こたつで寝ると危険?高齢者向けの注意点や安全な使い方などを解説
「こたつで寝ると、どんな危険があるのかな?」
「高齢者がこたつを利用する場合の、注意点を知りたい」
寒い季節になると、こたつを重宝する人は多いでしょう。こたつは心身ともにリラックスできる暖房器具ですが、高齢者が利用する場合いくつか注意すべきポイントがあります。
今回の記事では、高齢者がこたつで寝ると生じる危険性や注意点、安全な使い方などをご紹介します。安全にこたつを利用して寒い季節を快適に過ごしましょう。
高齢者がこたつで寝ると危険?
温かくてリラックスできるこたつの中で、うっかり寝てしまうこともあるでしょう。しかし、高齢者がこたつで寝ると健康面や安全面で危険を伴います。具体的なリスクについて見ていきましょう。
こたつの事故は半分以上が高齢者
独立行政法人商品評価技術基盤機構製品安全センターの報告によると、こたつによる死亡事故の7割が60歳以上の高齢者だとされています。
事故は1~2月に最も発生しており、布団や衣類がこたつのヒーター部分に接触する出火原因が多くみられる他、コードの劣化やねじれも出火原因になり得るため、定期的なメンテナンスも大切です。
高齢者本人だけではなく、家族や介護者も正しいこたつの使い方を知り、注意を促すようにしましょう。
参考:独立行政法人製品評価技術基盤機構「こたつの事故の防止について(注意喚起)
高齢者がこたつで寝るとどうなる?
こたつで寝ると、赤みや水ぶくれなど低温火傷の症状を引き起こす可能性があります。低温火傷とは、40~50度ほどの熱源に触れると生じる火傷のことです。
こたつは通常、すぐに火傷を引き起こすような高い温度ではないため、短時間入る分には問題ありません。しかし、こたつの中で寝てしまうと、低温であっても皮膚に熱源が長時間触れ、気が付かないうちに皮膚の深い部分がダメージを受けることがあります。
こたつの温度が50度程度と高い場合には、3~4分ほど入るだけでも火傷を発症するケースがあるため、注意が必要です。
また、何時間も下半身が温められることで体から水分が失われ、脱水症状を起こしやすくなります。脱水状態になると血液がドロドロになり、脳血栓や心筋梗塞などの重い疾患を引き起こすリスクが高まるでしょう。
高齢者がこたつを利用する際の注意点
高齢者がこたつを利用する際は、健康と安全を守るためにいくつかポイントを押さえておく必要があります。
転倒に注意する
こたつを設置していると、こたつテーブルやこたつ布団、コードにつまずいて転倒する危険性があります。高齢者は加齢に伴って筋肉の量や強度が減少するため筋力が低下し、転倒するリスクが高いため、注意が必要です。
さらに、加齢で骨自体が弱くなっていることから若い人よりも骨折しやすい状態であり、骨折すると治癒に時間がかかるでしょう。ベッド上で安静にする時間が長くなれば、寝たきりになる可能性も考えられます。
布団の角を織り込んだり動線にコードがないように配置したりして、転倒を予防しましょう。
転倒予防のトレーニングについて詳しくはこちら↓
【理学療法士考案】座位でもできる高齢者転用予防トレーニングを動画つきで紹介
電源の切り忘れに注意
こたつを付けっぱなしにすると、発火するおそれがあります。ヒーター部分に布団などの可燃物が長時間接触してしまうと、可能性が発火する可能性があるからです。
また、こたつが古い場合も、コードが劣化して断線したりヒーターが異常に発熱したりして発火する可能性があるため、注意しなければなりません。
就寝時や外出時は、電源を切るように心がけましょう。
ヒートショックに注意する
こたつ利用時は、ヒートショックに注意が必要です。ヒートショックとは、急激な温度変化により血圧が大きく変動し、心臓や血管に負担がかかる状態をいいます。特に寒い冬場に起こりやすいでしょう。
長時間こたつに入っていると体が温まるため、寒い部屋などに移動した際に血圧が乱高下し、ヒートショックを引き起こす可能性があります。
こたつの温度を上げすぎない・寒い場所に移動する前は羽織りものを羽織るなどで体を温め、ヒートショックによる健康被害を予防しましょう。
高齢者の冬の過ごし方について詳しくはこちら↓
冬の過ごし方や注意点│高齢者は寒がり対策や運動で健康管理に気を付けて◎
高齢者が安全にこたつを利用するために
高齢者が安全にこたつを利用するために意識したいことを3つ、ご紹介します。高齢者本人だけでなく、家族や介護者も意識できるとよいでしょう。
ハイタイプのこたつがおすすめ
ハイタイプのこたつは脚が高く、椅子に座った状態で使用できるこたつです。立ち上がりやすいため、こたつの長時間使用を防ぐことができ、こたつで熟睡したりヒートショックを引き起こしたりするリスクを下げられます。
また、脚が高いことからこたつ布団が広がりにくく、高齢者がつまずいて転倒するリスクを軽減できる点も大きな利点です。
タイマー付きにする
タイマー付きのこたつを利用すれば、設定した時間になると自動で電源が切れるため、切り忘れを防げます。こたつの付けっぱなしによる火災やヒートショック発生のリスクを減らせるでしょう。夜間でも、タイマーを設定していれば寝てしまっても熟睡を防げるため、安心です。
こたつに長居してしまうという人や電源を切り忘れてしまうという人は、タイマー付きのこたつや後付けのコンセントタイマーを活用しましょう。
こたつを使わない選択肢も検討する
便利なこたつですが、正しい使い方をしなければ高齢者の安全や健康を守れません。カーペットやオイルヒーター、エアコンなどの暖房器具は、高齢者でも安全に使うことができ、こたつの代替手段になります。
羽織りものや靴下、掛け布団や毛布など、防寒グッズを工夫することでも、こたつに頼らず暖を取ることが可能です。こたつの利用に不安がある人は、こたつを使わない選択肢も検討してみましょう。
高齢者の寒さ対策に正しくこたつを利用しよう
こたつによる死亡事故の7割が60歳以上の高齢者です。火災やヒートショックの原因になる可能性や、布団やコードにつまずいて転倒するリスクがあるため、高齢者がこたつを使う際は特に注意しなければなりません。
高齢者は加齢に伴って筋力低下や骨の弱化が進行している傾向にあり、転倒しやすく骨折などの怪我につながりやすい状態です。
一度怪我をすると治癒に時間がかかり、そのまま寝たきりになる可能性もあるため、こたつの設置場所や配線の位置などに気をくばりましょう。
高齢者が安全にこたつを使うには、こたつの電源はつけっぱなしにしないように注意し、コードや布団が動線にこないようにこたつを配置するなどの対策が重要です。
ハイタイプやタイマー付きのこたつを選んだり、こたつ以外の暖房器具を使ったりし、事故や健康被害なく過ごせる環境を整えましょう。
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