高齢者の「眠れない」はなぜ?原因や改善方法を紹介!すぐ取り入れられる不眠対策も
「高齢者が眠れないのはなんでだろう」
「眠るためには、どんなことをすればいいんだろう」
という方のために、高齢者の不眠対策についてまとめました。
不眠のタイプや原因、すぐ生活に取り入れられる改善方法についても解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
加齢とともになりやすい不眠とは?
不眠とは、睡眠の質が悪く、睡眠時間も不十分で、満足な睡眠を取ることが難しい状態のことです。
年齢を重ねると、夜中に何度も目が覚めたり、自分が望む時間より早く目覚めたり、不眠になりやすい傾向にあります。
60歳以上の高齢者では、約3割が不眠の症状を訴えているといわれています。
あなたはどれ?不眠のタイプ4つ
- 入眠障害
- 熟眠障害
- 中途覚醒
- 早期覚醒
不眠には大きく分けて上記4つのタイプがあります。
いくつかのタイプを併発しているケースも少なくありません。それぞれの特徴について詳しく解説します。
入眠障害
布団に入ってから寝付くまでに時間がかかるタイプの不眠です。
寝付くのに30分から1時間かかる状態が1ヶ月以上続くと、入眠障害と診断される可能性があります。
不眠で悩む日本人の半数以上が、このタイプに該当します。
悩み事や不安な事など、精神的に問題がある場合に多くみられます。
熟眠障害
熟眠障害は、睡眠時間をしっかり確保できているにも関わらず、熟睡感を得られないタイプの不眠です。
睡眠時無呼吸症候群や四肢運動障害など、疾患が関係していることもあります。
前者は、睡眠中に無呼吸・低呼吸が生じる疾患であり、後者は睡眠中に脚がピクピク動く疾患です。
どちらも、睡眠量や睡眠の質が低下する原因になり得ます。
熟眠障害は自覚症状がないケースが多く、他のタイプの不眠も併発している場合があるため、注意が必要です。
中途覚醒
中途覚醒は、睡眠中に何度も目が覚めてしまい、その後の寝付きが悪い状態です。
成人の不眠では最も多く、特に中高年や高齢者に見られます。
夜間の頻尿や、体の痛みなどが原因として挙げられます。
また、高血圧や睡眠時無呼吸症候群などの疾患が原因になる可能性もあるでしょう。何らかの疾患が原因の場合は、まず治療に専念する必要があります。
早期覚醒
早期覚醒は、自分が望む時間よりも2時間以上早く目が覚めてしまうタイプの不眠です。
中途覚醒同様、高齢者に多く見られます。
高齢者の早期覚醒は、加齢に伴って体内時計が早まることが原因だと考えられています。
早期覚醒からうつ病を発症するケースも少なくないため、注意が必要です。
高齢者が眠れない原因
- 活動量の低下
- 生活習慣病等の疾患
- 認知症
- 心理的ストレス
- メラトニン分泌量減少
- 眠れない焦燥感
高齢者が眠れないのは、なぜでしょうか。
原因はいくつかあるため、一つずつ詳しく解説していきます。
活動量の低下
高齢者が眠れない原因の多くに、活動量の低下が関係しています。
加齢に伴って身体機能が低下してくると、動かない時間が増加するため、日中の活動量が減ります。
また、退職等による生活の変化も、活動量が減る原因です。
日中にエネルギーを消費しなければ体が睡眠を欲していない状態で夜を迎えるため、熟睡できなかったり寝付きが悪かったりと、質の良い睡眠がとれなくなるでしょう。
生活習慣病等の疾患
糖尿病や高血圧などの生活習慣病も、不眠を引き起こす原因になります。
例えば、高血圧は交感神経が活発な状態であるため、それに伴って体のさまざまな機能が活発に働いてしまい、熟睡しにくくなります。
糖尿病では、高血糖が続くと、喉が渇いて何度も夜中に飲み物が欲しくなったり、何度もトイレに行きたくなったりすることから、睡眠が妨げられてしまいます。
また、糖尿病神経障害を発症していると、しびれや痛みから眠れなくなることもあるでしょう。
生活習慣病が不眠の原因になっている場合は、生活習慣病の治療を行うことで改善される可能性があります。
認知症
認知症になると、社会活動が減り、日中の活動量が著しく低下します。
活動量が少ないと必要な睡眠量が減るため、眠りにくくなります。
また、体内時計の調整がうまくいかなくなることも認知症の特徴です。
昼と夜の区別がつきにくくなることから、認知症の高齢者は昼夜逆転生活になりやすく、夜に眠れなくなってしまいます。
睡眠がとれないと、さらに認知症が進行するといわれているため、症状を見逃さないように注意しましょう。
心理的ストレス
高齢者は、退職や配偶者との死別、独居などによる心理的ストレスで不眠になることがあります。
