グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは?入所条件や費用・老人ホームとの違いなど

「グループホームってどんな施設だろう?」
「グループホームと老人ホームの違いって何だろう?」
認知症や障がいのある方が安心して暮らせる施設を探している人は少なくないでしょう。施設選びに迷っている人のために、グループホームについて情報をまとめました。
この記事では、グループホームの特徴や入所条件、老人ホームとの違いなどについて分かりやすく解説します。最後までお読みください。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは

グループホームとは、認知症の高齢者が少人数で共同生活を送りながら、介護のサポートを受けられる施設のことです。少人数のユニットというグループで暮らすことが基本で、いくつかの個室と共有スペースから成り立っています。
グループホームの特徴や入所条件、目的について詳しく見ていきましょう。
特徴
グループホームは少人数で共同生活を送る点や、認知症に対するサポートが充実している点が特徴です。1ユニット9人以下の少人数で生活を送る施設が多く、家庭的な雰囲気のなかで入居者一人ひとりの生活リズムや好みに配慮したサポートが受けられます。
個室で過ごしたり、共有スペースでスタッフや入居者と一緒にレクリエーションを楽しんだりできる点は、グループホームの大きな魅力です。プライバシーを保ちながらも人との関わりを持てるため、メリハリのある生活を送れるでしょう。
また、地域密着型である点も特徴の一つです。住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるため、新しい環境でストレスを抱えることが少なく、心の安定にもつながるでしょう。
入所条件
- 65歳以上であること
- 医師から認知症の診断を受けていること
- 要支援2または要介護1以上の認定を受けていること
- 共同生活を送れる程度には自立している
- 施設の所在する市町村区に住民票があること
上記は、グループホームの入所条件です。共同生活を送ることからある程度の自立が求められるため、重度の身体介護を常時必要とする高齢者や寝たきりの高齢者は入居を断られることがあります。
まずはグループホームの入所についてケアマネジャーに相談してみましょう。事前に見学できるのであれば、入所前に見学して施設の雰囲気を知っておけると安心です。
目的
グループホームの目的は、共同生活を通じて認知機能を維持したり症状の進行を和らげたりすることです。認知症は進行性の疾患ですが、適切な環境下で脳に刺激を与えると脳が活性化し、認知機能の低下を遅らせることも可能といわれています。
専門スタッフやほかの居住者と一緒に食事や洗濯、掃除、レクリエーションに参加して生活のなかに役割や意味を見いだせば、自然な形で脳に刺激を与えられるでしょう。
過度な介護に頼らず、高齢者本人の残存能力を活かしながら生活することが、グループホームにおける認知症ケアの基本的な考え方です。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)のサービス内容

- 日常生活支援
- 健康管理
- 機能訓練
- レクリエーションなど
グループホームのサービス内容は、日常生活の支援、健康管理、機能訓練、レクリエーションなど、さまざまです。
買い物や調理、掃除、入浴などの日常生活を、できる限り自分の力で行います。ほかの老人ホームとは異なり、基本的には本人の残存能力を活かしながら生活し、できない部分はスタッフのサポートを受けるという点が特徴です。
また、医師や看護師の常駐はありませんが、体温や血圧の確認など基本的な健康管理が実施されます。
機能訓練やレクリエーションは音楽療法や園芸療法など脳へ刺激が与えられるものが中心となるでしょう。単なる娯楽ではなく、認知症の進行を抑える効果が期待できるメニューがメインとなります。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の費用

