片麻痺がある方の食事支援|自立を支える食具の工夫と自分で食べる大切さや注意点など

「片麻痺ががあるけど食事を自立させたい」
「片麻痺でも食事を自立させる意味って?」
という方や家族の食事を支えている方に向けて、片麻痺がある方の食事自立を支える方法を解説します。
片麻痺がある方にとって食事は、残っている力を使いながら生活動作を続ける重要な機会です。食べる際の姿勢や使用する食具、一口の量などを麻痺の状態に合わせて調整すれば、自分で食べられる可能性を広げられます。
食べるリハビリについて詳しくはこちら↓
食べるリハビリとは?摂食嚥下障害でも口から食べることを諦めないで
片麻痺でも食事の自立が大切な理由

- 生きる力の維持
- 残存機能の維持
- 安全な食事
片麻痺の方にとって食事の自立が大切な理由は上記3点です。それぞれ詳しくみていきましょう。
生きる力の維持
食事は栄養を摂るだけではなく、毎日の楽しみや生活への意欲にもつながります。片麻痺があっても自分で食具を持ち、食べたいものを自分のペースで口に運ぶ動作は、個人の尊厳を支える大切な機会です。
自分で食事を食べられると、他人に食べさせてもらうよりも満足感を得られ、楽しみながら食事ができます。生活への自信や明日への活力にもなり、QOLの維持も可能です。
残存機能の維持
片麻痺があっても、毎日の食事でできる動作を続ければ、残っている力を使う機会を増やせるでしょう。自分で食事をする際には、姿勢を保つ・食具を握る・食べ物をすくう・口元へ運ぶなど、さまざまな身体機能を使います。
毎日の食事で動かせる部分を使うことは残存機能のリハビリになり、関節の硬直や筋力低下などの防止になるでしょう。
安全な食事
食事が自立できると、自分のタイミングで食具を口元へ運べるため、一口量や食べる速さを調整しやすくなります。
介助者が食べ物を口へ運ぶ場合、食べる側が飲み込むタイミングと、介助する側が口に運ぶタイミングを合わせなければ、誤嚥や窒息につながるかもしれません。
自分で食事を食べられれば食べるペースを自分で調整でき、誤嚥リスクを軽減できます。
片麻痺の方が自立して食事をするために

- 姿勢の調整
- 自助具の選定と微調整
- 食事の観察と評価
片麻痺の方が自立して食事をするためには、上記3点を意識しましょう。
姿勢の調整
- 椅子へ深く腰掛ける
- 麻痺側の隙間をクッションなどで埋める
- 両足の裏をしっかり床につける
- テーブルは肘が無理なく曲がる高さに
- あごを軽く引いて頭部と体を正面に向ける
食事をする際は、椅子や車いすに深く腰かけて体幹を安定安定させましょう。片麻痺の方は麻痺側に体が傾きやすくなるため、麻痺側にクッションや丸めたバスタオルを挟むと、体を真っすぐ保ちやすくなります。
両足の裏が床や台などについていれば、重心がさらに安定し、上半身に無駄な力が入らなくなるでしょう。テーブルの高さは肘が自然と手が乗る高さに調整すると、手先をコントロールしやすくなります。誤嚥の予防や視界確保のために、あごを軽く引いて顔や頭が麻痺側に向かないように意識することも重要です。
食事の基本姿勢
- 椅子へ深く腰掛けて体幹と頭部を正面に向ける
- 椅子の高さは足裏が床について膝が90度に曲がるくらいに調整する
- テーブルの高さを肘が無理なく曲がる高さに調整する
- あごが上がらないよう顔をやや下に向ける
自助具の選定と微調整
片麻痺の方が食事に使う自助具は、握力や手指の動かしやすさ、腕の可動域などに合わせて選びます。残存機能や困っている動作、使用シーンに応じて選定することが重要です。
握力が弱かったり指関節を曲げにくかったりする場合は柄の太いスプーンやフォーク、指先の運動が難しい場合はピンセットタイプの箸などを選定しましょう。
また、既製品が合うとは限らないため、食べ方に合わせて、食具の柄の太さや曲げる角度などを微調整することも必要です。食べる様子を確認しながら、スプーンの柄を曲げる、柄をさらに太くするなど使いやすい形にカスタマイズしましょう。
食事の観察と評価
片麻痺の方が自立して食事を続けるには、食事に関してできることと難しいことを把握する必要があります。姿勢を保てるか、食具を握って口元へ運べるか、むせや食べこぼしがないかなどを確認しましょう。
困難なことに合わせて食具の形や置く位置、姿勢、食事形態、見守り・介助の方法を調整しながら、食べやすい方法を検討していく必要があります。身体機能や食事の状態は変化するため、一度決めた方法を続けるのではなく、定期的な見直しも重要です。
片麻痺の方が自分で食べる際に注意すべきこと

