冬は高齢者の隠れ脱水に注意!症状やチェック方法、対策などを解説
「のどが渇いていないから大丈夫」
「寒いから緑茶ばかり飲んでいる」
という方は、隠れ脱水症状が進行しているかもしれません。
「隠れ脱水」は重大な疾患リスクにつながる可能性がある危険な症状です。
感覚が鈍くなっているため、高齢者は特に隠れ脱水に陥りやすい傾向があります。
この記事では、高齢者の隠れ脱水の症状、チェック方法、そして予防法を解説するため、健康的に冬を乗り切りたい方は、ぜひご覧ください。
高齢者の隠れ脱水について
高齢者はのどの渇きを感じにくくなったり、夜間のトイレを避けようと水分補給を控えたりしてしまうため、隠れ脱水には特に注意しなければなりません。
まずは隠れ脱水について解説します。
隠れ脱水とは?
隠れ脱水とは、体の水分が不足して脱水症になりかけているにもかかわらず、症状に気づいていない状態です。
通常の脱水症状とは異なり変化が少ないため、適切な対策が取られていない場合が多いでしょう。
のどが乾いたと感じる時にはすでに脱水が進んでいる可能性があるため、意識的な水分補給が予防のカギとなります。
高齢者は隠れ脱水になりやすい
高齢者は加齢に伴い、体内の変化や異常を察知する感覚が鈍くなります。
そのため、体内の水分が不足していても「水を飲みたい」という信号が脳に伝わりにくくなり、知らず知らずのうちに脱水状態に陥りやすくなるのです。
また、体内で水分を最も蓄えている筋肉の量が加齢とともに減少していることから、水分を保持する機能も衰えています。
夜間のトイレや尿漏れなどを回避するために水分を控える方も多く、高齢者は隠れ脱水に陥りやすい状態であるため、注意が必要です。
高齢者が隠れ脱水になるとどんな症状が出る?
- 唇や皮膚がカサカサ
- 頭がぼーっとしたり頭痛がしたりする
- のどが渇く
- 大量に汗をかく
- 立ちくらみがする
高齢者の隠れ脱水は、主に上記の症状が現れます。
唇や皮膚がカサカサ
隠れ脱水の初期症状として、唇が乾燥し、ひび割れやすくなります。
体内の水分が不足しているサインです。
皮膚も同様に乾燥し、つやがなくなるでしょう。特に、腕や足のすねなど、皮膚が薄い部分では粉が吹いたような状態になることもあります。
皮膚の乾燥が進行すると、かゆみやヒリつきを感じることもあるでしょう。
皮膚にクリームを塗れば症状は和らぎますが、体内の水分が不足しているため、隠れ脱水の根本的な解決にはなっていません。
頭がぼーっとしたり頭痛がしたりする
頭がぼーっとしたり頭痛がしたりするのは、隠れ脱水が進んでいるサインかもしれません。
体内の水分が不足すると、血流が滞り脳への血流も不十分になるでしょう。
脳への血流が減少すると、脳への酸素供給も少なくなり、脳の働きが鈍くなる可能性があります。
そのため、ぼーっとするだけではなく、思考力や集中力が低下したり、頭痛がしたりする場合も隠れ脱水が疑えるでしょう。
水分不足は脳の働きを鈍くし、特に高齢者は若年層よりも認知機能が低下する可能性が高いといわれています。
のどが渇く
隠れ脱水の初期症状として、のどの渇きを感じます。
のどの乾燥感だけではなく、口腔内の粘膜が乾燥し、違和感や痛みを感じることもあるでしょう。
高齢者は、加齢によって感覚機能が衰え、のどの渇きを感じにくい傾向にあるため、のどが渇いていると自覚したときは、すでに隠れ脱水が始まっている可能性があります。
大量に汗をかく
大量に汗をかくと、隠れ脱水が進行するおそれがあります。
体内の水分とともにナトリウムなどの電解質も失われ、体内の水分バランスが崩れて生理機能が低下するのです。
冬でも室内の暖房や厚着により、知らない間に汗をかいています。
しかし、冬は空気が乾燥しているため、汗の蒸発が速く汗をかいていることに気づきません。
特に高齢者は、感覚機能が低下しているため、さらに気づきにくいといえるでしょう。
立ちくらみがする
