訪問介護で生活援助はしてもらえる?内容や料金、時間等の条件などを解説
「訪問介護の生活援助ってなんだろう」
「生活援助ではどんなことをしてもらえるんだろう」
と、訪問介護の生活援助について知りたい方のために、情報をまとめました。
介護保険サービスとして行われる生活援助は、内容に制限があります。利用できる条件や内容、料金、時間などを把握していれば、必要なサービスを的確に選択できるでしょう。
分かりやすく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
訪問介護について詳しくはこちら↓
訪問介護とは?特徴やサービス内容やできることとできないことを解説!料金やその他のサービスも
訪問介護の生活援助とは?
訪問介護の「生活援助」とは、高齢者や身体障害者など自宅で生活する方々の日常生活をサポートする、介護保険サービスの一つです。訪問介護員が利用者の自宅に定期的に訪れて必要な家事などを行い、利用者が自宅で生活し続けられるようにサポートします。
家事全般が対象になると考えている人が多いですが、生活援助はあくまでも「利用者が自立して生活できること」を目的としているため、訪問介護員ができないこともあります。
訪問介護の生活援助でサポートしてもらえることとサポートしてもらえないことを見ていきましょう。
訪問介護でできる生活援助
- 掃除
- 洗濯
- 調理
- 薬の受け取りなど
生活援助は、ケアマネージャーが作成したケアプランに基づいて実施され、掃除や洗濯、調理、薬の受け取りなどが含まれます。利用者が自立した生活を送るために必要な家事などを、ケアプランをもとに訪問介護員が行うというものです。
サービスの内容や時間は利用者一人ひとり異なり、家事の方法などは利用者の意向を確認しながら行われます。
訪問介護でできない生活援助
- 基本的な生活に関係ない活動
- 利用者以外に関すること
- 医療行為など
利用者の日常生活に関係がない活動や利用者以外に関すること、医療行為は、介護保険サービスで行われる生活援助では、実施できません。
例えば、草木の水やりや空き部屋の掃除は、訪問介護員が行わなくても利用者の生活が成り立つため、サービスの対象外となります。
介護保険内の生活援助ではまかなえないサービスを受けたい場合は、自治体や民間企業が提供するサービスを受けましょう。
同居家族がいる場合の生活援助
生活援助を利用したい方に同居家族がいる場合は、原則として生活援助は利用できません。ただし、例外もあり、同居家族がいてもサービスを受けられる場合があります。
この章では、同居家族がいても生活援助が利用できる例と、同居家族がいても生活援助を利用できない例についてご紹介します。
同居家族がいても訪問介護で生活援助してもらえる例
- 同居家族が深夜を中心に長時間勤務している、または日中勤務でも残業が多い
- 同居家族の出張が多く、日常的に家事ができない
- 同居家族から虐待を受けている
- 同居家族はいるが高齢であり、筋力低下によって家事ができない
- 同居家族に疾病・障がいがあって家事ができない
同居家族がいても、やむを得ない事情によって家事ができない場合は、生活援助を利用できることがあります。
上記のように、生活援助を利用しなければ生活が成り立たない場合は、生活援助してもらえる可能性があります。
同居家族がいても訪問介護で生活援助してもらえない例
- 家族間の仲が悪い
- これまで家事の経験がない
サポートできる同居家族がいるにかかわらず、上記のような理由によって生活援助を利用することはできません。また、「家族に遠慮があって頼みにくい」という場合も、生活援助を利用する理由にはなりません。
「同居家族が仕事で長期間不在だから、家事ができない」など、明確な理由がない限り、生活援助してもらうのは難しいでしょう。
介護保険サービスで行う生活援助について
介護保険サービスの生活援助は、どのような条件で利用できるのでしょうか。また、内容や料金はどのように設定されているのでしょうか。具体的に解説していきます。
介護保険サービスで生活援助を受けられる条件
- 利用者本人が一人暮らしである
- 家族等が障害、疾病などのため、利用者本人や家族等が生活援助を行うことが困難である
上記のいずれかを満たしていれば、介護保険サービスの生活援助を利用できます。
また、同居家族がいても利用者の生活が成り立たない場合は、生活援助の利用が認められることがあります。
介護保険サービスの生活援助の範囲
内容 | 生活援助でできること |
掃除 | ・利用者が主として使用する部屋 ・トイレ ・風呂 ・洗面などの掃除 ・ごみ出し |
洗濯 | ・洗濯 ・洗濯物の収納 ・アイロンがけ(必要に応じて) |
買い物 | ・近所での食材 ・日用品 ・生活家電の購入 ・薬の受け取り |
調理 | ・一般的な調理 ・食事の用意 ・食後の片付け |
ベッドメイク | ・布団干し ・シーツ交換 ・布団の上げ下ろし(必要に応じて) |
外出支援 | ・通院同行 ・公共サービスの申請 ・役所への届け出同行 ・選挙・納税の同行 ・生活資金を引き出すための金融機関同行 |
衣類 | ・衣類の補修(ボタン付けなど) ・衣類の整理 |
その他 | ・住民票の代行取得 ・免許更新の同行 |
介護保険サービスにおける生活援助の範囲は、利用者本人が生活する上で必要な内容に限られます。
介護保険サービスの生活援助の範囲外
以下のような内容は、介護保険サービスの生活援助の対象外となります。
- 草木の水やり
- 空き部屋や利用者が使っていない部屋の掃除
- ペットの世話
- 利用者以外のものに関する洗濯・調理・買い出し・布団干し
- 来客の応対
- 自家用車の給油・洗車
- たばこ・酒などの嗜好品の買い物
利用者が日常生活を送るために必要ではないことや、利用者以外に関することについては、生活援助のサービスを受けられません。
自治体によって生活援助のサービス内容が異なるため、利用する前に自治体に確認しておきましょう。
介護保険サービスの生活援助の単位数・料金
時間 | 単位 | 自己負担(1割) | 自己負担(2割) | 自己負担(3割) |
20分以上45分未満 | 181単位 | 183円 | 378円 | 466円 |
45分以上 | 223単位 | 233円 | 465円 | 697円 |
上記の表は、介護保険サービスにおける生活援助の単位数と料金です。サービス提供時間によって、単位数や料金が異なります。
利用者の状況に合わせて、ケアマネージャーがサービス提供時間や単位数をケアプランで作成しており、利用者が自宅での生活を継続できるように支援しています。
介護保険サービスについて詳しくはこちら↓
介護保険とは?目的や受けられるサービス・制度のしくみ等をわかりやすく解説!
