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2025.12.10

高齢者の低温やけど|症状や原因・対策などを解説

高齢者の低温やけど|症状や原因・対策などを解説

「高齢者の低温やけどを予防する方法はある?」
「高齢者が低温やけどになった場合の対処法は?」

など知りたい方のために、高齢者の低温やけどについてまとめました。

低温やけどの症状や低温やけどになりやすいシチュエーション、低温やけどになったときの対処法まで詳しく解説します。

低温やけどとは?

低温やけどとは?

低温やけどは通常のやけどよりも低い温度で起こるやけどです。激しい熱さや痛みがなく、皮膚の損傷もすぐにはわからないケースがあります。定義と症状を把握し、低温やけどの可能性を見逃さないようにしましょう。

低温やけどの定義

低温やけどは、44℃から60℃程度の比較的低い温度の熱源に長い時間皮膚が接触して生じるやけどです。

通常のやけどは高温の熱源に短時間でも触れると表面から一気に損傷が生じる一方、低温やけどは低い温度でも長時間の接触によりじわじわと皮膚深部へとダメージが進行します。

皮膚の表面は自覚症状が少ないものの真皮の浅い層が損傷し始め、皮膚の深部まで気づかぬうちに損傷が進むのが特徴です。

表面的には軽度に見えても、内部では深刻な損傷が起きている場合が少なくありません。

低温やけどの症状

低温やけどの初期段階では、皮膚に軽い赤みが現れる程度で、ヒリヒリとした軽い痛みを感じる場合があります。

痛みが少ないため、やけどに気づかずに放置してしまうケースもあるでしょう。

時間が経過すると、水ぶくれができたり、皮膚が白や褐色に変色したりする症状が現れます。表面の損傷は軽く見えても皮下組織まで損傷している状態です。

重症化して皮膚の全層が破壊されると皮膚が白や黒に変色し、神経も損傷している状態になって感覚を失うことがあります。重症化すると自然治癒が困難なため、程度によっては手術が必要になることもあるでしょう。

高齢者の低温やけどに注意が必要な理由

高齢者の低温やけどに注意が必要な理由
  • 高齢者の低温やけどは気づきにくい
  • 高齢者の低温やけどは重症化しやすい

高齢者は身体機能の変化により上記の特徴がみられるため、低温やけどの予防と速やかな対処が必要です。

高齢者の低温やけどは気づきにくい

加齢に伴う感覚機能の低下により、高齢者は熱さや痛みを感じにくく熱源から離れる行動が遅れやすい傾向があります。

感覚機能が鈍くなっていると、熱源に触れていても危険なレベルの熱と認識しにくいでしょう。熱いと感じるまで時間がかかるため、体を離す行動が遅くなってしまいます。

糖尿病などの神経障害を伴う疾患がある場合、感覚低下の症状がより顕著となることから、低温やけどのリスクは高まるでしょう。

高齢者の低温やけどは重症化しやすい

高齢者の低温やけどは、初期症状に気づかず重症化しやすい傾向があります。

加齢によって皮膚が薄くなっている高齢者は、熱が皮膚の深部まで到達しやすいためダメージの進行が急速です。

細胞の再生能力や免疫機能も低下していることから、傷の治りが遅く、感染症のリスクにもさらされます。

糖尿病や循環器疾患などの基礎疾患を持つ高齢者は、血流障害で治癒に必要な酸素や栄養の運搬が不十分となるため、余計に悪化しやすいでしょう。

高齢者の低温やけどによく見られる原因と対策

高齢者の低温やけどによく見られる原因と対策
  • 暖房器具
  • 湯たんぽ・カイロ
  • 入浴

低温やけどは、主に上記を使用するシーンで引き起こしやすいといわれています。安全な使い方を把握し、低温やけどを回避しましょう。

暖房器具

電気毛布やホットカーペット、こたつなどの暖房器具は、低温やけどの主要な原因です。

長時間同じ部分に熱が当たり続けると低温やけどになることがあるため、注意して使用しましょう。

熱源から距離をとって使用し、長時間熱源にあたり続けないことが基本です。電気毛布やホットカーペットなど体と密着しやすい器具は、シーツやラグなどを挟んで使用しましょう。

こたつを使用する際は、こたつ布団と身体の間に毛布を挟むなど、直接肌が熱源に触れない工夫が必要です。

特に就寝時は熱への反応が遅れやすいため、スイッチを切るかタイマー機能を活用しましょう。

湯たんぽ・カイロ

湯たんぽや使い捨てカイロは長時間の使用を前提としたツールであるため、同じ場所にあて続けてしまい低温やけどを引き起こす原因になり得ます。

湯たんぽを使用する場合はカバーをつけ、さらにタオルで包んで直接肌に触れないようにしましょう。就寝時は布団をあたためるために使用し、寝るときは布団から取り出すと安全です。