立ち上がったときにふらつくのは、脱水症状の可能性があります。
脱水が進行すると血液の量が減少し、血圧が低下します。
すると、脳への血流が不足し、立ち上がったときに一時的に脳が酸素不足に陥り、立ちくらみやめまいを引き起こすのです。
特に高齢者は血管の弾力性が低下しているため、急な姿勢変化で血流が悪くなり、めまいや立ちくらみを起こしやすい傾向があります。
転倒のリスクにもつながるため、要警戒です。
高齢者の隠れ脱水チェック方法
のどの渇きに気づく前に、隠れ脱水をチェックする方法を2つご紹介します。
手の甲の皮膚をつまんで離す
脱水の程度を簡単に確認できる方法です。
手の甲の皮膚を親指と人差し指で軽くつまみ、そのまま数秒間キープします。
つまんでいた皮膚を離し、皮膚が元の状態に戻るまでの時間を観察しましょう。
皮膚が戻るのに3秒以上かかると、脱水症状のサインです。
皮膚が乾燥して、弾力性が低下していることを示唆しています。
親指の爪を逆の指でつまんで離す
つまんだ爪の血色がどのくらいの時間で元に戻るかで、脱水状態を確認する方法です。
親指の爪の先を反対の手でつまんでから、元の色に戻るまでの時間がかかると脱水症状を疑いましょう。
健康な状態では爪を圧迫後すぐに血色が戻りますが、脱水状態では戻りが遅く、白っぽい状態がしばらく続きます。
また、爪の表面が艶を失い、乾燥している場合も脱水のサインです。
隠れ脱水が引き起こす疾患
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
- 腎不全
- 慢性腎疾患
- 便秘
- 尿路結石
隠れ脱水は単なる水分不足にとどまらず、体のさまざまな機能に悪影響を及ぼし、深刻な疾患を引き起こす可能性があります。
隠れ脱水では血液の粘度が高まり、血管内で血栓ができやすくなるため脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすリスクがあります。
血管の病気は突然発症し、命に関わる場合も少なくありません。
特に高齢者は血管機能が低下しているため、疾患リスクが高まります。
脱水状態が続くと、腎臓に十分な血液が供給されず老廃物の排出が滞るため、腎不全や慢性腎臓病にもつながります。
他にもさまざまな疾患リスクを高めるため、自覚症状が現れる前に水分補給を心がけることが大切です。
高齢者の隠れ脱水対策はこまめな水分補給!
高齢者が隠れ脱水を防ぐためには、無理なく続けられる水分補給を意識することがポイントです。
目安は1日1.5~2ℓの水分摂取で、一気に飲むのではなく、コップ1杯分程度を朝食時、昼食時、夕食時、間食時など小分けに摂取するのがおすすめです。
また、水分補給は飲み物だけではなく、食事からの水分摂取も意識しましょう。
お茶やスープ、みずみずしい果物は、水分補給に役立つ食品です。積極的に取り入れると、無理なく水分を摂取できるでしょう。
大切なのは、のどが渇いたと感じる前に少しずつ飲むことです。高齢者はのどの渇きを感じにくく、気づいたときには脱水が進行していることもあります。
起床後に1杯、食事中や間食時に1杯ずつ、入浴後や就寝前にも1杯飲むなど、生活リズムに合わせたタイミングを設定すると続けやすいでしょう。
のどの渇きを感じる前に水分を補給しよう
隠れ脱水とは、体内の水分が不足しているにもかかわらず、自覚症状がない状態です。
高齢者は感覚が鈍っているため、のどが乾いたと感じるときにはすでに脱水症状が進行している可能性があります。
隠れ脱水は、放置すると脳梗塞や心筋梗塞のような命に関わる疾患のリスクを高めるため、高齢者の健康を守るには、水分補給に対する意識と工夫が必要です。
こまめな水分補給で、隠れ脱水を予防しましょう。
飲みやすい環境づくり、水分補給方法の工夫が、健康的な生活につながります。
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