高齢者の効果的な昼寝とは?午後の活動を活発化させる寝方と寝すぎがもたらす悪影響など


「高齢者には昼寝が大切と聞いたけど、生活リズムが乱れない?」
「昼間ずっと眠そうだし、長時間寝ていて心配」
年齢を重ねるにつれて、昼間眠そうにしている時間が長くなっているのを見ると、衰えを感じて心配ですよね。
高齢になるほど必要な休息時間が増えるのは普通のことで、過度な心配は必要ありません。むしろ、適度な昼寝で活動量や生活リズムをサポートできるのです。
ただし、昼寝のし過ぎは健康や生活習慣に悪影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、高齢者に適切な昼寝がもたらす効果と効果的な昼寝方法について解説します。
高齢者は昼寝が多くなってしまう

- 睡眠を促すホルモンの分泌量が加齢により減少
- 日中の活動量低下で眠りが浅い
- 夜間頻尿で夜間睡眠がさえぎられる
高齢者は、 上記のような理由で夜間睡眠の質が下がる傾向にあるため、昼間の眠気が強くなることがあります。
そのため、高齢者の昼寝がある程度多くなったり、長くなったりするのは、自然なことです。
加齢に伴って睡眠ホルモンが減少し、そのうえ若い時より日中の活動量が低下していると、寝つきが悪く眠りが浅い状態となってしまいます。
夜間の尿意や物音で目が覚めやすくなり、睡眠がさえぎられると十分な休息がとれないため、昼間に眠くなることが多くなるでしょう。
高齢者にとって効果的な昼寝の仕方

- 適度な昼寝は15時までに20~30分
- ベッドや布団で昼寝しない
- カフェインや日光で目覚めをサポート
高齢者にとって効果的な昼寝の条件について、上記3つのポイントを解説します。
適度な昼寝は15時までに20~30分
昼寝は15時までに20~30分間としましょう。
体内時計と睡眠リズムを整えるのに適しており、夜の睡眠に影響を与えず日中の眠気解消に役立ちます。
30分以上の昼寝や、夕方以降の仮眠は、夜の睡眠に支障をきたす可能性があります。
また、短時間の昼寝は、深い眠りに入る前に目覚めることができ、寝すぎの防止になるでしょう。
ベッドや布団で昼寝しない
高齢者が昼寝する際には、ベッドや布団を使用せず、ソファやリクライニングチェアなどを使用しましょう。
ベッドや布団は快適な深い眠りを提供するために設計されています。
短時間で済ませたい昼寝には向いておらず、寝すぎて午後の活動や夜の睡眠に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、またベッドで深く眠ってしまうと、すぐ覚醒できずに眠気を引きずってしまう可能性もあります。
昼寝はあくまで、ソファや椅子で仮眠を取る程度と心がけましょう。
カフェインや日光で目覚めをサポート
- 昼寝の前にカフェインを摂る
- 昼寝から起きたら日光を浴びる
昼寝からすっきりと目覚めるために、昼寝前にカフェインを摂ったり、昼寝から起きたときに日光を浴びたりしましょう。
起きた時にぼーっとしていると、そのまま二度寝してしまうことにもなりかねません。
昼寝前後にカフェインや日光の習慣を取り入れると、スッキリ目覚められるでしょう。
昼寝は短時間の休息をとることで、疲れを癒し、体力や気力を回復させるために行われます。
深く長い睡眠をとると逆効果になる可能性があるため、すっきり起きられる環境を整えることが重要です。
高齢者の昼寝で期待できる効果