使い捨てカイロは衣類の上から使用し、直接肌に貼らないようにしましょう。

入浴

入浴時、高温のお湯に長時間つかることも低温やけどの原因になります。

お湯の温度は41℃以下に設定し、熱いと感じる温度での入浴は避けましょう。入浴時間は20分以内に留め、長風呂を避けることがポイントです。

追い炊きすると長時間の入浴につながりやすいため、なるべく1回の給湯で済ませるようにしましょう。

高齢者の低温やけどを見分けるには?

高齢者の低温やけどを見分けるには?
  • 皮膚に違和感がある
  • 熱源と接触していた

上記の条件が揃うと低温やけどが疑われます。

皮膚に違和感がある

皮膚の見た目や感覚に違和感がある場合は、低温やけどの初期症状が疑われます。

赤みが生じるほか、皮膚表面に赤紫色や青紫色の網目状模様が現れる「リベド」と呼ばれる症状が見られることもあるでしょう。

ヒリヒリ感やかゆみなどの軽い刺激を感じる場合もあり、患部に触れてみると感覚が鈍くなっていたり、逆に敏感になっていたりするのも低温やけどの症状です。

低温やけどの症状は本人が気づきにくいことが多いため、高齢者の場合は家族や介護者が日常的に皮膚を観察し、早期に異変を察知できるように心がけましょう。

熱源と接触していた

暖房器具や湯たんぽ、カイロなどの熱源に長時間触れていた部位は、低温やけどが発生している可能性があります。

電気毛布をつけたまま就寝した翌朝、こたつで長時間同じ姿勢で過ごした後、湯たんぽを抱いて寝た際などは特に注意が必要です。

本人が熱源との接触を覚えていない場合でも、皮膚の変化が見られる部位の近くに暖房器具があれば、低温やけどを疑いましょう。

高齢者が低温やけどになった際の対処法

高齢者が低温やけどになった際の対処法
  1. 熱源から離れる
  2. 患部を冷却・保護
  3. 医療機関を受診

低温やけどが疑われる場合の対処法を詳しく解説します。

熱源から離れる

低温やけどに気づいたら、まず熱源から体を離すことが最優先です。低温やけどが疑われる部分は、その後も熱源にさらさないよう注意を払いましょう。

低温やけどは比較的低い温度でも長い時間皮膚に接して、皮膚の深いところまでダメージが進行しやすいのが特徴です。

そのため、気づいた時点で直ちにカイロ・湯たんぽ・電気毛布・こたつなど、原因となっているものを皮膚から離し、同じ部位を温め続けないようにします。

患部を冷却・保護

患部を流水で15分から30分程度冷やすと、熱によるダメージの進行を抑えられます。氷や保冷材は直接皮膚にあてず、ガーゼや布で包んで患部に軽くあてましょう。

衣類の上から冷やす場合も、衣類と皮膚がくっつかないように注意します。

患部を冷やす際は、冷やし過ぎに注意です。高齢者は体温調節機能が低下しているため、冷却時間が長すぎると低体温のリスクがあります。

冷却後は清潔なガーゼや清潔なハンカチで患部を軽く覆い、外部からの刺激や感染から皮膚を保護します。水ぶくれができている場合は、つぶさないようにしましょう。

医療機関を受診

赤みやヒリヒリ感といった軽い症状でも、医療機関を受診しましょう。

高齢者は痛みの感知が鈍くなることが多く、自己判断で放置すると感染や深部組織の損傷が進む恐れがあるためです。

また、高齢者は免疫機能が低下しやすく、傷口から感染が広がると全身状態の悪化や敗血症といった深刻な合併症を招く可能性があります。

早期発見と適切な予防で高齢者を低温やけどから守ろう

低温やけどは、比較的低い温度のものに長時間皮膚が接触すると起きる症状です。

カイロや湯たんぽといった日常の暖房器具や入浴で起こるため、長時間使用しない、直接肌に触れないよう使用することが大切です。

暖房器具の正しい使用方法を守り、就寝時の電気毛布は切る、湯たんぽは直接肌に触れないようにするなどの基本的な対策を徹底しましょう。

高齢者は低温やけどに気づきにくく重症化しやすいため、赤みなど軽い症状でも医療機関の受診が推奨されています。

冬を暖かく快適に過ごすために、低温やけどの症状や暖房器具の使い方を知り低温やけどの予防に努めましょう。




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