若いときに比べて社会参加の機会が減るため、社会的なつながりが希薄であることがストレスを蓄積しやすい状態を作り出し、不眠につながることも少なくありません。
また、眠りにこだわりをもちやすい神経質な方や真面目な性格の方は、思うように眠れないことが強いストレスとなり、さらに眠れなくなるという悪循環を引き起こすこともあります。
メラトニン分泌量減少
年齢を重ねてメラトニン分泌量が減少すると、不眠を引き起こす可能性があります。
メラトニンは脳でつくられるホルモンで、1日のリズムを刻む体内時計に作用します。
メラトニンが十分に分泌されると体内時計が正常になり、夜に自然と眠れるようになるでしょう。
睡眠に重要な役割をもつメラトニンですが、加齢とともにその分泌量が減ることが明らかになっています。
メラトニン分泌量が減ると体内時計が前倒しになり、睡眠のリズムが乱れ、質の良い睡眠がとれなくなります。
眠れない焦燥感
若い頃と同じように眠れないことに対して焦燥感を覚え、余計に眠れなくなることは少なくありません。
イライラしたり焦りや不安を感じたりしてしまうと神経が高ぶり、眠れない悪循環に陥ってしまいます。
無理に眠ろうとするのではなく、眠気を感じてから寝床につくと良いでしょう。
高齢者の不眠対策!すぐ取り入れられる方法も
- 日中の活動量増加
- アルコール・カフェイン摂取・喫煙を控える
- 朝日を浴びる
- テレビ・スマホ・PCは寝る1時間前まで
高齢者の不眠対策には、生活習慣を整えることが重要です。
具体的にどのようなことに取り組めば良いのか、解説します。
日中の活動量増加
高齢者の不眠対策には、軽い運動や体操をして、日中の活動量を増やすことが大切です。
生活デイサービスりふりでは、「りふり体操」や「健口眠体操」を取り入れています。
りふり体操は、理学療法士が考案したもので、座っていてもできる体操です。体力に自信がない高齢者にもおすすめです。
一方、健口眠体操は、東京大学医学部付属病院所属の松平浩特任教授が開発したもので、1回のプログラムで口腔・睡眠・運動器のすべてを同時にトレーニングできる内容になっています。
充実した内容であるにも関わらず5分間でできるため、高齢者も無理なく取り組めます。
健口眠体操について詳しくはこちら↓
【高齢者向け体操】健口眠体操バーチャルゲームプログラム│口腔・睡眠・運動器トレーニング
アルコール・カフェイン摂取・喫煙を控える
アルコールやカフェイン、喫煙は睡眠の妨げになるため、控えましょう。
アルコールは一見睡眠に効果的なようですが、利尿作用があるため、夜間トイレに起きる回数が増えて熟睡できなくなります。
さらに、アルコールが代謝された後にできるアセトアルデヒドには覚醒作用があり、睡眠に悪影響を及ぼします。
また、カフェインや、タバコに含まれるニコチンにも覚醒作用があるため、良質な睡眠のためには控えることをおすすめします。
朝日を浴びる
朝日には、体内時計に作用して生活リズムを整える力があります。
窓のない部屋で1日中過ごしていたり、カーテンを締め切ったりしている高齢者は、それが不眠の原因になっている可能性もあります。
朝起きたらまず窓を開けて朝日を浴びる習慣をつけましょう。
テレビ・スマホ・PCは寝る1時間前まで
テレビやスマホ、PCの画面が発するブルーライトには、脳を刺激・覚醒させる作用があるため、睡眠を妨げてしまいます。
そのため、テレビやスマホ、PCの使用は、寝る1時間前までにしましょう。
どうしても眠れない場合は医療機関へ
上記対策を試しても、不眠の症状が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。
高齢者の不眠は、長引くと疾患のリスクが高くなったり日中の活動量が低下したりして、さらに症状が悪化するおそれがあります。
疾患が原因で不眠になっている可能性もあるため、眠れないことを安易に捉えずに、医療機関で相談しましょう。
生活習慣を見直して、質の良い眠りをとろう
高齢者が眠れない原因には、活動量の低下や生活習慣病、認知症、ストレスなどが挙げられます。
軽い運動や体操で日中の活動量を増やしたり、朝日を浴びたりと、生活習慣を整えて対策しましょう。
ただし、不眠が長引くと糖尿病や高血圧などの疾患リスクが上がるため、どうしても眠れない場合は医療機関を受診してください。
生活デイサービスりふりでは、りふり体操や健口眠体操などの高齢者向けトレーニングを行っています。
不眠対策になるだけでなく、自立生活の維持や心身を整える効果も期待できるので、生活に取り入れてみましょう。
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