- 夜の睡眠を補える
- 認知症予防に効果が期待できる
- 午後から活動的になれる
高齢者が昼寝を取り入れると、上記の効果が期待できると言われています。
夜の睡眠を補える
高齢者にとって短時間の昼寝は、夜の睡眠を補う効果が期待できます。
高齢になると夜の眠りが浅くなり、夜中に目が覚めるなど、夜ぐっすり眠れない傾向にあります。
夜に熟睡できないと、休息が十分に取れず自律神経が乱れる、昼間にぼーっとして怪我をするなど、さまざまな健康被害につながる可能性もあるでしょう。
適切な昼寝は、睡眠不足による健康被害のリスクを軽減し、高齢者の健康をサポートする効果が期待できます。
認知症予防に効果が期待できる
適度な昼寝は、認知症予防にも効果があるといわれています。
昼寝は脳をリフレッシュさせて記憶力や判断力、計算力などの認知機能を向上させる可能性があります。
そのため、脳の動きが活発になり、認知機能を維持できると考えられているのです。
特に、1日30分以内の昼寝は、認知症リスクを1/5まで低下させたという研究もあります。
午後から活動的になれる
昼寝には、午後からの活動をサポートする効果も期待できます。
なぜなら、昼寝によって体力回復や精神的なリフレッシュが促され、集中力や気力の復活も可能だからです。
午後の活動が増えると、エネルギーを多く消費し、体が自然に休息を求めるようになるため、夜間睡眠の質が向上するでしょう。
また、夜に深い睡眠が取れることで休息と活動のメリハリが出て、生活リズムも整いやすくなります。
高齢者の昼寝で注意すべき点

- 長い昼寝は認知機能低下につながる可能性がある
- 遅い昼寝や長い昼寝は生活リズムが崩れる
- 長い昼寝は活動量が減って身体に悪影響が出る
高齢者の昼寝において、気を付ける3つのポイントを解説します。
長い昼寝は認知機能低下につながる可能性がある
昼寝時間が過度に延びると、認知機能が低下する可能性があるため、注意が必要です。
特に、認知症の発症リスクが高まるといわれています。
昼寝が長くなって睡眠リズムが乱れると、夜に熟睡できず、脳や体の疲労回復が十分にできない可能性があるためです。
1日に60分以上昼寝をする人の認知症発症リスクが、昼寝時間が60分未満の人の2倍だったという研究もあります。
年齢を重ねるとともに昼寝時間は少しずつ長くなりますが、過剰な昼寝は脳に悪影響を及ぼす可能性があります。
遅い昼寝や長い昼寝は生活リズムが崩れる
高齢者が遅い時間帯や長時間にわたって昼寝をすることは、夜の睡眠に影響を及ぼし、生活リズムの乱れを招く可能性があります。
体は本来、昼間の覚醒時間が長いほど、夜の睡眠で深い眠りが長くなるというリズムを持っています。
しかし、昼寝で深い眠りに入ると、昼間の覚醒時間が短くなり、夜に深く眠れなくなる可能性があります。
夜に深く眠れない状態だと、なかなか寝付けない、少しの物音で起きてしまうなど、睡眠リズムが乱れてしまうでしょう。
「日中に30分以上ぐっすり眠る」「夕方以降に仮眠をとる」といった昼寝では、夜間睡眠に影響出て生活リズムが乱れる原因となります。
長い昼寝は活動量が減って身体に悪影響が出る
昼寝している分、活動量が減って身体機能が衰えやすくなる点にも、注意が必要です。
なぜなら、昼寝をしている時間帯は身体が休息しているため、運動量が著しく減少するためです。
また、昼寝の間は身体が休息モードに入るため、代謝も低下します。
運動不足は筋力の低下や関節の硬化など、身体の機能を低下させるリスクを高めます。
代謝が落ちると老廃物の排出が滞り、疲労感や体力の低下を感じやすくなるでしょう。
高齢者の昼寝はメリハリのあるリズムが大切
高齢者にとって昼寝は、日中の活動や質の良い夜間睡眠をサポートする大切な習慣です。
1日20~30分の昼寝を15時までに済ませると、充実した午後を過ごせたり、夜に快適な睡眠をとれたりなど、さまざまなメリットがあります。
また、認知症機能や身体機能低下などを防ぎ、長く元気でいられる可能性を高めるでしょう。
眠りすぎや遅い時間の昼寝はかえって逆効果です。
カフェインを摂ったり、寝る場所に気を付けたりしながら質の良い昼寝を取り入れましょう。
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