
放って置くとさらに身体機能が低下し、骨折など怪我につながって安静期間が長くなれば、寝たきり状態になってしまう可能性があるでしょう。
また、食事量が著しく減ったり、好きな物しか食べなくなったりするようになったりする場合は、口腔内や消化器系に問題を抱えていたり、認知機能が低下したりしているかもしれません。
急激な体重減少も、筋肉量や体力の低下が顕著である可能性があり、寝たきりの前兆と考えられる場合があります。
上記のような変化に気づいたら、すぐに専門医に相談しましょう。
高齢者が寝たきりから復活することはある?
寝たきりから寝たきり前の状態に戻ったり、それ以上に動けるようになったりすることはまれですが、ある程度動けるようになる可能性はあります。
適切なリハビリテーションと本人の強い意志があれば、寝たきりの状態から心身の機能を改善できるでしょう。
ただし、早期発見・早期対応がポイントです。寝たきりの期間が長くなるほど回復に時間がかかり、機能改善も限定的になるでしょう。
専門家の指導のもと段階的なリハビリを行い、少しずつADL(日常生活動作)を向上させることが必要です。
家族や周囲の方からの支援も大きなサポートになるため、お互い積極的にコミュニケーションをとりましょう。
高齢者の寝たきりを予防するための筋トレや運動
- かかと上げ運動
- ウォーキング
- スクワット
適切な運動は、寝たきり予防に有効です。ここでは、高齢者でも安全に行える運動を3つご紹介します。
無理のない運動を日常生活に取り入れることで、筋力や柔軟性を維持し、寝たきりのリスクを減らせるでしょう。
かかと上げ運動
かかと上げ運動は、ふくらはぎの筋肉を鍛えるトレーニングです。
ふくらはぎの筋力は歩行や立ち上がりなどの基本的な動作に不可欠な筋肉です。
さらに、ふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれ、下半身の血液循環にも貢献する筋肉なので、下半身のむくみや静脈血栓症のリスク低減効果も期待できます。
ふくらはぎの筋肉を鍛えると、歩行やバランス機能がアップし、日常生活の動作がよりスムーズになるでしょう。
かかと上げ運動の手順やその他転倒予防トレーニングについて詳しくはこちら↓
【理学療法士考案】座位でもできる高齢者転倒予防トレーニングを動画つきで紹介
ウォーキング
ウォーキングは、全身の筋肉を使う有酸素運動です。1日2,000歩歩くだけでも寝たきり予防に効果があるとされています。2,000歩であれば、20〜30分程度の散歩で消化できるでしょう。
急に2,000歩を目指すのではなく、最初は5分からスタートするなどして、無理のない範囲で徐々に歩数を増やしていくことが大切です。
天気の良い日は外を歩き、雨の日は室内で歩くなど、毎日続けられるように工夫しましょう。
歩行中は姿勢を意識し、腕を大きく振ることで、全身に運動効果をもたらします。
60代、70代の高齢者が「初めて、もしくは久しぶりに再開した運動」の上位は「ウォーキング」といわれています。
取り組みやすいので、エクササイズや筋トレに抵抗がある方は、まずはウォーキングから始めてみてください。
スクワット
寝たきり予防には下半身の筋肉強化が特に大事なポイントであるため、スクワットがおすすめです。
スクワットは、太ももやお尻、腰回りの筋肉を鍛える総合的な運動です。
太ももには全身の70%の筋肉が集まっているといわれていることから、太ももの筋力が活発になると全身の代謝が良くなり、身体活動の活性化も期待できます。
椅子に座る要領で、ゆっくりと腰を落とし、また元の姿勢に戻りましょう。初めは椅子の背につかまりながら行い、徐々に回数を増やしていきましょう。
1日10回を目安に始め、体力に応じて回数を増やしていきます。
高齢者の寝たきりを予防するための食事
- 3食しっかり食べる
- タンパク質を意識する
- バランスのいい食事
寝たきり予防には、健康を意識した食事が欠かせません。上記の3つを意識して、食生活を整えましょう。
1日3食を規則正しく食べることは、活動量や代謝の維持に必要です。
タンパク質は筋肉の維持・強化に必須の栄養素であるため、以下の食品を意識して摂取しましょう。
動物性タンパク質:肉、魚、卵、乳製品
植物性タンパク質:大豆製品、豆類、穀物
また、定期的に栄養状態をチェックし、必要に応じて医師や栄養士のアドバイスを受けることもおすすめです。
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寝たきり予防で健康的な生活を
寝たきり予防は、生活の質を維持・向上することに直結します。
今回ご紹介した原因や前兆を把握し、適切な運動と食事を心がけることで、寝たきりのリスクを減らせるでしょう。
特に、日常的な運動習慣と栄養バランスの取れた食事は、予防の要です。また、定期的な健康チェックや社会活動への参加も積極的に行いましょう。
家族や周囲のサポートも心身の健康を維持するために重要です。
ご紹介した取り組みを通じて、活動的で健康的な生活を送りましょう。
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