- 食べ物は麻痺していない側から口に入れる
- 一口量を少なくする
- 麻痺している側の手をテーブルに出す
片麻痺の方が自分で食事をする際には、上記3点に注意しましょう。
食べ物は麻痺していない側から口に入れる
頬や舌などにも麻痺がある場合は、麻痺していない側から食べ物を口に入れましょう。麻痺していない側から食べる方が、食べ物を噛んだり、舌でまとめて喉へ送り込んだりしやすくなります。
食後に麻痺側の頬と歯ぐきの間に食べ物が残り、気づかないこともあるため、口腔ケアも必要です。
なお、手足に片麻痺があっても、口に麻痺があるとは限りません。口に麻痺がない方なら、食べ物を入れる側を意識する必要はないでしょう。
参考:59.摂食嚥下障害患者に対する捕食から嚥下までの介助|日本摂食嚥下リハビリテーション学会
一口量を少なくする
一口量が多いと口の中で食べ物をまとめきれず、誤嚥や窒息につながるおそれがあるため、無理なく噛んで飲み込める量ずつ食べる必要があります。一口量の目安はティースプーン1杯程度です。状態に合わせて量を調整しましょう。
また、完全に飲み込んでから、次の一口へ進むことが大切です。食べ物が口や喉にたまらないよう注意しましょう。
麻痺している側の手をテーブルに出す
麻痺している側の手や前腕をテーブルに置くと、腕の重さを支えられ、体の左右バランスを整えやすくなります。姿勢が安定すれば、麻痺していない側の手で食具を操作しやすくなるでしょう。
麻痺側の手は、肩や手首に負担がかからない位置でテーブルに置きます。腕が安定しない場合は、下にタオルやクッションを敷いて支えましょう。
生活リハビリデイサービス「りふり」の食事支援

生活リハビリデイサービスりふりでは、セラピストが利用者の食事を観察し「食具を握れるか」「食べ物をすくえるか」「無理なく口元へ運べるか」などを確認したうえで、利用者それぞれに合わせた食具を考案しています。
麻痺の度合いや握力、腕の動かし方、口元へ運ぶ際のクセは一人ひとり異なるため、スプーンやフォークなどの自助具にはミリ単位での調整が必要です。
利用者に合った食具を用意すると、自立した食事を長く継続でき、残存機能を使う生活リハビリになるだけではなく、食事を楽しみ、生活にハリが出るきっかけとなります。
また、利用者の状態に応じて、持ち手付きコップでスープを提供したり、ワンプレートに盛り付けたりと、配膳方法も工夫しています。実際に「食べやすくなった」「また箸が使えた」と喜ばれている、りふりの大切な支援のひとつです。
片麻痺がある方の食事自立を一人ひとりに合った工夫で支えよう
片麻痺があっても、自分で食べる動作を続けることは、生活意欲や残存機能の維持につながります。安全に食事をするには、姿勢や一口量、食具などを身体状況に合わせて調整することが必要です。
頬や舌などにも麻痺がある場合は、麻痺していない側から食べ物を入れ、完全に飲み込んでから次の一口へ進みましょう。食事の様子を継続して観察し、身体機能の変化に応じた食べ方や支援方法の見直しが大切です。
生活リハビリデイサービス「りふり」では、利用者の食事動作をセラピストが確認し、スプーンやフォークなどを一人ひとりに合わせて調整しています。
食事の自立をさまざまな方法で支え、食事を存分に楽しめるようにサポートするのも、りふりが大切にしていることのひとつです。
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