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2023.4.27

高齢者が使う杖の選び方|介護保険適用の可否や種類別メリットデメリット紹介

「足腰が弱ってきたから杖の購入を検討している」
「どんな杖を買えばいいか教えてほしい」
という方のために、高齢者が使用する杖の選び方についてまとめました。

高齢者が使う杖には様々な種類があり、使用する方の身体の状態によっても選ぶ種類が変わってきます。今回は高齢者の杖の選び方や種類について、また介護保険でのレンタルが可能かどうかについても紹介します。

高齢者が杖を使う役割や効果

高齢者が杖を使う役割や効果

杖の最大の役割として、一人での歩行に不安がある方の歩行を補助する目的があります。高齢になると徐々に身体機能が低下していき、特に足腰の筋力低下やバランス感覚が不安定になりがちです。

そんな時に杖を使用して体重を支え、ふらつきを軽減すると、しっかりした足取りで歩けるでしょう。

また膝や腰に痛みのある方も、杖を使用すれば関節にかかる負担を軽減できます。痛みがある状態で無理に歩行を続けていると、症状が悪化し将来歩くことが難しくなってしまう、ということになりかねません。

足の筋力をつけることは痛みの軽減にもつながるため、重症化を防ぐためにも杖を使用しながら積極的に歩行することが大切です。

高齢者が使う杖の選び方

高齢者が使う杖の選び方

高齢者が使用する杖にも様々な種類があり、身体の状態などによって最適な杖が変わってきます。ここでは自分に合った杖の選び方について解説していきます。

用途に合わせて選ぶ

杖を選ぶ際は身体の状態や使用する頻度、どのような場面で使用するか、ということを考えて選ぶことが大切です。

「杖無しで歩けるけど長時間の歩行は杖が欲しい」という方は折りたたんで持ち運べる杖を選べば、必要なときにのみ使用することができます。

一人での歩行はふらつきがあり不安という方は、杖の脚先が4点など安定しているものを使用すると良いでしょう。

また、杖を使用する環境に合わせて選ぶことも大切です。病院や施設内といった地面が平らな広い場所で使用するのであれば様々な杖が使えますが、屋外や狭い場所で普段使いをする場合、それに適した杖にする必要があります。

使用する状況や環境も考慮しながら杖を選ばなければなりません。

適切な杖の長さを知る

杖は一人ひとりの身長に合わせた長さのものを使用することが大切です。
杖の長さの目安となる式は以下の計算式が用いられます。

身長÷2+2〜3㎝=目安の長さ

身長が155㎝の方で計算してみると、155÷2+2〜3㎝=79.5〜81.5㎝ということになります。

この計算式以外にも杖の長さを知る方法が3つあります。

杖を持ち肘を曲げた角度が30度になる長さ

杖を持ち、持った手と同側の足先から20㎝前方に杖先を着いた時に、肘の角度が自然な形で30〜40度になっていると適した長さといえます。

床から足の付け根までの長さ

床から大腿骨(だいたいこつ)の外側の出っ張り部分、大転子(だいてんし)のあたりの長さが適切な杖の長さであると言われています。

腕をまっすぐ下に下ろした時の手首の高さ

自然に腕を下ろした時に、手首の高さで杖の長さを設定すると使用しやすいでしょう。

杖が長過ぎてしまうと杖に体重をかけにくいため、杖が本来の役割を果たせなくなってしまいます。また、短過ぎると身体が前傾姿勢になりバランスが不安定になるため、怪我をしてしまう危険性があります。

耐久性や重量を考える

杖を選ぶ際に耐久性や重量を確認することも大切です。丈夫な杖は安心して体重がかけられますが、重いため使用時に使いにくさを感じるかもしれません。

反対に軽い杖は持ち運びやすいですが、耐久性がいまひとつといったメリット、デメリットがあります。実際に杖を使用した時に重さや使いやすさを考えて検討する必要があるでしょう。