- 入院一時金
- 月額利用料
グループホームを利用する際にかかる費用は、大きく分けて入居一時金と月額利用料に分類されます。
入院一時金は、グループホームに入居する際に支払う初期費用です。施設によって金額が大きく異なり、数万円から10万円前後が中央値といわれています。0円のところや数十万円必要なところもあり、支払った入居一時金は多くの場合、退去の際に一部が返金されるでしょう。
月額利用料は平均で15~30万円といわれており、居住費や食費、水道光熱費などの生活費に加えて介護サービス費なども含まれます。
要介護度が高いほど介護サービス費が高くなることは、念頭に置いておきましょう。また、理美容代や外出イベントでの買い物代など例外的な費用がかかる可能性があることについても、事前に施設に確認しておくと安心です。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)と老人ホームの違い
グループホーム | 老人ホーム | |
---|---|---|
目的 | 認知症の方が少人数で共同生活を送り、認知症の進行を緩やかにする。家庭的な環境で自立生活を支援。 | 高齢者が快適な生活を送るための住居。必要に応じて介護や医療サポートを提供。 |
対象者 | 認知症の診断を受け、要支援2または要介護1~5の認定を受けている人。共同生活を送れる程度に自立している。 | 60歳または65歳以上の高齢者。要介護認定の有無や自立度合いは施設による。 |
生活環境 | 共同生活が基本。入居者が役割分担し、掃除や料理などをスタッフと一緒に行う。 | 個室での生活が中心。共有スペースは食堂やリビングなどがある。 |
定員 | 1ユニット5~9人の少人数制 | 施設によって差がある。50~100名ほどの規模であることが多い |
グループホームと老人ホームの主な違いを表にまとめました。
グループホームは対象者が認知症の高齢者に限定されており、認知機能の維持や認知症の進行を緩和することを重視しています。少人数で家庭的な雰囲気のなかで、入居者が自分でできることを続けながら、スタッフの見守りやサポートを受けて共同生活を送る点が特徴です。
一方、老人ホームは認知症の有無に関係なく、介護が必要な高齢者を受け入れます。重度の介護が必要な高齢者でも安心して暮らせるよう、医療や看護体制が整備されている施設もあり、生活全般をスタッフがサポートします。
施設によって役割や目的、費用が大きく異なるため、本人の状態や希望に応じて、適切な施設を選ぶことが大切です。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の注意点

- 医療体制が手薄
- 経済的な負担が大きい
- 終身利用ができない
グループホームに入居する際は、上記の3点に注意する必要があります。一つずつ、詳しく見ていきましょう。
医療体制が手薄
グループホームには医師や看護師の常駐が義務付けられていないため、医療的なケアは受けられません。
そのため、入居後に急激に病状が悪化したり常に医療的なケアが必要になったりした場合は、医療行為が受けられる施設に転居しなければならない可能性があります。入居前には、医療連携体制の有無などを確認しておきましょう。
経済的な負担が大きい
介護サービス費は介護保険から給付されますが、1~3割の自己負担分に加えて、食費や日用品費などの実費は全額自己負担しなければなりません。都心部では、合計の月額利用料が20~30万円、あるいはそれ以上になることもあります。
また、入居時に一時金や保証金がかかる場合があり、経済的な負担は大きいといえるでしょう。施設によっても費用は異なるため、複数の施設を比較検討することが大切です。
終身利用ができない
グループホームは、ある程度自立した高齢者が共同生活を送る場です。認知症が進行し、ほかの入居者やスタッフとの共同生活が難しくなった場合や身の回りのことができなくなった場合、退去を求められる可能性があります。
訪問看護ステーションと連携するなどして看取りに対応している施設もありますが、極めて限定的です。グループホームへの入居を検討する際は、基本的には一時的な生活の場として考えておきましょう。
グループホームは認知症の高齢者が安心して暮らせる場所
グループホームとは、認知症の高齢者が住み慣れた地域で、少人数で共同生活を送りながら介護スタッフのサポートを受けられる施設のことです。
共同生活によって脳に刺激を与えられるため、認知症の進行を遅らせたり症状を和らげたりする効果が期待できるでしょう。
ただし、医療体制には限界があり、常に医療的なケアが必要になった場合などには退去を求められる可能性があるため、注意が必要です。施設によって提供されるサービスや費用、受け入れ条件が異なることも知っておきましょう。
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