介護保険外サービスの生活援助
- 自治体サービス
- 社会福祉協議会のサービス
- シルバー人材センター
- 民間の生活援助サービス
草木の水やりやペットの世話など、介護保険内のサービスでは受けられない生活援助が必要な場合は、介護保険外の生活援助を利用しましょう。
どのようなサービスがあるか、介護保険外の生活援助について解説します。
保険外のサービスは実費で全額負担する必要があるため、料金を十分確認してから利用しましょう。
自治体のサービス
自治体の地域包括支援センターは、高齢者や障害者が住み慣れた地域社会で自立した生活を送れるように支援するために、生活援助のサービスを提供しています。例えば、葛飾区には配食サービスやおむつの補助サービスなどがあります。
自治体によって、受けられるサービスの内容や利用条件が異なる場合があるため、市町村の担当窓口に問い合わせてみましょう。
参考:高齢者総合相談センター(地域包括支援センター)について│葛飾区公式サイト
社会福祉協議会のサービス
社会福祉協議会は、地域社会における福祉活動の支援や、困難な状況にある人々への支援を提供するために設立されており、生活援助のサービスを提供しています。
具体的な支援内容は地域や協議会によって異なる場合がありますが、部屋の掃除や洗濯、通院の付き添いなど、多岐にわたるサービスが受けられるでしょう。
社会福祉協議会は非営利的なサービスを提供しているため、比較的安価で利用できるのが特徴です。
なるべくコストを抑えて、生活援助を利用したい方におすすめです。
参考:葛飾区社会福祉協議会
シルバー人材センター
シルバー人材センターが提供する「福祉・家事援助サービス」は、庭の草むしりやエアコン掃除、粗大ごみの搬出など、介護保険内の生活援助ではできない家事にも対応しています。
細かいサービス内容は各自治体のシルバー人材センターによって異なりますが、サービスの内容が充実しているため、依頼したい家事が複数ある場合には、シルバー人材センターの利用を検討しましょう。
民間の生活援助サービス
民間企業の生活援助サービスを利用すれば、介護保険内ではまかなえないサービスが受けられます。「ダスキン」や「ベアーズ」「便利屋お助けサービス」などの民間企業では、庭の手入れや換気扇の掃除などの家事を依頼できます。
さらに、高齢者の見守りや食事・トイレの介助などのサービスも行っており、サービス内容が充実しているのが特徴です。定期利用だけでなく、単発利用も可能であるため、急にお願いしたいことが発生した場合に便利でしょう。
また、「ヤマト運輸」では見守りサービスを提供しており、離れて暮らしているご家族や一人暮らしのご家族がいる方に適しています。
介護保険外サービスについて詳しくはこちら↓
介護保険外サービスって何?種類や料金を事例付きで紹介!
訪問介護の生活援助を利用して、充実した生活を送ろう
訪問介護の生活援助は、介護保険サービスの一つです。高齢者や身体障害者など自宅で生活する方々が自立した生活を送るために、訪問介護員が家事などを行い、サポートします。
生活援助で受けられるサービスの内容・時間・単位数は、ケアマネージャーが作成したケアプランに基づいています。ケアプランに組み込まれていないことや、利用者の生活に関係ないことは、サービスの対象外となり実施できません。
介護保険内の生活援助では補えない内容のサービスを受けたい場合には、自治体や民間企業が提供する生活援助のサービスを利用しましょう。
介護保険内・介護保険外の生活援助を適切に利用すれば、利用者本人・利用者の家族ともに負担が軽減し、充実した生活を送れるでしょう。
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