グリップの形

グリップとは、杖の持ち手部分のことです。グリップには様々なカタチがあり、杖を使用する際の使用感や安全性にも影響します。グリップの形別に見ていきましょう。

C字型

C字型の杖はグリップの部分がCの形状をした杖で、傘の持ち手のような形をしています。

この形状の杖は体重をかけるとたわんでしまうことがあるため、体重をかけて使用する方には向かず、歩行リズムを取る際の仕様に適しています

T字型

T字型の杖は一般的によく見る持ち手がT字をした杖で、杖を握るときに人差し指と中指の間に杖の支柱を挟んで使用します。

グリップの大きさや重さなど様々な種類があるため、実際に持ったときに持ちやすいものを選ぶと良いでしょう。

L字型

L字型の杖は、杖先が4点などの多点杖に使用されています。

このタイプはT字型とは違い、支柱を挟まずにグリップを握るため、T字型杖よりも体重をかけやすく、安定して歩行することができます。

杖の種類とそれぞれのメリット・デメリット

杖の種類とそれぞれのメリット・デメリット

杖を選ぶ時にそれぞれの特性を知っておくことで適切な杖を選ぶことができます。ここでは杖の種類とそれぞれのメリット、デメリットについて解説します。

T字型杖

T字型杖は1点杖とも呼ばれており、最も一般的な杖です。一人で歩ける方の歩行補助を目的として作られています。

「外出時に疲労感を感じた時だけ使いたい」「時々ふらつきが気になる」という方におすすめです。

多点杖

一つの持ち手に杖先が3点、4点と分岐している杖を多点杖と言います。

そのため下肢筋力が低下している方や歩行バランスが不安定な方、腰が曲がっている方、麻痺があり杖にかかる体重が大きい方に適しています。

一方で、杖先が複数あるため全ての足先が地面に接していないと杖本来の力を発揮することができません。

段差や地面が凸凹している場所などでの使用は危険ですので、平らな場所で使用しましょう。

ロフストランドクラッチ

ロフストランドクラッチは前腕固定型杖とも呼ばれ、1本の杖とグリップの他に前腕を支えるカフ(輪)があるのが特徴です。

グリップとカフの2点で体重を支えるため、T字杖よりも安定感があります。体重も分散しやすく、握力の弱い方や手首に力が入りにくい方、麻痺のある方におすすめの杖です。

また、ロフストランドクラッチのカフにはU型とO型があり、より安定感を求める方はO型が良いでしょう。

しかし、固定性が高いため、万が一転倒した時にカフが腕から外れにくく怪我をしてしまうリスクがあります。

松葉杖

松葉杖は病院などでよく目にすることが多い杖で、一本の杖とグリップに加え脇あてがついています。

脇あてがあることによって全体重をかけやすく、しっかりと身体を支えられることが最大の特長です。主に足や腰の骨折・怪我などで用いられます。

安定感のある一方で、脇あてに体重がかかるため脇の神経を圧迫してしまったり、血行不良になったりする可能性があるため、注意が必要です。

また、他の杖と比べると腕の力が必要なので、高齢者の歩行補助には不向きな場合があります。

高齢者が使う杖は介護保険適用になる?

高齢者が使う杖は介護保険適用になる?

杖の使用を考えている場合、杖の種類によって介護保険が適用されます

介護保険で利用できるサービスというと、訪問介護やデイサービスなどが一般的ですが、必要であればケアマネジャーがケアプランに位置付けることで福祉用具貸与(福祉用具のレンタル)として利用可能です。

しかし、介護保険での福祉用具は、自立支援のために必要か否かの他に、利用者が負担する費用を軽減することが目的のため、比較的安いT字型杖などは対象外となるでしょう。

また、介護保険は介護認定を受けている方しか利用できない制度となっているため、利用したい方は申請をする必要があります

介護保険について詳しくはこちら↓
介護保険制度のしくみとは?申請の流れ~使い方と利用できる3つのサービス

杖を使用して安全に快適な外出を

足の筋力の低下や痛みなどにより、歩行が難しくなる高齢者の方は少なくありません。歩行する機会が減ってしまうと、ますます筋力の低下に繋がり転倒のリスクも高くなってしまいます。

自分の生活環境、健康状態などに適した杖があれば、体重を支えながらふらつきを軽減し、安全に歩けるでしょう。自分の足で歩ければ、筋力の衰えなどを防止でき、自立生活を維持することが可能です。

また、杖の購入は介護保険の利用が可能かもしれません。
「日常生活で杖があればもう少し楽に移動できるかもしれない」
と感じている方は担当のケアマネジャーに相談してみてください。

りふりではセラピストが常駐しており、利用者の状況に合わせたリハビリだけでなく、一人ひとりに合った適切な杖の選び方についても相談に乗っています。

生活リハビリデイサービスりふりについて詳しくはこちら↓
生活リハビリデイサービスりふり




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